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二年目。 20 第三章 一年宿舎
[★二年目 連載]
2010年6月25日 1時36分の記事



アイリスの章に入りました。

この章の途中から、BL18禁に成ります…。

理由は…読んで貰えれば解りますが

スフォルツァがアイリスに

ほの字で押し切った為です………。

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3 一年宿舎

 アイリスは周囲を見回した。
大貴族用の宿舎は一年宿舎の、全一年の集う食堂の横の階段を上がった二階にあり、他の一般宿舎とは隔てられていて、中央に広々とした居間。
それを取り囲むように各部屋が設えてあった。
大貴族の生徒達全員、召使いが居室を整えている間、その共同の居間で待っていた。

自分より背の高い奴は数人だ。
その中でも一番面構えのいい美男、スフォルツァに目を付ける。
同郷なのか、もう数人が彼を取り巻いていた。
そして、大貴族の中でも大公の叔父を持つ、最も身分の高い者。と自分の周囲にも数人、侍る奴らが話しかけて来た。
「荷はもう、解いた?」
「上級ったって、顔付きの悪そうな奴ばかりだ。そう、思わない?」
連中が自分を取り巻こうとしてるのにアイリスに気づき、つい返事代わりににっこり微笑むと、彼らを振り切ってスフォルツァへと歩を進める。

「やあ…!」
そう声かけるとスフォルツァは気づき、顔を上げる。
凄く、女受け良さそうな男らしい引き締まった表情の美男で、栗毛を無造作に胸に流し、グリン・グレーの瞳を話しかける自分に注いでる。
14才。と言う年齢にも関わらず、その引き締まって鍛えられた体付きは16くらいに彼を見せたし、その態度も。
肝が据わり、物事を心得てる風に見え、そして多くの女性ととっくにたくさんの経験があり、王子様に憧れる女の子に取り囲まれるのに慣れた、素っ気なく小憎らしい風体をしていた。

スフォルツァは話しかけて来たその美少年に正直、見惚れた。
濃く長いたおやかな栗毛が白い肌を引き立て、濃紺の瞳と赤い唇が白い肌に映える、どちらかと言えば優しげな顔立ちの整いきった美少年。
が、背は自分と変わらない。
育ちが良さそうで、乱暴な言動など無縁。のように品良く優雅に微笑んでいる。
俯いたりすると彫刻の聖母のような汚れ無き美しさで、どちらかと言えば女性的な雰囲気を持っていた。

色々な美少女を見て来た。
無論、教練。そして近衛に入るのだから。と、美少年ともしとねを過ごした。
が、今迄お目にかかった事の無い極上の、毛並みの良い美少年だ。

スフォルツァは途端、自分がいつも口説く時入る体勢に成ってるのに気づく。
が、放って置いた。
つまり…女性を口説く時のように艶を含んだ瞳で彼を、見つめたのだ。

アイリスはそのスフォルツァの目線に気づいた。
内心、『この野郎…!』とも、思った。
が、カモは大事にしなくてはならない。
それでその、女を見るような視線に耐えた。
「凄く、剣が使えそうだけど、やっぱり自信ある?」

スフォルツァはそれがもし、チャーミングそのものの微笑を向けられず聞かれたら、牽制か?と身構えた筈だった。
がその笑顔は愛らしくすら見えた。
それでそのまま告げる。
「誰だって、ここに来るにはそれなりの修行を積んで来るんじゃないのか?」

取り巻こうと周囲に居た大貴族達は、二人の内どちらが…彼らの頂点に立つのか、つい交互に二人に視線を送りながら見つめる。
アイリスはそれに気づくと尚一層にっこり微笑む。
「でも限界がある。
幾ら頑張っても…どうしても天賦の才能を持つ者には叶わない」
スフォルツァはつい、眉間を寄せた。
それが…謙虚で言ってるのか、それとも剣に自信が無くて言ってるのかの、区別が付かなくて。

アイリスはもう一押ししようと、微笑を向ける。
途端、スフォルツァがその微笑に見とれきる甘い表情を傾け、見つめて来るのでアイリスは
『仕方無い。口づけくらいは許してやるか…』
と内心の汗を隠し、微笑を湛えたまま告げる。

「…本当はあんまり…剣は得意じゃないんだ…。
勿論ちゃんと講師に付いていたから、全然って訳じゃないんだけど」
そしてスフォルツァを頼るように、にっこり微笑む。
「君は凄く、頼りに成りそうだ…!」

スフォルツァはその時凄く、嬉しそうに微笑んだ。
まるで女に褒められた時みたいに。
周囲の者達は一番身分の高い、頼るべき者のその告白に、落胆して顔を、下げる。
そして顔を上げると、スフォルツァがボスと成るだろう。と彼を見つめた。


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