二年目。 23　第三章　一年宿舎 - 「アースルーリンドの騎士」

オリジナル小説「アースルーリンドの騎士」
「二年目」のミラーサイトに成っちゃいました。
昔はこっちが本家だったんですが………。

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二年目。 23　第三章　一年宿舎

[★二年目　連載]

2010年6月28日 0時56分の記事

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「いいかな？」
アイリスははっ！として振り返る。
見ると…やっぱりスフォルツァだった。
自分もそうだが、興味を引かれた相手にはなるべく時間を置かず、自分をアピールして置くものだ。
スフォルツァも相手を落とす手管を知り尽くして居るようだった。
しかも相手に魅力的に見えるよう、顔を少し傾けて見つめる。
年上の女には効果的だった。

アイリスは慌てて胸元を終うと、スフォルツァに微笑む。
「もう荷物は片づいた？」
スフォルツァは苦笑した。
「それを君に聞こうと、思ってた所だ」
そして室内を見回し
「凄く、趣味がいいね」
と褒める。

壁紙は許可を取って貼り直し、紺地に金の飾り模様が散りばめられていた。
床上から腰辺りの壁板は、落ち着いた濃いピンクで塗られ、象牙色の彫刻が、四隅に彫られている。
カーテンは壁板同様、濃い落ち着いたピンクで、金の房飾りのカーテン止めで括られていた。
テーブルや箪笥、物を乗せる小テーブルに至まで全て象牙色で、その表面には色鮮やかな花が描かれている。
椅子は大小大きささえ違う物の、統一されたように全部の木枠が金で塗られ、鮮やかな赤い布が張られていた。

アイリスはその豪華な室内で、出来るだけ優雅に微笑む。
「君の所だって、負けてないだろう？」
スフォルツァは否定せず頷き、隣室の扉に手を掛ける。
「寝室だろう？
見てもいい？」

アイリスは正直、こいつは凄い垂らしで手が早い。と思った。
初日にさっさと、頂かれてたまるか。と内心つぶやくが、にっこり微笑む。
「どうぞ」
お手並み拝見して置こう。そう思って。

スフォルツァは頷いて扉を開け、中へと消える。
アイリスは腕組んで、その場に残った。
暫くしアイリスが一緒に来ないので、スフォルツァが扉に手を掛け、顔を出す。
「俺が勝手に室内を見回っても構わないのか？
物色するとか、思わない？」
アイリスは微笑んだ。

冷笑になりかけるのを、必死で可憐な微笑みに変える。
「君は盗んだりしないだろう？だって」
が、スフォルツァは意味ありげに微笑む。
そして再び室内へ消えて行った。

暫くし、ガタン…！だとか…物を動かしたりする音がし、アイリスは一瞬、衣服箪笥を開けているのか？と慌てて室内の扉を蹴立てて中へ滑り込んだ。
途端、だった。
腕を取られ気づくと…スフォルツァの、腕の中に居る。
スフォルツァは茶目っ気たっぷりに悪戯っぽく微笑み、そして体を一層抱き寄せると顔を寄せ、あっという間に唇を奪った。

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