二年目。 31　第四章　アイリスの寝室 - 「アースルーリンドの騎士」

オリジナル小説「アースルーリンドの騎士」
「二年目」のミラーサイトに成っちゃいました。
昔はこっちが本家だったんですが………。

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二年目。 31　第四章　アイリスの寝室

[★二年目　連載]

2010年7月7日 1時18分の記事

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　食事が終わると案の定、立ち上がる背に、スフォルツァが手を、添える。
顔を傾け見つめる瞳は、少女をエスコートする紳士。のようで、皆がつい、スフォルツァに声を掛ける。
「もう、行くのかい？」
スフォルツァは鮮やかな笑顔を皆に向けると
「彼の教科書を、見せて貰う約束なんだ」
一人が笑顔で叫ぶ。
「僕も一緒に見て良いかい？
どんな内容か、凄く興味あるんだ！」
教科書は各自持参で、それぞれの家に伝わる書物を持ち寄るものだから、内容は皆バラバラだった。

が、隣の一人が、しっ！と彼をたしなめる。
スフォルツァがじっ。とその言葉に、グリン・グレーの瞳を向けていた。
「お前、邪魔だよ」
一人の小声に、スフォルツァは笑う。
「…どうして？」
「鈍いな！」

アイリスがその無邪気な彼に、たしなめるように告げる。
「彼と議論の途中で、決着を付けたいから…。
私の教科書に興味があるんなら、別の機会を作るけど、それじゃ嫌かい？」
彼はアイリスの濃紺の瞳が誠実に注がれるのを見て、つぶやいた。
「勿論、見られるんならいつでもいい」
アイリスは微笑み頷くと、スフォルツァがその背を手で軽く押して促す。

まるで少女を抱くように、スフォルツァが彼のその背に腕を回すのを、全員が見つめ、一人がぼそり。とささやく。
「彼は自分の物だ。と言う事らしい」
教科書を見たがる彼を覗く全員が、気品溢れる美少年がもう絶対自分の手には届かない。と知って、落胆の吐息を吐き出した。

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