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二年目。 73 第七章 アイリスの怒り
[★二年目 連載]
2010年8月20日 0時59分の記事





しかしアドルッツァと並んでスフォルツァを後にするアイリス。

ってモロ、純情な少年の心を弄ぶ悪女っぽい。

シェイムが同情するはずです…。

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「彼はお前に惚れてるな?
………その色気はまさか、あいつと夕べ?」
馬車の扉を開けてアイリスを促すと、アドルッツァはその背にそうつぶやく。

アイリスは座席に腰掛けると乗り込むアドルッツァを迎えながら、口を開く。
「相変わらず鋭いな。
さっき言った、最悪に厄介なのは彼だ。
凄く、惚れ込まれてシェイムに悪女扱いされてる」

馬車が走り始めてもアドルッツァがずっと、吹き出し続けるのを耳にアイリスはぶすっ垂れて言った。
「いい加減、笑い止んだらどうだ?」
「いや…くくくっ!
いや失礼!
流石のお前も、純愛には術が無いか!

エルベスと一緒に、お前が大人しく上級生に他の美少年同様、犯されてる筈が無い。と首捻ってたが、やっぱりだったな!

…それで?
護ってくれる騎士として彼を垂らし込んだものの、思ったより惚れ込まれ過ぎて困ってたのか?」

アイリスは憮然。とした。
「垂らし込んでない!
代わりに一学年のボスに成ってもらおうと、愛想をちょっと、振りまいただけだ!」

アドルッツァは真顔に成った。
「やっぱりお前が、学年一の身分だったか?」
アイリスはその美男に振り向く。
「おかしいだろう?
シャリス(アイリスの父親)の家柄だったらせいぜい、二番か三番目なのに」

「講師共も、エルベスとお前の血の繋がりを無視、出来なかったんだな」
「お陰で必死に工作しなけりゃならない」

アドルッツァが、揺れる馬車の窓の外の緑一面の景色へと、視線を振る。
アイリスが気づき尋ねる。
「…何?」

アドルッツァは緑溢れる森が過ぎ行く景色から、アイリスに視線を戻しささやく。
「だって普通は逆だ。
二番目か三番目の筈なのに、トップに立てるんだからな。
喜ぶのがマトモな14の若造だ」

アイリスの、眉間が寄る。
「マトモな若造やって、四年間の自由を棒に振る気は無い!
あんたが言ったんだ!アドルッツァ!
学年のボスなんて苦労ばっか。
責任の所在の無い下の方がうんと、自由が利く。と」

アドルッツァは呆れた。
「それで…さっきの彼に、肩代わりさせたのか?
何と言って?」
「体が弱い。と嘘付いて」

アドルッツァはまじまじと、本物のお姫様のように綺麗で小柄で気位の高いシャリスと面差しの良く似たその息子、アイリスを見る。
アイリスは明らかに母方の血を受け継ぎ、シャリスと違って大柄だった。

シャリスがアイリス位の年齢の時、折れそうに華奢で、そこらの女の子より余程…か弱いお姫様のように、見えたものだ。
そんな子が教練なんかに入学なんてしたら当然、飢えた猛禽共の餌食に決まってる。

自分を始めその友人達はどれだけ苦労してシャリスを護った事か。
だがアイリスはタフで器用で頭が良く、世渡りも上手い。
シャリスの時のような心配とは縁遠い。と、彼も今だシャリスを取り巻いてる友人達も顔を合わせる度にそう話してた。




つづく。

ベルこの連載を最初から読む。
上のページを開き、下から順に
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新しいタブを開く。か
新しいウィンドウを開く。

で、別窓を開き、元のページは目次。として
開けたままにしてお読み下さい。


ベルこの連載をまとめて読む。
『北領地[シェンダー・ラーデン]の恋人』
の後の
『二年目』のタイトルからお読み下さい。



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