アースルーリンドの騎士『二年目』　35　剛胆な、男　17

オリジナル小説「アースルーリンドの騎士」
「二年目」のミラーサイトに成っちゃいました。
昔はこっちが本家だったんですが………。

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アースルーリンドの騎士『二年目』　35　剛胆な、男　17

[★二年目　連載]

2012年12月6日 18時2分の記事

さて、アイリスも流石相手がマレーだと

庇う役割で心から満足でしょう…。

ギュンターは多数の相手にマメに足を運び面倒見がいいですが

アイリスも同様ですね…。

モテる男の条件ってやっぱり一致してる？

どっちも近衛に上がると、モテる近衛の男達の中

グンを抜いて多数の女性に取り巻かれてるので…。

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イラスト入り登場人物紹介(まだ全部じゃありませんが…)
王冠２

アースルーリンドについて。国の紹介

恋の矢

「二年目」を最初から読む

知らなかった。
ただ、父と一緒に回っていたから…父と共にその時間も消えただけだと…そう、思ってた。
自分を見捨てた父親への、もう決して取り戻せない愛情は、今も心の片隅で氷りついたまま。

けれど自分が…豊かな作物を育てる農夫達との心からの語らいを…こんなにも愛していただなんて…気づかなかった。

その時ふいに、教練に旅立つ荷馬車に乗り、項垂れて揺られているのを…馴染みの農夫が鍬を肩に載せ、道端で…とても悲しげに、心配そうに見送る姿を思い出した途端、マレーは込み上げるようにしゃくり上げた。

もう大声で泣き叫びそうで、マレーは必死に口に手を当て、声をこらえた。
ぶるぶると身が震え…けれど涙がぽろぽろと、口を押さえた手の上に次々と滴り落ちて行く。

気づくと…包まれるように抱かれていた。
アイリスが馬上の、横から腕を回し。

アイリスがその腕で、抱いて隠してくれていた。
少し顔を上げると、フィフィルース、アッサリア…そしてディオネルデスが、悲しげにこちらを斜め前から伺い、アイリスは微笑んで彼らに頷く。

三人が馬を止め、戻って来ようとするのに告げる。
「私が見ているから。
落ち着いたら、必ず追いつく」

三人はまだ、心配げだったけど、アイリスの言葉に頷いて、馬の首を元に戻し、皆の進む方向に馬を走らせた。

彼らが行ってしまうと、アイリスがそっと呟く。
「…もう声を、上げて泣いても構わない」

それを、言われた途端顔が揺れた。
そして気づくと、おうっ…おうっ…しゃくり上げながら…無様な声を夢中で上げていた。

アイリスは真っ直ぐ前だけを見、腕を回し肩を抱いたまま…。
でもその温もりが、あんまり暖かくて、マレーはとうとう自然に出る叫びのような泣き声を上げ続けた。

つづく。

今日も読んでくれてありがとう

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 『幼い頃』

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