アースルーリンドの騎士『二年目』　35　剛胆な、男　42

オリジナル小説「アースルーリンドの騎士」
「二年目」のミラーサイトに成っちゃいました。
昔はこっちが本家だったんですが………。

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アースルーリンドの騎士『二年目』　35　剛胆な、男　42

[★二年目　連載]

2013年1月1日 22時56分の記事

ど迫力のオーガスタスの、素の怒鳴り声でもビビらなから

ギュンターと悪友してるんでしょうね。

オーガスタスってば。

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イラスト入り登場人物紹介(まだ全部じゃありませんが…)
王冠２

アースルーリンドについて。国の紹介

恋の矢

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ギュンターは正面でまだ足を大きく広げ、剣を後ろに引き構えたままのオーガスタスに、左手を大きく振り上げ、指さし怒鳴った。

「もう終いにしたいのか！
俺の気はまだ全然、済んでないぞ！」

会場中に、その短時間ながらの激しい攻防に詰めた息を吐き出す音が、満ちた。

オーガスタスは広げた足を戻し、髪に顔が隠れる位俯くと、咄嗟に顔上げ怒鳴り返す。

「…ああ俺の失態だ！
もっと上に当ててもうちょっと打ち合う気ではいた！
狙い損ねたのは謝る！一応な!!
言い訳には成るが言わせて貰うと！
そっちの剣は通常の1/3しか、無かったし!!!
ちょい下にずれたとは思ったが…それでもお前の握る手に、ブツけないだけで精一杯だったんだ！
俺だってたったこれだけで！
好きで試合を終わらせたと思うのか?!」

会場はマジギレして怒鳴り返すオーガスタスを、呆然と見た。
いつも穏やかな、微笑しか見た事無かった下級生達はマジマジとその、教練一長身で立派な体格の、男が歯を剥いて怒鳴る様を、怖気て見入った。

が、怒鳴られたギュンターはふてきって横向いていた。
そして立ち会いの講師を憮然と見る。
講師は気づいてギュンターを、見返す。

「…試合は終わりで俺が、負けたんだな？」

講師はその、ぶすっ垂れた美貌の顔に弾かれたように我に返り、頭を軽く揺らし、呻くようにつぶやく。
「まあ…そうだ」

ギュンターは憮然としたまま、講師にもオーガスタスにも背を向け歩き出し…思い返したようにオーガスタスに振り向くと、怒鳴った。

「今度は折れない剣でやろうぜ！」

オーガスタスは剣を下げ握っていた、真っ赤に染まる左手の平を見ながらその言葉に顔を上げ、言い返す。

「…課題で煮詰まり、喧嘩相手が居なかったら相手してやる。
お前だって監督生と週末は女の相手で、忙しいんだろう？」

ギュンターはかっか来て怒鳴った。
「ディングレーとも！
決着が付いてないんだ！
俺は教練ルールが、大っ嫌いだ！」

オーガスタスが、高い背を屈めながら、ぼそりと言った。
「それは俺も同じだ」

ギュンターは一つ、大きく頷くと、段々になってる三年席へと、だかだか足音立てて憤懣やるかたないと言った表情で、帰って行った。

が皆ギュンターの戻り行く背を見つめ、一斉にぼやく。

「…折れない剣…？」
「まさか、真剣か？」
「オーガスタス相手に………？」

皆、ぞっとして顔を、下げきった。

つづく。

今日も読んでくれてありがとう

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