アースルーリンドの騎士『二年目』　36　一触即発　9

オリジナル小説「アースルーリンドの騎士」
「二年目」のミラーサイトに成っちゃいました。
昔はこっちが本家だったんですが………。

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アースルーリンドの騎士『二年目』　36　一触即発　9

[★二年目　連載]

2013年1月11日 23時44分の記事

初めてギュンターが

ローランデとゆっくり五月蠅い外野無しで

話すシーン。

作者としては、ようやく…。

ってカンジ。

ギュンターのデレつく振りが

少しずつ出て来ます。（笑）

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王冠２

アースルーリンドについて。国の紹介

恋の矢

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こんこん…。
ノックの音に、ローランデが気づいて扉を開ける。

見るとギュンターが、ラナーンを伴って立っていた。
ギュンターは自分より背の低いローランデに、屈み囁く。
「こんな遅くに、済まない…」

が、ローランデは背後、室内に振り向くと召使いの名を叫ぶ。
「ミュッセル！」

バン！
扉が開いて慌てて召し使いが姿を現すと、ローランデが告げる。
「至急何か暖かい飲み物を用意して貰える？」

召使いは頷く。
ローランデはそして直ぐ振り向き、ギュンター横のラナーンに寄り、その肩を柔らかく抱く。

顔を覗き込み、励ますように微笑み…その手はラナーンの背に暖かく添えられ、ギュンターは心から、二学年筆頭のその気配りに安堵した。

ラナーンを室内へと促し、背後ギュンターに振り向き見つめ、どうぞ…と指し示す。

ギュンターはその室内に歩を踏み入れ…銀と淡い緑や紫、ピンク色の装飾の、素晴らしい部屋を見回した。

はっきりとした色は無く、全体が白っぽく見える。
が、どの飾りも銀で、刺繍は銀と淡い色で織られ、カーテンに至るまで。

優しく、落ち着いた色合いで、ギュンターはその淡い色を保つ、掃除人が見事だと思った。

ディングレーの所の、金を基調とした落ちつか無さは無く、だがさりげなく飾られては居るが、どれも手の込んだ彫刻が施され、素晴らしく高価な物ばかりだと解る。

が、ローランデの人柄同様、主張の強さは見当たらない。

ローランデは淡い色の、手の込んだ刺繍が施された椅子にラナーンを導き座らせ、そっと囁く。
「今…落ち着く飲み物を運ばせるから」

そう優しく告げている姿は、気品溢れる美しい彼の姿に相まって、天使のようにギュンターの、瞳に映る。

…だからと言って、彼と対戦したあの緊迫感は拭えず、がつい…彼の人柄そのままの、美しい室内をもう一度、見回した。

「すみません…こちらにおかけ下さい」
丁寧にそう告げられ、ギュンターは彼の寝間着姿に、ぼそりと囁く。
「すまないのはこちらの方だ…。
もう休むところだったんだろう？」

が、ローランデは微笑を零す。
「ふいの事態はいつでも訪れます。
気兼ねは無用」

そう言った彼は、確かに武人の表情(かお)をしていた。

ギュンターはその、豪華な椅子にそっ…と腰掛ける。
が、ディングレーの自室と違い、豪華だが寛げる居住まいにほっ…と吐息吐く。

直、召使いが銀食器のティーセットを持ち入り…ローランデはそれを助け持ち、後は自分がやるから休んでくれ。
そう、優しく告げている。

ギュンターが見ていると、ローランデはポットを持ち上げカップに注ぎ、俯くラナーンに差し出す。
「とても…落ち着く。
ハーブティーだから」

ラナーンはもう…ローランデにつっかかる気も無く、こくん…と頷く。
解っているようだ。
駆け込む先がもう…ここしか無い事が。

つづく。

今日も読んでくれてありがとう

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 『幼い頃』

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