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アースルーリンドの騎士『二年目』 39 続く、襲撃 15
[★二年目 連載]
2013年4月10日 16時24分の記事



さて。

四年ではリーラス。

三年ではデルアンダーとテスアッソン。それにダベンデスタ。

一年ではディオネルデスにアッサリアにフィフィルース。

と、主要キャラじゃないサブキャラを出しました。

二年ではシュルツになりますね。

スフォルツァが、意地悪な三年監督生

ミシュランに虐められた時、庇ってました。

さわやか系なんだけど、地味っちゃあ地味。

フィンスも他のキャラと比べると

地味系かも。

フィンスはローランデにべったりで

ミシュランはフィンスを介して

皆とローランデの橋渡し役のようです。

まあ、ローランデって本人自覚無いけど

近寄りがたい。

特に俗な奴らには神聖すぎて。

ローランデが猥談出来ないのも

多分その一因でしょう(笑)

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王冠2 イラスト入り登場人物紹介(まだ全部じゃありませんが…)
王冠2 アースルーリンドについて。国の紹介

恋の矢「二年目」を最初から読む恋の矢

 ローランデは起きて来るレナルアンに微笑を向ける。

朝日の中微笑むその剣聖を、レナルアンは一瞬惚けて見つめた。
完璧な“美”があるとしたら、きっとこんな風だ…。
人間にすら、見えない。
朝の光に包まれている彼は。

優しい明るい栗毛と濃い栗毛が交互に混じる髪を背に流し、青の瞳はどこ迄も澄んで見えたし、気品が漂い同種の人間に見えなかった。

「…大貴族用の食堂でこれから朝食だけれど…良ければ君の部屋に用意させる」
レナルアンはローランデの優しい声音につい、俯く。
「…あんたが…恥かきたくなければ部屋で取る」

ローランデは目を見開く。
「…恥?」

レナルアンはまだもじって俯く。
「その…俺、行儀良くないし………」

ローランデは途端、笑った。
「それは皆気にしやしない」

レナルアンはぱっ!と笑う。
「ならどこだって、食べ物があれば平気だ!」

ローランデは微笑んだ。
「…先に行っててくれないか?
ミーシャの様子見るから…」

レナルアンは気づき、つかつかと、自分の部屋同様召使いが掃除し整えたもう一つの部屋の扉を開ける。

「…………………」
中を見て、沈黙するレナルアンの横から、ローランデが室内を伺う。
ミーシャはぐっすり、眠っていた。
青ざめて見える少しこけた頬。
髪が乱れ散らばり、その中でやっと得た安寧のように、睡眠を夢中で貪ってるように見えた。

レナルアンが扉閉めて、自分より上背の、ローランデを上目使いで見つめる。
「…休ませてやらないと………。
俺みたいに何でも平気な雑な育ち方してないからな」

ローランデは頷く。
「ミーシャは…家がいいの?」

レナルアンは吐息吐く。
「…俺、実は貴族じゃないんだ」
ローランデは密やかに眉寄せる。
「グーデンの口利きで?」
レナルアンが頷く。
「…ミーシャはちゃんとした家で育ってる。
まあ…金があるだけで、母ちゃんは高級娼婦と変わらないって!
親父さんも…母ちゃんが実子だって言って騙してて、実父じゃないって」

「………………………」
ローランデは呆れて、目見開いて沈黙した。

レナルアンはバツ悪そうに、ローランデを見る。
「あんたみたいなちゃんとした家柄の人にはその…分かんないと思うけど。
まあそれなりに、ミーシャの母ちゃんはミーシャを心配してたから…食うに困らないようにしてたんだと思う。
ひもじいと最悪だしな!」

ローランデはつい…レナルアンを気の毒そうに見た。
「君は…?
困ってたの?」

レナルアンは肩竦める。
「周囲は農家ばっかの田舎だし、腹減ったら仲間と畑から盗んだり…川で釣りが出来れば一応腹は膨れる」

ローランデがまだ、見つめているので、レナルアンは肩竦めた。
「空きっ腹は抱えるけど、飢えた事は無いよ」

ローランデはようやく、ほっとしたように、こくん。と微笑って頷いた。
そんな…自分の事のように心配してくれるローランデを見て、レナルアンはそっと言った。
「あんた…凄くいい人だな。
いい香りがして綺麗で、凄く近寄りがたいけど…。
不自由したらいつでも言ってくれ!
俺、口使うの上手いし…あんただって近衛に上がったら、“夜付き人”の世話になるんだろ?」

「………………………………………」
ローランデが思い当たらず、言葉を探しているので、レナルアンは言った。
「だって年頃だと、すぐ股間がむずむずして、ちょっとした事で勃っちまうだろ?」

ローランデが途端、真っ赤に成るのを見て、レナルアンは項垂れた。
「ごめん。
上品な奴はこういう言い方、しないの?」

ローランデは首を横に振る。
「そうじゃなくてその………確かに、そういう直接的な会話はしないけど、つまり…………」

が、レナルアンは突っ込む。
「そういう時、どうしてるの?
一人で、手でしてる?」

「…………………………………………………」
ローランデがまた、俯いたまま言い淀んでると、声。

「彼みたいな上品な男は、どうしてるかなんて私的な事は他人には、明かさないものだ」

二人が振り向くと、シュルツがそこに居た。
「悪い。声がしたんで勝手に入らせて貰った」
ローランデは笑って頷く。
「一向に構わない」

レナルアンがシュルツの姿見て途端、気さくに話しかける。
「じゃローランデ相手に、こういう会話はマズいのか?」

ローランデが見てるとシュルツが頷く。
レナルアンは無邪気にローランデに笑うと、言った。
「ごめん。これからは気をつける!」

ローランデはついつられて、にっこり笑い返した。

戸口でシュルツはレナルアンが食堂へ行く背を見送り、室内のローランデに振り向く。
「レナルアンは君の手に負えないぞ?
ラナーンは結局フィンスのとこに入り浸りだろう?
彼ら皆、グーデンらの愛玩してたんだ。
そのテの話は避けて通れない」

ローランデが少し、むくれる。
「…ギュンター殿とオーガスタス殿に託されてる。
私じゃ役不足か?」

シュルツが短い吐息吐いて囁く。
「それぞれ得意な事があるから、そういう相手が適任だと言う事だ。
剣では誰でも一番に君の名を上げる。
私はレナルアンに何聞かれても平気で会話出来る」

ローランデが、俯ききった。
「食事の席で、レナルアンに聞いてみる」

シュルツが、頷いた。



つづく。




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