アースルーリンドの騎士『二年目』41　陽気な情事 27

オリジナル小説「アースルーリンドの騎士」
「二年目」のミラーサイトに成っちゃいました。
昔はこっちが本家だったんですが………。

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アースルーリンドの騎士『二年目』41　陽気な情事 27

[★二年目　連載]

2013年6月12日 18時27分の記事

ラナーンの頑張りには

切なくなってしまいます。

為す術がなかった彼が道を得た今

ありったけで突き進んで行く様は

でも悲痛でありながら同時に、ほっとします。

ヤッケルってばやっぱり

ローフィスみたいなお兄ちゃん性質。

いいヤツです。

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「二年目」を最初から読む

　ヤッケルはラナーンを、見た。
もうとっくに、ギュンターはレナルアンと事を終えてる筈だった。

シュルツがもう二度
「夕飯はいいのか？」
と顔出していた。

この部屋はシュルツがレナルアンの為に用意した部屋で、ラナーンはレナルアンと部屋を入れ替わり、フィンスの私室に用意された自室を、ギュンターと情事を過ごすレナルアンに宛がった。

ヤッケルはラナーンの様子を伺うが、ラナーンははぁ…はぁ…。と両肩波打たせながら、それでも剣を手放さない。

短剣は驚く程、上達していた。
渡した…的用の板はもう六枚目。

今は部屋の数カ所に置かれ、成果を見せろ。と促した時、ラナーンは的を見ず、振り向き、瞬時に横の的に短剣投げ、直ぐ殆ど見ないで前。
最後、前を向いたまま後ろの的へ、脇の下から短剣放って的に当てた。

唖然。としていた。

きっと…時間があればずっと、投げていたに違いない。
そして…自分には長剣の相手を。と所望され…もう立て続けに一時も休まず、剣を振っている。

ラナーンはまだ力が弱く、そして揺さぶりにも弱かった。
が、討ち取られる度に見せる、激しい闘志はいや増すばかり。

まるで…武器無い弱い虐げられた生き物が武器を得、虐げてきた者ら全てを、打ち倒そうとしているように見える程のきつい瞳。

一旦剣を交えると、火花散るような激しい攻めを連続して打ち込んで来る。
時には逃げ場に困る程の気迫を込めて。

もう、数度追い詰められたから、ラナーン相手に遠慮は止めた。
自分の剣で相対す。

得意のくらましで外し(遊びで剣をたわいなく振り、目くらましに使う)、攻撃してくるタイミングで一旦引いて間を作り、リズムを崩してやると隙を見せ、動揺したラナーンの剣に剣を振り入れると、ラナーンは剣を手放し敗退する。

…どうしても…そういう攻撃には為す術が無いようで、もう連続五本、同様に捌くが、ラナーンは諦めなかった。

剣を構えながら、ヤッケルはつい尋ねる。
「…もう…ギュンターは三年宿舎に帰っちまうぞ？」
カン…！
が、ラナーンの気迫はいや増すばかり。

カン！
カンカンカン！

ラナーンの突き刺すような剣を、ヤッケルはそれでも合わせ止め、そして…一瞬間を開け、直ぐ突っ込んで…。

ガッ！
カラン！

はぁはぁ…。
ラナーンは激しく息切らしながら、それでも落ちた剣を、拾う。

つづく。

今日も読んでくれてありがとう

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 『幼い頃』

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