アースルーリンドの騎士『二年目』42　哀惜　10

オリジナル小説「アースルーリンドの騎士」
「二年目」のミラーサイトに成っちゃいました。
昔はこっちが本家だったんですが………。

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アースルーリンドの騎士『二年目』42　哀惜　10

[★二年目　連載]

2013年6月27日 18時44分の記事

オーガスタスが登場です…。

ディアヴォロスもオーガスタスも

とても深い印象を

セシャルに残してます。

まあオーガスタスはギュンターと違って

抱いて助け止める。なんて無理で

敵殴って蹴散らす。

が性にあってるでしょう………。

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王冠２

アースルーリンドについて。国の紹介

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「…二年に成ってからは…もう殆ど暴挙は無くて…不思議に思ったけれど、毎回訪れる上級生に…コルスティン様は金を払って…」

そして顔を、上げる。
「それも大金を！
金貨が三十枚も入った革袋を…渡していらっしゃった！
その度に…ご自宅から持っていらした、宝石の付いた持ち物が消えていました………。
けれど彼は私には何も言わず………そして…週末は町のカーニバルに連れて行って下さったり…別宅でもてなして下さったり…………。
彼の別宅番に優しくされ…彼が懇意にしている老女中に…恋人だと紹介されました。
そんな…風に………私はあの方と時を過ごす事に夢中に成った」

“まるきり恋人扱いか…”
ギュンターはそれを聞いて心の中で呟いた。

「…だ…から………あのお方に応えたかった………。
けれど…………」

セシャルはやはり、壮絶に心引き裂かれる表情を見せた。
苦しげで…呼吸もままならない程の。

「………あの…方が実家にお帰りに成られる時…私も家に帰りました。
着実に…剣士としての道を歩んでいると…そう、嘘をついて………。
そして、週末が開けて再びあのお方に向き合った時、あの方は顔を背け…。
面会に………女性が来た時は私は別室に下がらされました。
一度…部屋を出た時、初めてそのお方と出会ったのです。
マリアンネ様…。
とても…可愛らしくお美しい女性で…。
同時に初々しく良家の子女としての嗜みも気品も兼ね備え………。
コルスティン様は気まずそうに…マリアンネ様が私を側仕えの者と勘違いしても、それを正さなかった……………」

セシャル俯いたまま、その時の衝撃に、耐えている様に見えた。
だが、思い出した様に明るい表情で顔を上げて、ギュンターを見た。
「一度…私が二年の時、コルスティン様に内緒で、当時の四年のグーデン様の取り巻きの男に腕を引かれ、連れ込まれそうに成った時、オーガスタス様が助けて下さいました！
今でも、あの方の勇姿が目に、焼き付いています。
相手は三人居たのに…オーガスタス様に取っても上級生だったのに…。
あの、髪が散った時赤く…見えました。
体格で劣らぬどころか勝るあの方は…三人相手に素晴らしい立ち回りで………。

それでも掠った拳で唇の端に血を滲ませながら…三人が逃げて行くのを見送った後、私に振り向き
『大丈夫だったか？』と…………。

ディアヴォロス様とは違い、太陽のような方で…、とても…気さくなお方で…………」

ギュンターはつい、言った。
「オーガスタスがもし…君の手を引き、言ったら…？
コルスティンを振ったか？」

「…何て？」
「“俺と行こう”と」

セシャルは暫く、ギュンターを見つめた。
「…あのお方はおっしゃらない」
「だがもし…？」

セシャルは、震えていた。
「…あの時ですら…グーデン様の下に居るも同然の私等庇ったら…ひどい報復をされるのに………。
そんな…事に成ったら、オーガスタス様は退学に追い込まれてしまいます！」
「だがディアヴォロスがさせない。
…そう聞いてる」

が、セシャルは首を横に振った。
「無理です！私には出来ません…！
あの…方にご迷惑をおかけするなんて………！」

セシャルは暗闇に灯った、たった一筋の灯りを失うまいとするように、必死だった。

つづく。

今日も読んでくれてありがとう

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