アースルーリンドの騎士『二年目』　49　それぞれの時間　8

オリジナル小説「アースルーリンドの騎士」
「二年目」のミラーサイトに成っちゃいました。
昔はこっちが本家だったんですが………。

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アースルーリンドの騎士『二年目』　49　それぞれの時間　8

[★二年目　連載]

2014年3月19日 16時31分の記事

今日はテスアッソンです。

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王冠２

アースルーリンドについて。国の紹介

恋の矢

「二年目」を最初から読む

　テスアッソンはセシャルが、次々と踊りを申し込んでくる品のいい美少女達相手に踊る度、どんどん男性らしさを取り戻し、凜々しい騎士に見える様に微笑む。

セシャルの、大公家のお付きの男が毎度こっそり毛並みのよさそうな美少女に話しかけ、セシャルが踊り終わるタイミング見計らい、その背をそっとセシャルの方へ押し出すのを幾度も見る。

解き放たれた美少女は、踊り終えたセシャル見上げ、頬染めて踊りを申し込んでいた。

その計らい事する男と目が合った途端、美男だが控えめなその濃い栗色巻き毛の男は、秘やかに見つめてる自分に微笑んだ。
テスアッソンは無言で一つ、頷いて了承の合図を送る。

…多分、アイリスの美男揃いの召使い達は、男ばかりの教練の息抜きとして華やかな美少女達を、舞踏会や少女に不慣れな教練生らに、次々宛がってるんだろうな。
そう推察付く。

自分が今踊ってるのは、領地での馴染みの少女。
自分のお付きの男をチラ…と見ると、彼は別の教練生の為の美少女調達を、手伝っていた。

「(流石大公家。大した策士だ。
招待した以上は、そこ迄世話するのか…）」

テスアッソンは知り合いの少女と踊りながら、その大公家の徹底したもてなし振りを見て
「（見習おう…）」
と、心の中で秘かに決意した。

が、少女を肩に担ぎ上げて回った時、デルアンダーがシャクナッセルを持ち上げているのが視界に入り、あんまりびっくりして肩に乗った少女を落としそうに成ったし、次に横で足を前後に開いて腰を床に落としてく少女から、視線を何気に斜めに振った時、ディングレーの黒髪背に流す男らしい姿の横でアイリスが少女同様、足前後に開いて腰落とす姿が目に入った時、やっぱりぎょっ！として、横の少女の伸ばした足に蹴躓き、もう少しで転びそうになった。

「(いくら飾り舞踊だからって…。
舞踏会で踊る相手が男？
…………有り得ない………)」

床に腰落とす少女を一気に引き上げながら、ふと思い出す。
ギュンターがローランデと踊ってた事を。

「(いやだがあれはどう見ても、舞踏会にも踊りにも不慣れなギュンターを、ローランデが導いてるように見えた)」

そして、改めてデルアンダーとシャクナッセルを見る。
どちらも慣れた様子で二人共が似合いの美しいカップルで、流麗な踊りを披露していた。

ディングレーとアイリス。
確かにディングレーは不器用で雑な様子だったが、それが半端なく男らしく、ちゃんと次にどう踊るか、解ってる様子でアイリスにリードされてる様は見受けられない。

「(…………………舞踏会の、有り得ない余興だ。
一晩寝たら忘れよう………)」

テスアッソンはそう固く決意して、彼らの踊りを極力見まい。
と顔を背け続けた。

つづく。

今日も読んでくれてありがとう

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 『幼い頃』

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