アースルーリンドの騎士『二年目』65　奪還　7

オリジナル小説「アースルーリンドの騎士」
「二年目」のミラーサイトに成っちゃいました。
昔はこっちが本家だったんですが………。

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アースルーリンドの騎士『二年目』65　奪還　7

[★二年目　連載]

2015年7月13日 12時49分の記事

アイリスの事を思う為に厳しいシェイムの叱咤。

シャクナッセル奪還に喜ぶのは、デルアンダーだけでなく…。

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アイリスは、そっ…とシェイムを見上げる。
「幾ら出来損ないの王族でも、砂に紛れた蠍くらい厄介だと!!!
そう申し上げた筈ですよね?!」

シェイムに怒鳴られ、アイリスは思いきり、項垂れる。
だがそっと囁き返した。

「…怪我人があれだけ居る上…デルアンダー殿はかなりの重傷。
それをあいつはあくび交じりに『興味無い』
とのたまうもんだから…。つい………。
全く、首謀者の癖に図々しい!!!」

「その相手に、優雅に余裕で歩き去ってこそ、脅威を与えられるとどうして、気づかないんです?!
そんな余裕の無い様で、脅しが本当に効果を発揮すると思ってるんですか?!
こちらに余裕が無いのを、曝したも同然ですよ!!!」

アイリスが、項垂れてシェイムに叱られていると、同行した侍従達が一斉に背後で、くすくすくす…と微笑っていた。

アイリスが顔下げたまま、恨めしそうに背後に顔向けると、皆ますます一層、くすくす笑いを大きくし、アイリスの肩をがっくり。と落とさせた。

ディングレーがシャクナッセルの腕を引き、三年宿舎に駆け込む。
その皆が集う広大な食堂の、椅子が一斉に鳴る。

ガダガタ…ガタン！

手を引いていたシャクナッセルが歩を止めるので…ディングレーが、振り向く。

シャクナッセルは無事帰還した自分の姿を、嬉しそうに見つめる、椅子から立ち上がったデラロッサやダベンデスタらを見、感涙に瞳を、濡らしていた。

「私は、無事ですから！」

ディングレーは、ここを出る時、項垂れたように固まって座っていた彼らを目にした事を、思い出す。

皆はシャクナッセルの言葉に、素晴らしい笑顔を見せ、シャクナッセルは彼らに頷いて見せた。

「怪我は?!」
咄嗟、ディングレーが彼らに叫ぶ。
途端、皆が、怪我も負わぬ自分の身を恥じるように項垂れるので、ディングレーは怒鳴った。

「怪我が無いのは何よりだ！
恥じる必要も無い！
上で心配してるから、連れて上がるぞ！」

皆はそう吠える、王族の男の気遣いに、一瞬で顔を上げ、笑顔で階段を駆け上がる、男らしい姿を見送った。

つづく。

今日も読んでくれてありがとう

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