アースルーリンドの騎士『二年目』 66　告発　6

オリジナル小説「アースルーリンドの騎士」
「二年目」のミラーサイトに成っちゃいました。
昔はこっちが本家だったんですが………。

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アースルーリンドの騎士『二年目』 66　告発　6

[★二年目　連載]

2015年8月11日 0時1分の記事

あまり酷い恐怖だと

人は抵抗することすら、出来なく成るようです…。

セシャルの精神の回復は、まだ…。

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「…剣を、ずっと振って来た…。
始めは、刃を潰した剣で。
その時はどれだけでもその身に叩き込まれていた」

セシャルは遠い思い出のように…剣を習い始めた時の…師の厳しさを思い出す。
彼はいつも自分が子共だと、遠慮等しなかった。

“剣を持つ以上、それを向ける相手は敵”

…だから…子供だと言って手加減等されはしない。

師の剣はいつも、そう語っていた。
痣だらけだった…。

“痛いか？”

体中に剣を浴びてヨロめく足でそれでも…師の前に立った時、そう言われた。

“止めたいか？”

その言葉を聞いた時、顔を上げると…師は優しい眼差しをしていた。

辛いなら、無理して剣士の道を、選ぶ必要は無い。
…そんな、眼差しで。

でも私はあの時、首を横に、振った………。

セシャルは顔を、上げる。
「…貴方を殴れるように成れば…私…でも、奴ら相手に身が…竦んだりはしない…？」

ギュンターはセシャルのヘイゼル色の瞳が、潤むのを見た。
弾かれるように、彼に問う。

「…怖かったのか？」

セシャルは顔を上げる。
頬に涙の滴が伝い、落ちた。

「拉致されただけで…何をされるか解って、身が強ばって………。
まるで“肉体”と言う檻に閉じ込められたように感じ…。
奴らにどこにも逃げ場無く、好きなように嬲られるのだと思うと………もう…どうしていいか、解らない程身が………」

ポロポロと頬に涙が伝い続けるのを見て、ギュンターはもう我慢出来ず、彼に寄って両腕で抱きしめる。

ふわっと…温かいギュンターの腕に包まれた途端、セシャルは夢中でしがみつき、肩に顔を埋め、泣いていた。

悲しさと…悔しさと…混乱が押し寄せ、自分ではどうしようも出来なくて………。

ただ、出口でそして、遠い灯りのようなその人に、しがみついて泣き続けた。

つづく。

今日も読んでくれてありがとう

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 『幼い頃』

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