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くる天
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TALES OF  NIGHTINGALE
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〜〜真実が浮かび上がるのは、夜。見つめるのは、ナイチンゲールの瞳。〜〜
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「ミスタークワド」  〜3Aシリーズ ?〜
 
2010年10月2日 17時25分の記事

           (掲示板公開分再掲(一部補足改訂))

ジュベールが「クワドサイボーグ」なら、プルシェンコは私的には「ミスタークワド」。そして彼のクワドは「ザ・クワド」。これがクワドだ。そういわんばかりのジャンプ、いやもう言ってるか、あの眼は(笑)。

彼のクワドの最大の特徴は、「つなぎという要素」にも書いたように、全く同じ経路で進入し、全く同じ姿勢で踏み切り、全く同じ軌道・軸での回転動作を経て、これまたパターン化された感のある着氷をする、この定型化された「同一性」です。バンクーバーでは、3Aの軸が空中でかなりゆがんでしまっていましたが、そういう意味では3Aよりも同一性が保持されているのですわ。そして彼の「同一性」はおそらく技術面だけに留まらずに、その精神面まで及んでいて、だからこそ大舞台だろうが小舞台(?)だろうが、状況に影響されない成功率をもたらすのだと思います。まさしくクワドの「金太郎飴化」(笑)。
また入りの構えの部分については、女子の3Aとクワドではそのタイプが非常に異なるため、一概に考察上の応用が図れないところもあるのですが、少なくともクワドのみに全神経を集中させている、という意味においては、「クワドのためだけの」入りとなっている、それが「スマート」であるかどうかは別として。仮に「スマート」ではないとしてもその成功率に照らせば、「妥当」であるということはいえると思うのですが…。そしてこの定型化された「同一性」は、彼のクワドにおいては、大きさや高さの追求よりもはるかに優先されているように見える。何故なら、極めて高い確率でクワドを降りられるようになっていたトリノ五輪でも、ただひたすら「金太郎飴化」したクワドを跳び続けていたからです。それはこのバンクーバーでも同じでした。彼がもしその気になれば、ファデーエフのように高さや速さを追求することもその技量を考えれば、あるいは可能でしょう。しかしそんな「野心」は彼のクワドからは見えなかった。彼の飛ぶのは、大きくもならず、かといって小さくもならず、ただ、同じ顔を持つクワド。
ジャッジ面でそれなりの評価を得ていることももちろんあるでしょうが、クワドで高さや大きさを追求することは何らかのデメリットを伴い、それは彼にとってメリットよりも大きいため、彼は定型化クワドを飛び続けているのだと思いますわ。
そして、彼のクワドの最大の長所はやはり、あの、ろくすっぽ6分間滑走もしないで本番に臨み(あれはあれで私的には問題大有りだったのですが、それは本論とあまり関係がないのでここではちょっとおいておいて)、それでも成功させてしまうような、既に、起伏すらない常態化されたともいえるほどの成功率です。そして、前段書きました同一性こそがこの「ザ・クワド」の成功率を担保する最大のものであると私は考えます。あまり彼のクワドを数多く見る機会がないので、一体不可分とまでは言い切れませんが、少なくとも密接不可分とはいえるのではないか。だから直前までどれ程お茶らけていようとも、いざクワドの段階になれば、「いつもの」パターンで跳んで、「いつものように」成功させる、ただそれだけなのですわ。とあっさり書きましたが、それが如何に困難なことか、ジュベールそのほかの難易度ジャンパーの状況を見れば、明々白々です。一日百本ジャンプを跳んでも本番で失敗してしまうのが男子のとってのクワドであり、女子にとっての3Aなのですわ、私的には。
であれば、彼の「常態化された、成功するクワド」や同じく「常態化されつつある」浅田の3Aという、そこに、大きさや高さとはまた別の「価値」を見出すことも可能なのではないでしょうか。
そして、その同一性の保持こそが、難易度の高いクワドを跳ぶ上での必要充分条件なのではないか、というのが私の仮定です。必要なだけでなく、十分なのですわ。
彼のクワドはいうなれば、「信頼のクワド」です、政府保証の効いている国債のようなものでしょうか(ま、ギリシャの例もあるからこのたとえはあまり良くないのかもしれませんが…(笑))。

男子にとってのクワドは、その身体能力限界ギリギリの技であるという点で女子の3Aと共通性を持つと思うのですが、もし彼のクワドへのアプローチが今のところVery Best(最善)なのだとしたら、彼のクワドジャンプのあり方は女子の3Aを考える上でも非常に示唆に富んでいると考えています。

以上、ジャンプの「金太郎飴化」と「成功率」の相関についてのおハナシでした。


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フィギュアについては、個々の選手およびフィギュアというスポーツの特性についても取り上げてみたいと思っておりますが、個々の選手についての記事につきましてはなるべく客観的に捉えて生きたいと考えておりますので、ファンの方にとりまして耳あたりのいい話ばかりにはならないと思いますので、ご贔屓選手については賞賛コメントしか受け付けないという方がおられましたら、その選手についての私の記事はどうかスルーでお願いいたします。文中敬称略にて書かせていただきます。
なお、著作権は”TALES OF  NIGHTGALE”に帰属しております。無断転載等はお控えください。
以上、よろしくお願いします。


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