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[単体]
2010年1月26日 3時18分の記事

■セフィロス単体:SERIOUS■
求めるものは不可能の先に存在している。
一見セフィザっぽいですが、セフィ単体です!

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熱くなるのなんて馬鹿らしい。ずっとそう思ってきた。

暑苦しいやつは嫌いだ。
なんでもかんでもハイテンションで疲れるし、なにしろ見ていて馬鹿らしくなる。

だいたい――。

どうしてそんなにいちいつ熱くなれる?たかだか他人のために。他人のために、だ。

そこに自分へのメリットがあるならまだ分かる。少しくらい面倒でも後々甘い汁がすえるなら、仏の顔にだってなってやろうというものだ。

しかし、違う。
あいつは、違う。



「どうしておまえは他人のために泣く?」

「当然だろ。だって仲間が死んだんだ」

仲間が死んだ日、ザックスは墓前で涙を流した。なんでも一度仕事をした仲であるらしい。

しかしそこがまたセフィロスにはわからない。

だって、一度仕事をしたくらいなのだ。特別仲が良いとかいうわけでもないのに、わざわざ墓前にきて、しかも涙まで流すのである。セフィロスには絶対に考えられない所作だ。

「仲間が死んだときには泣くもんだろ?それが普通だ」

「普通…」

普通は、そういうものらしい。つまり自分は普通じゃないと、そういうわけである。

なるほど、冷たすぎるほど感情の動かないその理由は、つまり自分が普通ではないからなのか。セフィロスはそう解決した。

特殊な自分にはきっと、やはり特殊な状況が起こるのにちがいない。それはつまり、誰の死にも泣かないし、自分の死に誰も泣かない、という状況である。

「天国で元気にな」

涙をふき去ったザックスは、すっくりと立ち上がり、そして墓に背を向けた。

そもそも任務中に立ち寄っただけだったから、そろそろ元のように任務に戻ろうというつもりらしい。

セフィロスはそんなザックスの背後で、そっと石の墓を見つめた。そして、思う。


――この者は幸運だ。


泣いてくれる相手を手に入れた。殉死で昇進なんていうことがたまにあるが、これはいわばそういうことと同じだろう。死んで、泣いてくれる友の存在を確立させたのだ。

熱くなるのなんて馬鹿らしい。
ずっとそう思ってきた。

暑苦しいやつは嫌いだ。
ずっとそう思ってきた。

自分へのメリットなしに他人のために何かをするだなんてさっぱりと理解できないと思ってきた。

しかし今ふとセフィロスによぎるのはこういうことだった。


――もしかしたら。


仮に自分が死んで、誰かが自分のために涙したならば…それはつまり、自分は普通になったということになりはしまいか?

生きているかぎり冷たすぎるこの気持ちは氷解できない。けれどいつか果てたらば……。

そのとき、普通になれるのかもしれない。
死に至ったその先の世界でもし可能ならば、喜ぶことも泣くこともできるかもしれない。他人のために生きることすらできるかもしれない。

しかし今、生きている今、そうできないことがセフィロスには切なかった。

「ごめんな、セフィロス。付き合わせちまって。ありがと」

目の前でザックスが笑う。
他人である自分のために。



セフィロスに理解できない、ほしくても手に入らないそれは、世間ではこう呼ばれていた。

 
 
「愛」、と。
 
 
 
 
END

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