このブログのトップへ こんにちは、ゲストさん  - ログイン  - ヘルプ  - このブログを閉じる 
くる天
カテゴリ
全て (64)
セフィクラ (10)
ヴィンクラ (7)
ザックラ (6)
セフィルー (2)
ツォンルー (13)
レノルー (6)
ルドルー (1)
リブルー (1)
セフィザ (5)
ルドレノ (1)
セフィジェネ (1)
アンジェネ (1)
クラティ (1)
単体 (8)
最近の記事
07/05 14:33 本家サイトのお知らせ
11/17 01:48 うまくいかない日のコーヒー
10/05 08:22 希望という名の
10/03 01:03 わずかな時間の進み
06/15 15:21 10分の決断
02/17 01:59 記念樹
12/07 00:08 幸せの言葉
10/13 02:44 愛した記憶
09/02 01:46 自己満足
08/21 00:53 ロクでもない俺の傍に
RSS
最近の足跡
足跡はありません。
アクセス数
総アクセス数: 66332
今日のアクセス: 4
昨日のアクセス: 14
携帯用アドレスQRコード
QRコード対応の携帯で、このコードを読み取ってください。
リンク
■オウエンマテリア(拍手)
■メール
ブログ内検索

祈り、届け
[単体]
2011年3月14日 21時51分の記事

■クラ単体:SERIOUS■
祈りよ、届け。


【PR】システム構築、ソフトウェア開発はイーステムにお任せください


夢を見た。
天真爛漫な笑顔を振りまいていた彼女が、その夢の中でも綺麗に笑っていた。

「どうしたの?クラウドはいつも悲しそうな顔してるね」

ねえ、笑って?
クラウドが笑ったら、みんなも幸せになれるから。

彼女はそう言うけれど、どうしても笑えなかった。

だって、彼女はもういない。
ここにはいない。
こうして夢の中であえたとして、夢の中でその手をとって頬に触れても、そこには暖かさが無い。

少し前まで、少し前までだったら、そこには鼓動があって、血が巡っていて、紅潮した頬がふっくらと愛おしくて、そこにいるだけで安心したのに、そういった一切のものは失われてしまった。

だから、笑えない。
だって、大切な人を失うことは想像以上に辛くて苦しくて心をカラカラにさせるから。

「俺は笑えない。悲しいときに笑うなんてできない。そんなに器用じゃないんだ」

そう言うと、彼女は笑顔を曇らせて、悲しそうな顔をした。

まるで鏡で映したみたい。
悲しい自分の顔に、悲しい彼女の顔。

自分は辛すぎて笑えないけれど、彼女の表情を曇らせてしまったことにはちょっとした罪悪感を覚えてしまう。

彼女は――エアリスは、いつも笑ってた。
だからこそ。

「ねえ、クラウド。私の祈りはいつかきっと届くよね?」

「祈り?」

「そう。私、祈ってた。最後の瞬間まで祈ってた」

それが届けば良いなって、今でも思うんだよ。
夢の中のエアリスはそんなふうに言う。

彼女は一体何を祈ったのか。
そんなのは決まっている、だって彼女は仲間でありセトラだったのだから。その祈りは当然―――。


「みんなが、笑顔になりますように」


そう祈ったんだよ、クラウド。

クラウドも、他のみんなも、世界中のみんなも、草も木も、大地も空も、全てのものが笑顔でありますように。

辛い事や悲しいこと。
そんなことが沢山あって、そのたびに胸を痛めて、涙を流して、それでも生きていかなくてはならなくて、それは酷く酷く厳しく険しい道のりだけれど、きっといつか笑えるように。

その笑顔の華がこの星中に咲きますように。
そう、祈ってた。

「私の祈り、クラウドには届くかな?」

エアリスはそう言って、ちょっとだけ笑う。
その姿を見ていたら、何だかとてつもなく切なくなって、クラウドはいつの間にかその小さな手をぎゅっ、と握っていた。

最後に彼女が言った言葉はなんだったろうか。
とにかく、最後の最後、夢から覚める直前に、いつかのあの日と同じように、彼女は最高に明るい表情で笑った。




眼が醒める。
横広の薄い視界を全開に開いたら、そこには心配そうに顔を覗き込んでくる仲間達の顔があった。どうやら随分と眠っていたらしい。

「クラウド!よかったあ!」

「全く、心配させやがって!」

「ずっと眠ったままかと思った」

そんな言葉を口々にかけられ、それでも最後に仲間達が安心したといって笑顔になったときには、自分は自分が思うよりも心配してもらえていたのだ、と思った。

「…ごめん、心配かけて」

そう呟いてみる。
そんな言葉をはくのは自分らしくないし、何だか不思議な感じがしたけれど、いざそう口にしてみると、仲間達は口をそろえて安堵の声をかけてくれた。

ああ、みんな笑顔だ。
みんな、笑顔。

――――それは彼女の祈りだった。

ずっと眠っていたらしいベッドから起き上がり、窓辺に身を寄せてみると、どうやら外は快晴らしい。雲ひとつない青い空が広がっている。

ああ、きっと、ここにも笑顔があるのだろう。
そよぐ風を浴びながらそんなことを思ったら、いつの間にか自分も笑顔になっていることに気付いた。

彼女はもう、ここにはいない。
そしてもう二度と触れることはできない。できないけれど。


でも――――。


彼女の祈りは、きっと届いている。
この星に届いている。

そして、この心にも。



END

このブログへのチップ   0pts.   [チップとは]

[このブログのチップを見る]
[チップをあげる]

このブログの評価
評価はまだありません。

[このブログの評価を見る]
[この記事を評価する]

◆この記事へのコメント
コメントはありません。

◆コメントを書く

お名前:

URL:

メールアドレス:(このアドレスが直接知られることはありません)

コメント:



Copyright (c) 2008 KURUTEN All right reserved