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心と体
[セフィルー]
2009年6月2日 2時36分の記事

■セフィルー:SWEET〜SERIOUS■
体だけの関係の行く末。
心と体とどちらが大切なのか?
もしかするとそれは、時として愚問なのかもしれぬ。

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セフィロスとは、体の関係はあったが、恋人というわけではなかった。
それは既に承知していたことだったが、しかしそこに淡い期待がないとはいえない。

できるなら、恋人という関係になりたい。そう思っている。
しかし、初めて体の関係をもったその日、その都合の良い関係を賞賛し受け入れてしまったことは、いまさらそんなシリアスな関係になることを許さなかった。



「特に考えたことはないが、強いて言えば目立たないやつのほうが楽だ。もちろん、従順な」

「…ふうん、そういうのが好みか」

「別に。強いて言えばの話だ」

「…ふうん」

ある日の夜、ベッドの中。
自分から聞いた好みについて、ルーファウスは気の無いような返事を返した。

しかしその心中はやはり穏やかではない。
何しろそのセフィロスの好みとやらは、確実にルーファウスを排除していたのだから。

「おまえはどういうのが好みだ?」

「…別に好みなんて無い」

「そうか?おまえは好みが激しそうだと思ったが」

「勝手な想像だろう?」

「なんだ、やけに機嫌が悪いな」

ふふっと笑ったセフィロスの腕が伸びてきて、ルーファウスの腰をさっと捕らえる。絡みついた腕がルーファウスの体を抱き寄せ、二人はベットの中でぴったりとくっついた。

本当だったらこの甘い時間に酔いしれているところなのだが、その日のルーファウスはそういう気持ちになれないでいたものである。いや、その日というよりも既に、最近こういう感覚が続いているのだ。
理由は既に分かっている、この都合の良い関係の”弊害”である。

毎日べっとりとくっつく関係など面倒だと思っていたルーファウスは、当初、セフィロスの提案した体だけの関係を喜んで受け入れたものだった。表立った関係は勿論、上司と部下、そしてもう一つ、友人、である。

体の関係を持つ友人。
何とも都合が良いと思った。

お互い何となくそんな気分になったら呼び出しあって、抱き合って、その後は普通どおりに接するだけ。恋人にあるような面倒なことが一切ないし、羞恥など考えずにひたすら快楽を追求できる。本当に都合が良かった。

しかし、どうやら人間の心は複雑らしい。
体を知ると、心まで知りたくなった。
そしてそう思う頃には、考えてもみなかった期待を抱くようになっていたのである。

「お前は本当に良い体をしてるな。そそられる体だ」

「…別に、自分では何とも思わない」

「お前は気づいていないだけだ。自信を持つべきほどに良い体をしている」

ルーファウスはその言葉にどう反応することもできなかった。
それは紛れも無い褒め言葉で、だから以前は素直に嬉しいと思っていたものだが、最近はこうして体を褒められるたびに空しさを感じてしまう。

セフィロスがこの関係を続けるのは何故だろう?
好みの体があるから?
その体は呼び出せばすぐにやってきて、金銭授受の一切もなしに容易く抱ける体だ。性欲を吐き出したくなったら、少しくらい甘い声で「会いたい」と呟けばそれで良い。セフィロスにとっては簡単な作業だろう。

そんな簡単な罠に、自分ははまっている。ルーファウスはそう思っていた。
最初は、自分こそセフィロスを利用して性欲を吐き出せば良いなどと思っていたのに、いつのまにか状況が変わってしまったのである。今の状況は、分が悪い。悪すぎる。

何しろ、そう、ルーファウスにとってセフィロスというのは元々好きなタイプの人間だった。余計な世間話はしないし、何しろ強い。物事を静観しているような姿勢にも好感が持てた。こういう関係など考えてもみなかったが、そもそも好みのタイプに一致する人間なのである。

しかしセフィロスは、違う。
ルーファウスとはまるで正反対の好みを持っている。目立たずにいることは副社長のルーファウスには無理に等しいし、従順などという言葉は考えられない。

この関係は、当初は対等だった。
けれどそういった根本的な部分が、段々とこの関係を不平等なものへと変えてしまったのである。

このままこの関係を続けても、セフィロスは別の場所に愛する人を見つけるだろう。その場合、ルーファウスは本当に都合の良いだけの人間になってしまう。ところがルーファウスの方は、体も心もこの場所にあるのだから、そのように切り離した関係を作ることができない。まるで地獄だ。

「――もう止めないか…?」

「…なに?」

「だから。もう…止めよう、こういうのは」

あまりに辛かった。
本当は、セフィロスとの関係全てが切れてしまうことの方が何倍も辛いと思ったが、それでもやはり、いつか来るだろう空しい自分を考えると選択肢はそれしかなかった。

さきほどまでぴたりと重なっていた体が、すうっと離れていく。それが妙にリアルな気がして、ルーファウスは思わず胸の辺りを鷲掴み、セフィロスに背を向けた。その背中に、セフィロスの声が触れる。

「…何故突然そんなことを言う?」

「突然じゃない。何となく、前から考えてはいた」

「何が嫌なんだ?言ってみろ」

「別に嫌なことなんて無い」

「ならば何故?」

何故?、と問われてもうまく答えることができない。
そもそもそんなことを聞くほうが残酷だ。
…いや、それを残酷だなどと思うほうがどうかしているのだろうか。そもそもこの関係は”割り切った関係”として始まったのだから。

割り切った関係。
その言葉を想起した瞬間、ルーファウスはその言葉のあまりにも俗世的な様に思わず自嘲した。よもや、自分がそんな言葉で表現されるような関係を持とうとは夢にも思っていなかったのに。

「何が嫌なのか…私がその答えを口にしたら、お前はそれを改善するとでも言うのか?善処すると?」

「できる事ならば、勿論」

セフィロスが当たり前のようにそんなふうに言うものだから、ルーファウスは思わず笑ってしまった。
絶対、そんなことはないそう分かっている。
ルーファウスが本音を言った瞬間に、セフィロスは此処を去るのに違いないのだ。

そう分かっていたのだが、僅かな期待感がそうさせたのだろうか、ルーファウスはついにそれを口にした。

「私は――体だけの関係ではなく、お前とちゃんとした関係になりたい」

勇気を持ってルーファウスがそう告白した後。
その場は無音に包まれ、ルーファウスはこれ以上ないというくらいの緊張感を味わった。まるで死刑宣告を待つ囚人のような気分である。良い返答など無いと分かりきっているのに、それでも浅はかな心は僅かな、ほんの僅かな望みを捨てきれず、それだから恐ろしいほどの緊張感に包まれる。

まるで1%の望みもなく死が決まっているのならば、一体何故緊張などするだろうか。それは常にそこに、無意識ながらの生への期待感が生じているからである。

しかし、判決は下った。
そしてその判決は、ルーファウスにとっては予想通りの、しかし期待に反したものだった。

「だったら、もう止めよう。お前がさっき言ったように、この関係はなかったことにする。それで良いだろう」

「…それが答えか」

「ああ、そうだ」

セフィロスがベットからすっと立ち上がるのを感じて、ルーファウスの心はいよいよ落胆の頂点に達する。もうこれで終わりなのだ。今迄、無くなるよりはマトモだと思っていた関係さえ、明日からはすっかりとなくなってしまうのである。

もし今夜のわがままを押し殺し、悲しみにも耐えたならば、きっと明日より先の未来にもセフィロスと抱き合うことができただろう。しかしその望みは今しがた無くなった。そのキッカケを作ったのは他でもないルーファウスなのである。

「――ルーファウス。最後に言っておく」

「…何だ」

着替えを終えたらしいセフィロスが、まだベットから動けずにいるルーファウスの背中に声をかけた。
振り返りもせずに、というよりもそうできずに、ルーファウスはその言葉に返答する。

「俺はお前の体が好きだった」

「…またそれか。…もう聞き飽きた」

「ああ、そうだろうな。だが最後だから言わせてくれ。――俺はずっと、最高の体を愛し、それを抱いてきた。至福の時だった。だが俺は何となく感じていたんだ、こういう日が訪れることを…つまり、別れがくることを分かっていた」

「…へえ」

今更そんな言葉を聞いたところで何の慰めにもならぬし、嬉しくもなんともない。
そう思っていたルーファウスの耳に入り込んだ最後の言葉は、少し優しさのこもった口調で放たれた。少なくともルーファウスはそう思った。

「お前の体は以前より俺を求めるようになった。俺にはそれが嬉しかった。できるならそれが続けば良いとおもっていた。――俺は、そう思うしかできない人間だったんだ」



ルーファウスがその体で受けたものは、セフィロスの愛情表現の全てだった。それ以外に愛情表現を持たぬ男が、唯一の方法で継続を望んだのが今までの関係だったのである。

引き止めるには遅すぎた。
だから引き止めない。

しかしルーファウスは、この時とても深く悟ったのである。
どうやら今までの自分は、最愛の人に最高に愛されていたのだ、と。



END

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