医療費と介護費が一定水準額を超えると還付されるのは、「高額医療合算介護サービス費」。1年間の健康保険の医療制度の自己負担額と、介護サービス費の自己負担額の合計額が所得に応じた限度額を超えた場合に還付される制度だ(=下図参照=)。
所得水準別に自己負担上限額があるので、健康保険と介護保険をうまく活用したい。「医療費は医療費、介護費は介護費」と別々に考えていると、「合算還付」の考えに行きつかない。健康保険料、介護保険料ともに自らが納付しているのであり、還付を受けることができる際には利用しないと「取られっぱなし」感は強くなる。
また、複数の制度を活用できる場合は、労災保険を優先。次いで介護保険、障害福祉サービスの順で活用できる。優先される制度で補てんできない部分は、次に優先される制度を活用できるのが特徴だ。
炉再保険の介護(補償)給付については、業務上または通勤途上でのけがや病気が原因で介護が必要になり、?傷病(補償)年金、障害(補償)年金を受給できる?一定の障害状態で常時または随時に介護が必要?介護を現に受けている(民間、親族、知人から介護を受けている場合も含む)?病院や介護施設などに入院・入所している――の四つの要件を満たした場合に給付される。
◆労災保険の給付額の概要
(1)民間サービスによる介護
・常時介護を要する人…利用料を支給。上限額は104,570円
・随時介護を要する人…利用料を支給。上限額は52,290円
(2)民間サービスと親族などによる介護
・常時介護を要する人…利用料を支給。上限額は104,570円。ただし、最低保障額は56,790円
・随時介護を要する人…利用料を支給。上限額は52,290円。ただし、最低保障額は28,400円
(3)親族などによる介護
・常時介護を要する人…一律56,790円
・随時介護を要する人…一律28,400円
――となっている。条件さえクリアできれば、介護給付と合わせ、傷病年金や障害年金の給付も受けることができるので要注意だ。
介護保険の介護サービスを受ける場合には、「加齢に伴う要介護状態」になるという前提条件がある。介護にかかった費用の1割(15年8月からは一定以上の所得がある65歳以上は2割)を負担すれば、利用できる。給付を受ける際には、市町村で事前に介護が必要な状態について認定(要介護度)を受ける必要がある。
認定結果は、市町村が通知する。年1回の定期的な更新があるものの、介護の状態が認定時に比べ悪化した場合には要介護度を引き上げる必要があり、随時の更新も可能だ。認定結果は7段階に分かれ、各段階に合わせて給付額の上限が決まっている。
◆要介護度の上限額
・要支援1…5,003円
・要支援2…10,473円
・要介護1…16,692円
・要介護2…19,616円
・要介護3…26,931円
・要介護4…30,806円
・要介護5…36,065円
――となっている。要支援1・2についてはサービスの見直しもあり、介護保険制度の枠組みからの対象除外となるので注意が必要だ。介護保険事業者が要介護度に応じて個別に「ケアプラン」を作成し、同プランに基づき介護サービスを受ける段取りとなる。
また、特別養護老人ホームに入所するにも、要介護度が4以上でないと、順番待ちが多い中で後回しにされてしまう可能性が高い。施設サービス費は入所する地域や施設の運営主体(事業者)によって異なり、施設サービス費の自己負担に加え、介護保険の対象外となる理美容代や食費などの負担もある。要は、¥「カネ次第」なのである。その意味で、老齢期のライフプランニングはたいへん重要なのである。
一方、高齢者ばかりが介護を受けるわけではない。40歳未満の場合や65歳未満で介護保険の対象にならない場合は、障害福祉サービスから介護給付を受ける段取りとなる。介護給付を受ける際には、介護保険の要介護度と同様に、障害支援区分の認定を受ける必要がある。
状態に応じたサービスの利用計画案を作成し、その内容を審査する仕組み。審査が通過し、支給決定を受けると介護サービスを受けることができる。負担額は渉外支援の状況により、所得に応じて負担ゼロ〜37,200円の範囲で負担する。
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