ご相談者の方の誕生日は昭和25年12月16日。勤め先はとりあえず65歳まで定年後の再雇用制度がありました。毎年の更新で働いてきましたが、妻の体調が優れないので、早めの退職を考えているとのことでした。
ご相談者いわく、「失業保険は、退職時の年齢で大きく変わりますよね?確か65歳前後で」。失業保険の「基本手当」と「高年齢求職者給付金」の相違を概略、ご理解しているようです。
まずご相談者様の場合、65歳に達するのは12月16日ですから、前日の12月15日までに退職すれば、基本手当の支給対象にはなります。まずはお住まいの地域を管轄するハローワークに行き、求職の申し込みを行います。
その後、28日ごとにハローワークに行き、失業の認定を受けることになります。認定を受けた日数分が基本手当として受給できる仕組みです。しかし、12月16日以降に退職すると、高年齢求職者給付金の支給1回で終わりです。一時金という位置づけです。
「寒くなると、妻の具合が優れなくなるので、退職時期を10月末ぐらいにしようかと考えているんですが。年金も受給できますよね?」と具体的な退職時期とその後の生活費の工面の方法を情報として引き出します。
ここでご相談様は失業給付と年金のダブル受給をお考えになっていたのに気が付くわけです。両方を受給できない場合もあるので、一般的なケースをご説明することになります。
一般的には、?年金と失業給付の基本手当を同時に受給できない?基本手当を受給すると、年金が止まる仕組みになっている――ことの2点をお伝えすると、がっかりしたような表情を浮かべるご相談者様が多いのが実態です。
ただ、あくまでも一般的なケースなので、退職時から失業保険の基本手当の給付までの流れを整理します。通常は、失業保険の基本手当を受給の仕組みをご説明します。自分にとっても、知識の再確認になります。
たとえば、順番としては?退職後に離職票を持参して、お住まいの地域を管轄するハローワークで求職の申し込みを行う?受給資格の確認を毎月受け、基本手当を受ける――の二つの大枠の中に、年金の受給を組み込むわけです。
通常は、求職の申し込みを行うと、翌月から年金が止まる仕組みになっています。自己都合で退職した場合には、最大3ヵ月の給付制限があったりして、基本手当を1日も受けることができなかった月の年金は後日支払われることになります。
しかも、年金の支給が止まるのは、65歳前に支給される特別支給の老齢厚生年金になります。65歳を過ぎて支給される年金まで止まりません。この段階でご相談者様は「あぁ、よかった」と胸をなでおろしたような表情を見せます。
通常の場合ですと、10月末日付で退職し、11月にハローワークで求職の申し込みをすれば、12月分の年金から支給が止まります。しかし、ご相談者様の場合は12月16日生まれであり、来年1月には65歳を過ぎているので、支給は止まりません。
つまり、65歳の数ヵ月前に退職すれば、失業保険の基本手当を受給しながら、65歳になった場合は65歳から後の年金の両方を受給できることになります。誕生日より1〜2ヵ月前くらい前に退職し、失業保険の基本手当と年金の両方を受け取るようにするのが賢い選択かもしれません。
65歳まで再雇用先の職場にいると、いいことありませんね。何事も早め早めに手を打っておくと、もらえるものがちゃんともらえるようになります。FPの利用方法は奥が深いものがあります!一度お試しあれ!
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