70歳になったばかり、年金の受給手続きで「5年分は時効」と言われましたが納得できません！

ファイナンシャル・プランニング事務所『FP Office-T』

　1級ＦＰ技能士（資産相談業務）の代表者が、あなたの大事な資産の運営・管理方法や、会社・事業の運営・管理方法など、不透明な経済環境を乗り越える知恵と方策を提案します。日刊建設工業新聞で、国土交通省や農林水産省、経済産業省、東京都庁、横浜市庁などの取材を担当。建設市場の国際化や入札・契約制度、経営事項審査などの制度設計のほか、農業農村整備事業を含む農林水産省関連補助・助成制度に詳しい。
　保有資格は宅地建物取引士、賃貸不動産経営管理士、競売不動産取扱主任者、一種証券外務員有資格者、住宅金融普及協会認定住宅ローンアドバイザー。日本ジャーナリスト会議（ＪＣＪ）所属。1997年1月に「別れの御櫛～斎王大伯皇女物語」で名古屋タイムズ（2008年10月31日付発行をもって休刊）創刊50周年文芸賞佳作受賞という異色な経歴を持つ。
　ご相談は電話0466-61-1346（代表）、またはメール（fp_office-t@cdej.com）へ。

[社会・生命・損害保険]

2015年8月20日 9時0分の記事

　年金の「繰り下げ受給」をしようとして、年金の受け取りを我慢してきたにもかかわらず、「65歳分からの5年分は時効」と年金事務所で指摘されて茫然自失状態での問い合わせです。社会保険労務士を紹介する一方で、年金受給の仕組みを簡単に説明すると、二の句が継げない状態になってしまいます。お気の毒に。

　確かに、受給を繰り下げて70歳まで引っ張った場合、60歳で受給を開始した人に比べ最大42％増しの年金額をもらえると思って、受給を差し控えてきたのでしょう。しかし、その考えが誤りだったことに気付くのに時すでに遅かったというところです。

　「なぜですか？」――仕組みを説明し、どうしても納得できなければ社会保険労務士の方へお尋ね願うのが精一杯です。

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　年金の支給開始は65歳なのですが、この方の場合は、2015年7月に70歳になったばかりでした。「42％増しの年金を受給できるぞ！」と思って、年金事務所に赴き、手続きを行う中で「65歳からの5年分が時効で支給できない」ことが分かったわけです。

　一般的には、年金の支給開始は老齢基礎年金、老齢厚生年金ともに65歳です。しかし、経過措置として「特別支給の老齢厚生年金制度」があり、65歳前に受給できます。同制度は、生年月日により順次繰り延べされており、間もなく廃止となります。

　この方の場合は、本年7月で70歳ですから、10年前の段階の60歳から老齢厚生年金の報酬比例部分の支給を受けることができました。63歳から定額部分の年金も受給できる仕組みです。ただ、特別支給の老齢厚生年金制度は、「本来の年金」と区別されている部分がポイントだったわけです。

　一般的には、60歳になった時点で特別支給の老齢厚生年金の請求を行い、次いで65歳になった段階で本来の年金を「改めて」請求する2段階方式になっています。そして、ここに落とし穴が一つあります。繰り下げて増額された年金を受給できるのは、「本来の年金」部分だけであることです。つまり、特別支給の老齢厚生年金は増額対象になっていないわけです。

　ここまでくると、相談者は声すら出ません。「70歳を過ぎたので初めて年金の受給手続きを行いました」といいながら落とす肩は、がっくりです。「特別支給の老齢厚生年金は本当にもらえないのですね？」と再確認の意味で、問い直されるのですが、「残念ながら」という回答になります。

　何しろ、年金の受給資格というのも、他の債権と同じで、5年で消滅時効に掛かります。「仮に、一時、国会で大騒ぎになった『消えた年金問題』がありましたが、それに該当する部分があったり、国の事務処理にミスがあったりした場合は、5年を経過してもさかのぼって全額を受給できるケースは考えられるのですが、どうですか？」と質問すると、「私の場合、それはありません。諦めきれないですが、諦めます」となります。

　「詳細はご紹介の社会保険労務士さんに聞いてみてください。専門家ならでは知恵があるかもしれませんから」というのが精いっぱいの慰めです。

*********************************************************

　こういうケースはよく耳にします。「申請主義のお役所仕事」らしいですね。ちゃんと通知か何かで教えてあげればいいのに。「聞かれないことには答えない」のが「お役所の掟」です。分からないことがあったら、どしどし聞きに行きましょう。役所は使い倒すくらい使わないと元が取れませんし、損するばかりです。「そうだな！」と思った方は、下のリンクボタンをポチッと押してください。
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Mitsuo Toriumi さん

ファイナンシャル・プランニング事務所『FP Office-T』

地域：神奈川県

性別：男性

ジャンル：暮らしお金

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　1級ＦＰ技能士（資産相談業務）の代表者が、あなたの大事な資産の運営・管理方法や、会社・事業の運営・管理方法など、不透明な経済環境を乗り越える知恵と方策を提案します。日刊建設工業新聞で、国土交通省や農林水産省、経済産業省、東京都庁、横浜市庁などの取材を担当。建設市場の国際化や入札・契約制度、経営事項審査などの制度設計のほか、農業農村整備事業を含む農林水産省関連補助・助成制度に詳しい。
　保有資格は宅地建物取引士、賃貸不動産経営管理士、競売不動産取扱主任者、一種証券外務員有資格者、住宅金融普及協会認定住宅ローンアドバイザー。日本ジャーナリスト会議（ＪＣＪ）所属。1997年1月に「別れの御櫛～斎王大伯皇女物語」で名古屋タイムズ（2008年10月31日付発行をもって休刊）創刊50周年文芸賞佳作受賞という異色な経歴を持つ。
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