具体的には、国が基本方針を策定し、市町村が空家等対策計画の作成その他の空家に関する施策を推進する際に必要な事項を定めることになっています。
具体的に何が変わるのか――急転直下、全国の空き家が一斉に強制撤去されるような強行策はありません。空き家も所有者の財産であり、勝手に撤去を行えば、財産権の侵害につながります。
市町村は、空き家対策と称して何を行いたいのか――まずは空き家の調査と現況の把握を行いたいわけです。市町村が建築行政を行う上で、空き家の現況を確認しなければ、対策や措置を講じることができません。それほど把握できていないわけです。
そこで、市町村は空き家の所在と所有者の把握を第一に行うわけです。空き家対策法の施行で、固定資産台帳に基づき、必要な調査や情報の提供を所有書から求めることができるようになりました。
次いで、対策が必要な空き家を選別し、所有者に対して適切な管理を促す方策として、情報の提供や助言その他必要な援助を行います。そして、特に対策が必要な「特定空家等」の指定を受けると、行政サイドが措置を講じる段取りになっています。
行政側が実行できる措置としては、?解体の通告や強制対処が可能?改善への助言と指導?改善がなければ勧告?勧告でも改善されなければ命令?強制対処――と5段階に分けて指導する方針です。保安上、著しく危険な空き家や衛生上、著しく有害な空き家を強制的に対処できる規定を最後に盛り込んでいます。
第1段階では、除却(解体)・修繕・立木竹の伐採などの助言または指導。市町村が助言や指導を行った後で、所有者が改善しなければ猶予期限を設けて改善するよう勧告することになります。
この「助言や指導、勧告」が役所ならではの曲者で、勧告の対象になると、固定資産税の特例対象外となります。つまり、助言や指導の段階でで市町村から「イエローカードが出ている」と考えておく必要があります。
そして、勧告にも従わないと市町村が講じる措置は順を追って重くなり、猶予期限を付けて改善命令が出ます。対象の所有者には意見を述べる機会(意見書や意見聴取)が与えられていますので、改善できないやむを得ない理由がある場合は、この段階で意見を陳述できます。
最終段階に入ると、命令の猶予期限を過ぎても改善を完了できない場合です。強制対処の対象になります。「命令を受けた後に改善措置を講じればいい」と甘く見てはいけません。猶予期限までに改善を完了していることが求められているわけです。
市町村としては、?改善命令を無視した場合?改善に着手しても不十分な場合?改善が猶予期限までに完了の見込みがない場合――のいずれでも、強制対処が可能となっています。「改善しているフリ」は「レッドカード」になります。
強制対処ではいったい何をするのか――必要な改善策として、倒壊の危険がない空き家まで強制撤去するようなことはありませんが、改善の費用は所有者の負担となります。所有者が負担できなくても、市町村が負担し、その費用を所有者に請求する段取りとなります。
ただ、所有者が分からない場合はどうなるのか。相続時に登記変更の手続きが行われていない場合です。相続の手続きが未了でも、自動的に法定相続人が次の所有者になり、戸籍から特定することは可能です。
仮に、支払いに応じなかった場合はどうなるのか――固定資産税の特例対象からの除外という措置になります。特定空家に対する市町村の改善勧告があった場合、土地に対する固定資産税の特例から外れます。土地の固定資産税が最大で6倍になります。
具体的には、優遇措置として住宅の敷地の固定資産税は?200?までの部分=1/6に軽減?200?を超える部分=1/3に軽減――となります。また都市計画税は?200?までの部分=1/3に軽減?200?を超える部分=2/3に軽減――という措置を外される事態になるわけです。
その意味で、土地の固定資産税が上がっても、家の固定資産税が相当に高ければ、使わない空き家を解体した方が、相対的に見て固定資産税が安くなる場合があります。
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