話を聞くと、契約締結時から8日以上経過していたので、クーリングオフ制度を活用しての契約解除は困難な状況でした。8日以内であれば、書面で契約解除を通知すると同時に、手付金の返還を請求すればいいわけです。
さて、雨漏りで有名なマンションとはいっても、売買契約を締結した部屋で完成後に雨漏りが発生した事実があるのかどうかは、重要事項説明時の責任を問う上で大きな決め手になります。
他の部屋では雨漏りしているものの、売買契約を締結した対象の部屋で、築後に雨漏りが発生していなければ、説明義務はありません。契約を締結した部屋が雨漏りしていないのに、説明する必要はないからです。
また、不動産会社の宅地建物取引士も、重要説明を行う前の調査で、売主から「雨漏りの有無」を確認するのが一般的です。この段階で売主が「雨漏りがこれまで発生したことはない」と署名・捺印を行うと、不動産会社の方は免責となります。責任は、署名・捺印を行った売主側に移ります。
また設備については経年劣化もあり、躯体に組み込まれた配管設備といった場合は、免責になる可能性は大きいですね。なんせ、躯体まで調べようがありませんから。
売る方も素人、買う方も素人で、間に入ったのが「不動産会社の宅地建物取引士でプロなのに分からないのか!?」と言いたくなるのは分かります。怒りのぶつけ所を宅地建物取引士に向けるのはお門違いです。
調査にも限度がありますので、調査は目視確認できる範囲までです。これは法的にも認められている実態なので知っておいた方がいいでしょう。
どうしても、不動産会社の責任を問いたければ、裁判になりますが、やってみないと勝ち負けは分からないというのが実態でしょうか。
「雨漏りマンション」の風評だけで、契約の解除はなかなか難しいと考えていただいた方がよろしいでしょう。どうしても購入したくなければ、手付流しで住宅ローンの審査を中断し、契約を解除する方法もあります。ただ手付金が無駄になりますが、その後の「住宅ローン」という負債を抱えなくて済みます。
中古マンションに限らず、中古住宅、新築のマンション、一戸建住宅だけでなく、事業用不動産、土地に至るまで、買主は素人ながらも自分の足と耳で周辺を聞き歩くくらいでなければいけません。
不動産会社に任せ切りにせずに、自分が生活する土地・建物の周辺を知る上で、自分の耳で聞いたこと、目で見たことを念頭に、不動産の契約を締結することが肝要です。
最近では民間主導で、既存住宅、いわゆる中古住宅の流通を促し、消費者に安心して購買してもらう目的で、既存住宅アドバイザー制度や同インスペクター制度ができています。
アドバイザーは宅地建物取引士向け、インスペクターは一(二)級建築士向けで、中古住宅のどこをチェックしたのかを書面で明確にし、契約締結前の購入予定者に説明する制度です。
アドバイザーがいる不動産会社に仲介を依頼すれば安心ですし、場合によっては一(二)級建築士を紹介してくれます。
不動産で何か気に入らないことがあったら裁判を起こせばいいと考えるのではなく、契約を締結する前にアドバイザーやインスペクターに相談してみることにより、消費者側からトラブルを未然に防止できることになります。
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インターネットの普及で、検索を掛ければ、引っ掛かる情報がいっぱいあります。「あのマンションは雨漏りが多い」といっても、購入対象の部屋が雨漏りがなければ、実際には「雨漏りはない」という評価になります。
ただ、今後は発生するかもしれませんが、そこは中古マンション。大規模修繕で直していくしかありません。そこら辺を理解した上で、中古物件を購入する心構えも必要です。
それと物件の見学ですが、中古・新築を含めて最低でも30件を見て回ってください。見学した数だけ目が肥え、物件ごとに粗が見えてきます。その中で、妥協できる物件を購入すればいいだけです。「なるほど!そうだね!」と思った方は、下のリンクボタンをポチッと押してください。
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