賃貸住宅のすべてを不動産管理会社に任せているからといって、不動産管理会社がすべてを引き受けてくれるわけではありません。不動産管理会社は、管理委託契約書の内容に基づいて管理業務を行っています。
管理委託契約書の中に、貸している部屋で孤独死や事件に巻き込まれたなどが発生した場合、きちんと明記していないと対応してもらえない場合があります。
また、入居者の遺族が相続人であればいいのですが、家族関係が複雑で、いつまで経っても片付けられない状況になる場合もあります。
オーナーさんも「無縁社会」という社会現象に事細かに対応できるようにしておく必要があります。不動産管理会社にしても、確率論的な部分で、オーナーさんが提示する費用で対応できると考えれば契約します。
しかし、不動産管理会社にとって現実は厳しく、警察の対応や遺族の対応など煩雑さと遺族対応での複雑な心情が必要になるので、「現実は割に合わない」という声も聞こえてきます。
事件が発生した部屋の片づけをどうするのか、汚損した部屋の扱いをどうするか、そもそも汚損した部屋を片付けるのにいくらかかるのか、片付けた後の新規入居者募集はどうするのか――。
遺族にまずは部屋の中の遺品整理を行っていただくわけですが、すんなりいけばいいのですが、遺族関係の問題でなかなか片付かない場合もあります。「半年以上手つかず」ということになることもあります。
さらに、遺品整理や特殊清掃の費用が非常に割高です。特殊清掃専門業者に依頼すると、出張エリアや緊急性の関係で、100万円以上の費用を請求してきます。必ず見積書を取ってから発注するようにしましょう。
後は、入居者が独身の方の場合は、必ず住居内入居者死亡費用を特約でまかなう保険(少額短期保険)がありますので、同保険の加入を入居申し込み時の条件にしておけば、費用の全額をまかなえるわけではありませんが、「いざという時の足し」にはなります。
この手の保険は、少額短期保険会社の方が商品化が得意で、損害保険会社はなかなか見当たりません。「あるぞ!」ということであれば、私が不勉強なだけなので、逆に教えを請いたいものです。
特約の保険金も特殊清掃費用が上限で60万円の商品があったり、特殊清掃費用が上限で100万円に空室家賃の補償で上限200万円の商品があったりと様々です。
さらに、保険料をオーナーさんが負担する保険商品や入居者が負担する保険商品があります。オーナーさんが負担する保険商品は「1室あたり300円/月」という商品です。
入居者が負担する保険商品は2年間で通常の住宅用賃貸総合補償保険に比べ1,000〜1,500円を余計に負担すれば加入できます。オーナーさんも不動産管理会社に任せ切りにせず、保険商品の基本知識を身につける上でも、FPを上手に利用することをお勧めします。
不動産管理会社も、火災保険を中心に損害保険商品を扱っているケースは多いですが、入居者の入居時の状況に応じて少額短期保険商品を扱えるようにしておくと、入居者の幅を広げられるとともに、オーナーさんの要望に応じた対応が可能になり、管理受託機会を増やせるきっかけづくりになるでしょう。
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少額短期保険会社も、商品の充実を図っているようで、特殊清掃費用の補償限度額を引き上げる機運が高まっています。高齢者だからと孤独死に陥るわけではなく、20代、30代の若い世代でも発生します。
保険商品をどのように生かすのかは、不動産管理会社の腕の見せ所になります。
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