2009年8月29日 14時0分 |
第九十六話「祓いの鐘」 |
◎近世百物語・完全版 第九十六話「祓いの鐘」 私の……霊器《れいき》と呼ばれる「七つ道具」には、祓鐘《はらいがね》、火打石《ひうちいし》、祓刀《はらえがたな》、石笛《いわぶえ》、奪衣婆《だつえば》の壷《つぼ》、霊符《れいふ》、烏帽子《えぼし》の、七つがあります。 これらは、祓いの現場で使う、霊的な道具達です。 この中の、「奪衣婆の壷」については、「第九十一話」の中に書きました。 霊符については、「近世百物語・完全版」の……「第八話」と「第四十ニ話」と「八十四話」と「第九十一話」の中に少し書いています。 祓鐘《はらいがね》は、祓いに使う為の鐘です。 これは、いわゆるチベタン・ベルです。 本物のチベタン・ベルは、世界に五個しか現存しないようです。 私の持つ物は、本物ですが……この本物と言うのは……御神体として作られ、長い間、祓いを受け続けた物のことです。 これには、とても強い霊力があります。 素材は、五〜七種類の合金で、隕石に含まれる鉄……「隕鉄《いんてつ》」を含んでいます。 これは、俗に「セブン・メタル」と呼ばれる金属です。 この金属の配合によって、重さや音色が違います。 そして、この本物のチベタン・ベルの合金を作ることのできる民族は……消滅していて、最新技術でも不可能な調合だそうです。 私は、これとは別に……完全に隕鉄のみで作られた、祓刀《はらいかたな》を持っています。 これは、「刀」と言うより、ナイフくらいの大きさですが……祓いの現場で重宝しています。 祓鐘は、持っているだけで……低俗な霊は祓われて、すぐに去って行きます。 つづきをご購入いただけます(200円) 購入方法はこちら |
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2009年8月28日 14時0分 |
第九十五話「手形足形」(近世百物語) |
◎近世百物語・完全版 第九十五話「手形足形」 何度か、ガラスに付いた、凍った手形を……見たことがあります。 ある夏の、暑い暑い、夜のことです。 飲み物を飲みほして、しばらくそのままにしていたコップが……テーブルの上で、ピキッと……音を、立てました。 それに気づいて、そのガラスのコップを見る……と、向こう側から誰かが触ったような、手のアトが見えたのです。 それは、子供の手のような……とても、小さなサイズでしたが……ガラスのコップの表面が、凍りついていました。 これもまた、真夏のある時のことです。 あまりの寝苦しさに……夜中に目覚めて、カーテンを開けました。 クーラーのスリープ・タイマーが終わって、気温が上がっていたのです。 私は、窓をあけようと、窓の鍵に手をかけました。 つづきをご購入いただけます(200円) 購入方法はこちら |
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2009年8月27日 14時0分 |
第九十四話「播磨御式神内」 |
◎近世百物語・完全版 第九十四話「播磨御式神内」 播磨御式神内《はりまこしきうち》は、播磨陰陽師が使う武術です。 この武術は、霊術とセットになっています。 「不幸のすべて」の中には、何度か書きましたが……われわれ播磨陰陽師は、武術を大切にします。 それは、われわれが武家の……サムライの子孫だからであり……そして、霊的なモノを扱うには、武術が欠かせないからです。 私は、幼い頃から柔道や、合気道を学び……そして、播磨御式神内の伝承を受けました。 子供の頃から、大東流合気柔術も、学びました。 播磨御式神内は、合気道と同じ流れをくむ武術なので……合気道……大東流合気柔術……播磨御式神内と、古くなるにつれて攻撃的で、しかも、少しづつ技も違って面白いです。 昔は、多くの強いサムライがいたので、彼らを従わせるには、強くなければなりませんでした。 「いくら霊術がどうこうとか……不思議な術を使うとか、言っても……数人で取り囲んで、後ろから斬ってしまえば、死ぬだろう……。」と思うサムライが、多かったようです。 そして、 「いくら恐ろしい播磨陰陽師とは言え、われらの敵ではないな。」と、高《たか》を括《くく》っていた田舎侍《いなかざむらい》達と、何度か衝突したようです。 そして、そのたびに、 「恐ろしい播磨陰陽師たちが来る。」と伝説が残されて行きました。 播磨陰陽道には、 つづきをご購入いただけます(200円) 購入方法はこちら |
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2009年8月26日 14時0分 |
第九十三話「青い波の立つ池」(近世百物語) |
◎近世百物語・完全版 第九十三話「青い波の立つ池」 それがトラウマなのかについては、分かりませんが……何かの刺激を受けると、フラッシュ・バックのような記憶を、映像として見ることがあります。 私は、何かに驚くと……かならず、そのフラッシュ・バックで……同じ映像を見ます。 その映像は、青い波が立つ池のものです。 そして、水面に……かならず、無数の光の点のようなものが、写っています。 それがどこなのか……そして、いつの記憶なのか……については、思い出すことが出来ません。 ただ、かなり子供の頃から、ずっと見ているので……幼い頃の記憶であることだけは、確かなようです。 私の知っている限り……その記憶に該当する池を、私は知りません。 トラウマ系の記憶は……恐怖のあまり、記憶から抜け落ちていることが多いので……それも、しかたがないのかも知れません。 子供の頃……幽霊や化け物は、日常の光景だってので……あえて、トラウマを作るような記憶があるとも思えません。 しかし……たぶん、よほど恐ろしい記憶だったと思うのですが……これを思い出すだけで、胸がドキドキするのです。 いくつか……池に関する思い出はあります。 しかし、このトラウマの記憶に該当するような池のものでは、ないような……そんな気がします。 子供の頃のある時……実家の近くの池で、子供が溺れ死んだことが、ありました。 その池は、人が溺れ死ぬような、深い池ではありません。 どちらかと言うと、のどかな、草原の中にある美しい池だと思います。 しかし、何年かに一度、必ず、その池で溺れる子供が出るのです。 祖母は、 「あの池は、とても美しい池だから……ああ、言う池は、人の心を誘いやすい。」と言っていました。 「何の為に、誘うの?」と尋ねると、 つづきをご購入いただけます(200円) 購入方法はこちら |
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2009年8月25日 14時0分 |
第九十二話「悪夢」(近世百物語) |
◎近世百物語・完全版 第九十二話「悪夢」 この近世百物語・完全版の中で、何度か悪夢のことを書いていますが……「悪夢」そのものについては、あまり書いていませんでした。 誰でも、小さい時は……何かに、追い掛けられる種類の、悪夢を見ます。 私も小さい時は……良く、化け物だとか、幽霊だとか……得体の知れないモノに、追い掛けられる夢を、見ることがありました。 とても恐ろしい夢を見るたびに……眠るのが怖くなることも、ありました。 近くに、恐ろしい姿をした幽霊が、たくさんいるような悪夢も、良く見ています。 そして、どこかから落ちる夢も、良く、見ました。 それは、それは、恐ろしい夢でしたが……追い掛けられて、それから落ちる種類の夢は、最悪でした。 子供の頃のある時、祖母の家に泊まっていました。 その夜は、やはり化け物に追い掛けられて……どこかから、落ちる夢を見ました。 目が覚めた瞬間……いったい、どこで寝ていたのか……何も、思い出すことが出来ません。 「たしか……祖母の家で眠っていた……。」と、思っていましたが……星空が見えたのです。 「まだ、夢を見ているのかなぁ……。」と思いました。 しかし、少し肌寒くて……やはり夢では無いようです。 頭のあたりに、とても硬くて、ざらざらした感触を感じ……手を伸ばすと、大きな石のようでした。 起き上がって、そこを見ると……私は、草むらの……しかも、お地蔵さんの足もとで、眠っていたのです。 つづきをご購入いただけます(200円) 購入方法はこちら |
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