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「3.11以後のリテラシー」
 
2016年2月25日 13時56分の記事







Simulation Astronomy  (2016.9.20) 
※「理化学研究所計算科学研究機構」としての寄稿




【福島第1原発「凍土遮水壁」設備を報道陣に公開】は
下方にコピーしました



++++++++++




KAGAKU Feb.2016 Vol.86 No.2
3.11以後のリテラシー No.40 より

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
福島第一原発の遮水壁は,海側は閉じました。一方,陸側の凍土遮水壁は,きちんと機能するかどうかが明らかにされないまま,試験凍結は終了した模様ですがそれが成功かどうかは明らかではなく,本格運用の目処もたっていないようです。海側だけを閉じたため,原発敷地内の地下水位があがり,その対応のため地下水をくみあげるとそれが汚染されていて,と複雑な状況になっています。陸側遮水壁が機能するかどうかを明らかにし,ダメなら別のてだてを考えることが必要です。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


昨年4月に福井地裁が下した関西電力高浜原発3,4号機(福井県)の運転差し止めの仮処分決定は,裁判長が交代(異動)した結果撤回され,3号機はこの原稿が掲載される2月号がでるころ,4号機もそれに続いて再稼動の見込みであり,昨年夏に運転再開した九州電力川内原発1,2号機に続いて3,4機目の原発再稼動となります。

新規制基準では安全性が確保されない,というのが前裁判長判断だったわけで,これは実際に新規制基準の内容を見る限りにおいて当然であるということは昨年6月号で議論した通りです。もちろん,その時点で川内原発については運転差し止め仮処分が却下されていたわけで,こちらは,本質的に「新規制基準は,専門的知見を有する原子力規制委員会が決めたものであるから適切である」というものです。言い換えると,裁判所として安全性の判定を放棄し,行政にゆだねる,という,1970年代から繰り返されてきた論理によるものになっています。

この裁判所の姿勢は,行政に対するチェック機能という司法が本来果たすべき役割を放棄したものであり,また,そのような論理によってしか原発再稼動の正当性を主張できない,という意味で原発に関する行政の問題点を浮き彫りにするものでもあります。



(福島第一原発の現状 特に遮水壁についての問題)

(凍土遮水壁については昨年9月号で詳しく述べました)
その当時の状況は,昨年7月末の段階で,試験凍結がうまくいっていない,というものでした。うまくいっていない,ということの意味は,試験凍結で温度が0度以下になっていない測定点が多数残っている,というものです。この問題点は解決したのかどうか不明なまま,試験凍結自体は昨年8月20日頃で終了したようです。最新の経産省委員会へのレポートには,以下のように記されています。

【試験凍結開始(4/30)から20週間経過後の地中温度状況】
各凍結箇所で凍結管と測温管との距離が相違(413〜2,311mm)している状況にある。このため,距離に応じて適正な温度低下を実施している。

これは文章として書いてあることは理解できるのですが,だからそれで凍結はうまくいくことが確認されたのか?というとよくわかりません。凍結管から遠くのほうほど温度が下がらない,というのは全体的な傾向としてはそうなるに決まっているわけですが,問題は現在の凍結管の配置と能力で実際に遮水壁が構築できるかです。が,先の記述では東京電力は「適正」といっている,というのはわかるのですが,どうしてそれで適正といえるのかはよくわかりません。

規制委員会のほうではどういう話になっているかというと,10月14日,試験凍結終了後に行われた第37回特定原子力施設監視・評価検討会の資料3:
陸側遮水壁の進捗状況報告を見ると,資料26ページには「試験凍結箇所の設定の考え方」とあり,

試験凍結は,下記の3つの観点に着目し,18箇所を選定して実施した。
(1)システム規模・形状の違いの影響
(2)地形・周辺構造物の影響による地下水流況の違いの影響
(3)特殊な凍結管配置の影響

とあるので,これらの影響で温度が十分下がらないところがないかどうかを確認したことが期待されます。これらのうち,特に特殊な凍結管配置の影響については,

円形構造物の特種性:2
凍結管4本施工での造成形状確認:4
造成形状(平行四辺形:幅大)の特種性:5
凍結管6本施工での造成形状確認:6
土被り4m以上(地下水以深)での影響:10
凍結管が4箇所連続する特殊箇所:14,15
複列箇所との連続する特殊箇所:17

(「特種」は原資料のまま。正しくは「特殊」と思われる。番号は試験箇所)とあるので,これらの箇所でそれぞれ温度低下がどうであったかの検討があると想像したくなります。

ところが,この資料の後半,試験凍結の結果報告をみていくと,


3.2 凍結性能の確認
(1)システム規模・形状の違いの影響
(2)凍結管と温度計の位置関係
(3)温度低下量と凍結管温度計距離との関係(中粒砂岩層)
(4)温度低下量と凍結管温度計距離との関係(互層部)
3.3 試験凍結箇所近傍の地下水位への影響
(1)概要ならびにエリア8,9の状況
3.4 試験凍結のまとめ

という構成になっていて,「設定の考え方」の「(1)システム規模・形状の違いの影響」は対応する項目があるのですが,(2)と(3)が「温度低下量と凍結管」という項目に変わっていることがわかります。そちらをみると,以下のようなことが書いてあります(32ページ)

試験凍結開始約1ヶ月後(2015年6月1日)および約3.5ヶ月後(同年8月13日)の試験凍結箇所近傍の温度計の低下量と凍結管温度計距離(中粒砂岩層)の関係を下図に示す。
温度低下量は凍結管温度計距離に応じて分布し,凍結管の近傍ほど温度低下量が大きい。
凍結管の下流側(△印)は,上流側(◇印)より温度低下が大きくなる傾向を示している。
1ヶ月後と3.5ヶ月後の温度分布から,全体的に温度低下していることが確認できる。
凍結箇所No.12の上流側近傍に位置する温度計は,6月1日に対し8月13日は若干上昇しているが,下流側近傍に位置している温度計No.12-2は経時的に低下傾向を示しており,順調に凍結していると考えられる。
その他,中粒砂岩層において,地形・周辺構造物の影響による地下水流況が異なる影響(No.7〜9,11〜13,16)および特殊な凍結管配置の影響(No.1,4〜6,10,14,15,17)は認められなかった。

「特殊な凍結管配置の影響」は試験箇所番号の2番と1番が入れ替わっていますがこれは単純な間違いでおそらく2番のほうが正しいと思われます。それはともかく,ここでは,「温度低下量は凍結管温度計距離に応じて分布し,凍結管の近傍ほど温度低下量が大きい。」ので「特殊な凍結管配置の影響は認められなかった。」という論理になっているように思われます。ところが,「特殊な凍結管配置」の問題は本来,凍結管同士の間隔が通常の等間隔とは違うところが生じ,もちろん大きくなってしまうところもあるわけですから,そういうところでもちゃんと温度が下がるかどうか,ということが確認されていないといけないはずです。しかし,実際に書いてあることは,「凍結管の近傍ほど温度低下量が大きい」ということだけです。これは「特殊な凍結管配置」が(距離によって決まる)温度低下量に影響していない,ということを述べているだけで,実際に遮水壁として機能できるかどうかを確認できていないことになります。

さらに不思議なことがあります。試験凍結箇所のいくつかは,「6本複列」という構造です。これは,地下にパイプ等が通っているため,凍結管を埋め込むことができないところで,そのパイプ等に沿って両側に3本凍結管を並べて,その間も凍結することを期待する,という構造です。3本並んだ列同士の感覚は2m程度になっています。資料によると,この列の中間の,実際に凍結するかどうかを確認しないといけないところに確かに温度計があるのですが,その温度は資料には記載されていません。それとは別なところに温度計があって,それらの温度だけが報告されています。つまり,実際にこの「6本複列」が凍結機能をもつかどうかのチェックは可能なはずなのですが,その結果は資料にないわけです。なので,「6本複列」が機能するかどうか,つまり,遮水壁が機能するかどうかは報告されている試験凍結の結果からは「不明」ということになります。

これらの結果を東京電力,経産省,原子力規制委員会がそれぞれどう考えているのかはさだかではありませんが,結果として試験凍結が終了した8月から4ヵ月たった12月末に(この原稿執筆時点)になっても凍土壁の本格運用は認められていません。12月18日の日経報道では,

汚染水対策の「凍土壁」本格使用認めず 規制委 15年度中の完成,不透明に
 原子力規制委員会は18日、東京電力福島第1原子力発電所の汚染水対策で計画中の「凍土壁」について、地下水の水位の変化で建屋内の高濃度汚染水が漏れ出る可能性があるとして、現時点では本格的な凍結を認めない考えを示した。政府と東電は2015年度中の完成を目指しているが、実現するか不透明になってきた。
 凍土壁は1〜4号機の建屋周辺の土壌を凍らせ、全長約1.5キロメートルの壁を地中に築く計画。建屋に流入する地下水を遮断する狙いがある。1500本超の凍結管が土に埋めてあり、4月に一部で試験的な凍結が始まった。本格作業には着手していない。
 規制委は、凍土壁によって建屋周辺に地下水が流れ込まなくなり、地下水の水位が大きく下がることに懸念を示した。地下水水位が建屋内の汚染水の水位よりも低くなると、建屋から高濃度汚染水が漏れ出る可能性も否定できないという。
 東電は「水位差は確保できる」と説明したが、規制委側は結論を年明け以降に持ち越した。

となっています。ここでは,「地下水の水位が大きく下がるのではないか」という論点がでてきています。これはつまり,規制委としては遮水壁が完成したあとも原子炉建屋内の水位を地下水位に比べて十分低く保つつもりだということでしょう。そのために,凍結によって山側からの地下水の流れがさえぎられた結果として一部場所の地下水位が下がるようなことが起こってはいけない,と考えているように思われます。

一方,現在実際に起こっていることは,「地下水位があがって,建屋に流れ込む地下水の量が増え,それを防ぐために建屋周辺の井戸からくみあげた地下水の汚染度が上昇したため海に放出できなくなってタンクにためており,汚染水の増加ペースがあがっている」ということです。


「汚染水」新たに400トン 第1原発、海側遮水壁完成で増加
福島民友 2015年12月19日09時04分)

(略)

なぜ水位があがったかというと,「海側」遮水壁を完成してしまったことによるものです。これは,陸側と違って鋼管矢板というものを並べて打ち込むもので,今年初めにはほぼ完成していたのです。完全には閉じない状態にしていたのですが,9〜10月に閉じました。これについては,昨年4月号に以下のように書きました。

この壁については,「陸側遮水壁」というものと「海側遮水壁」というものの2つがあり,海側遮水壁は鋼管矢板というものを並べて打ち込むもので,ほぼ(経産省資料によると98%)完成しています。ただし,海側だけで地下水を止めるので,これだけでは敷地内の地下水位があがって大変なことになるので,まだ完全には閉じないようにしているようです。さらに,遮水壁の陸側に井戸を掘って地下水を汲みあげ,敷地内の地下水位の上昇を抑えています。

これは,壁がなければ海に流れだす地下水を遮水壁の内側で吸い出しているだけで,もちろんなんの解決にもなっていません。敷地への地下水の流入を止めるのが「陸側」遮水壁とか凍土遮水壁と呼ばれているものです。

実際に,海側だけで地下水を止めたので,敷地内の地下水位があがって大変なことになっているわけです。こうなることは私にもわかるくらいですから東京電力の専門家にわかっていなかったはずはないのですが,それにもかかわらず,陸側の目処がたっていない状況で海側を閉じてしまったのは,汚染した地下水の港への流出を早く止めたかったためのようです。もちろん,海洋汚染が事故後4年間にわたって継続してきた状況は問題なのですが,だからといって汚染水の増加ペースが2倍になるような場あたり的対応を続けていけるわけでもないと思われます。

(略)


牧野淳一郎/理化学研究所計算科学研究機構

KAGAKU Feb.2016 Vol.86 No.2 P138−142





++++++++++




神戸大学理学研究科惑星学専攻 / 牧野淳一郎 
1963年 - 日本の天文学者 専門分野は計算天文学

経歴 より
2014年(平成26年):理化学研究所計算科学研究機構
エクサスケールコンピューティング開発プロジェクト副プロジェクトリーダー
-Wikipedia


Home Page of Jun Makino

牧野の公開用日誌
「つっても、非公開のを別につけているわけではない」
Copyright 1999- Jun Makino




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「間隔が通常の等間隔とは違うところが生じ,もちろん大きくなってしまうところもあるわけです」

このあたり…

さきほど muonで「使われている図は 手描きで載せたらいいのか? とは 思ったりもするのですが 時間を要しそうなので 少しずつやってみようか」と思うにいたりました点 

肩が。。あ``〜 げっそり などど と早々先送りにした。。。朝方 (枠線と)点の角度や間隔をフリーハンドで入れておりました際に 感じたことでもあり… せっかくですので ソレも 末尾に置きましょうか






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「凍土遮水壁」に関する一件


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【福島第1原発「凍土遮水壁」設備を報道陣に公開】

毎日新聞2016年2月24日 07時00分
(最終更新 2月24日 07時00分)




凍結管が網の目のように頭上を覆う冷却機のある建屋=福島第1原発で
2016年2月23日午後3時10分、森田剛史撮影



 国は23日、東京電力福島第1原発の建屋周辺の土壌を凍らせて建屋への地下水流入を抑える「凍土遮水壁」の設備完成後初めて、毎日新聞などの報道陣に公開した。

 凍土遮水壁は同原発1〜4号機の周りを囲むように全長約1・5キロに1568本の凍結管を地下約30メートルまで打ち込んで土壌を凍らせて築く。2014年6月に着工して今月9日に完成した。ただ、凍結を開始するには原子力規制委員会の認可が必要で、まだ運用は始まっていない。国と東電は全周で凍結が完了すれば建屋に流入する地下水を1日約150トンから約50トンに減らせるとしている。

 廃炉作業が進む建屋の周りには直径約50センチの配管が張り巡らされ、そこから1メートル間隔で枝となる凍結管が地中に伸びていた。凍結管に流す冷却剤は、高台にある二つの建物に設置された冷凍機計30台でマイナス30度に冷やしてから送られ、地中を循環した後、再び冷凍機に戻って冷やされる。

 国は、廃炉作業で使われた防護服などを焼却処分する「雑固体廃棄物焼却設備」も公開。原発事故以降たまっていた約6万6000立方メートルのごみを燃やして容積を10分の1に減らす設備で、東電は3月中の稼働を目指している。

【岡田英】






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とある図の途中経過






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