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自民党の選挙対策
[日本の政治]
2016年7月6日 23時52分の記事

次期都知事選挙へ出馬表明している小池百合子氏の動向が連日、報道されています。7月6日に行われた小池氏の記者会見では、都知事選挙へ向けて、3つの公約(都議会の解散、都に関する利権追求チームの創設、舛添氏の政治資金問題についての第三者委員会の設置)を発表しています。この小池氏のアクションに対してマス・メディアでは「先手」と評していますが、その論評ではあまりにもジャーナリズムに欠けているのではないかと考えます。

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小池氏が掲げたこれら3つの公約は、実は一連の舛添問題で浮上した論点です。この舛添問題で自民党は支持率を落としていますから、小池氏がこの論点を、「今」、出すことには当然、意味があります。それは4日後に控えた参議院議員選挙です。舛添問題は都政のことであるのに全国的な問題として全国的に報道されました。そして、全国的に自民党が支持率を落としていたのですから、当然、小池氏がこの舛添問題で浮上した論点を掲げ、改革しますと訴えれば、それだけで参議院選挙に直結する選挙対策になるわけです。
そもそも、舛添問題で浮上した論点だけを強調して公約とするのは、おかしなことです。これらのことはやっても良いことですが、その先に都政をどうするのかという重大な問題があるわけです。しかし、この小池氏の記者発表では、単なるビジョンなき世論対策でしかない、そう私は考えます。それを「小池氏はまた先手を打った」などとメディアが論評しているのでは、明らかにその選挙対策に乗っているに過ぎません。そうでなくともあまりにもジャーナリズムの批判精神がなさ過ぎで、それでは社会や国民のために良質な情報を提供することは不可能でしょう。
小池氏のアクションにはもう一つの選挙への対策がもちろんあります。言うまでもなく都知事選挙です。舛添問題で浮上した自民党に対する批判的な論点を、小池氏は明らかに相殺しようとしていると考えます。これで、舛添氏、猪瀬氏と続いた自民党が担いだ都知事が問題を起こして辞任し、都政を混乱させたことに対する自民党の責任が全くうやむやにされています。メディアの論調を見れば全くその通りになっています。
彼女が都知事選に出ようが出まいが、これで自民党が都知事選挙を不戦敗になることは避けることができているわけです。彼女の存在は一種の露払いなのです。
小池氏は自民党東京都連を批判していますが、彼女もまた都連の一員です。当然、舛添氏、猪瀬氏を後押しした小池氏の責任もあり、必然的にそこには小池氏の都政への責任もあります。であるのに、今やそれはどこ吹く風になっています。
自民党広報本部長を歴任した小池氏が、これだけの選挙対策を打っているのに、自民党内で評判が悪く、軋轢があると言うことは必然的にあり得ないことと考えます。

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プロフィール
片桐 勇治(かたぎり ゆうじ)プロフィール
1967年生まれ。東京都出身。中央大学法学部政治学科卒。高校がミッションスクールの聖学院高校で高校・大学時代は聖書研究に没頭。
大学在学中から元航空自衛隊幹部の田村秀昭元参議院議員の秘書、以来、元防衛庁出身の鈴木正孝元参議院議員、元防衛大臣の愛知和男元衆議院議員の秘書、一貫して政界の防衛畑を歩む。
2005年から国民新党選挙対策本部事務局次長、広報部長を歴任。2010年より保守系論壇で政治評論を行う。 yujikatagiri111@yahoo.co.jp
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