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TPPというバスに乗り遅れるな!?
[日本の政治]
2016年11月11日 0時10分の記事

「バスに乗り遅れるな!」と言うことが、日本がTPP交渉に参加するか否かが言われた3、4年前にTPPを推進する人々によってよく言われていました。しかし、今やその「バス」とは何だったのかということが、まじめに問題になっています。
TPPを推進してきた人々の言説は信頼に足るものであったのか? それは今後、検証されるべき重大な問題であると考えます。そしてTPPとはそもそも何であったのかと言うこともしっかりと検証すべき段階に既にあります。さらに何よりも米国が離脱することが決定的になれば、米国からTPPに関して大量の情報がいずれ出てくる可能性は非常に高く、TPPとは何か、そして日本の政治とは何なのかということを検証するために非常に、そして確実に役立つでしょう。

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TPPをやらないという米国大統領候補が当選し、ほぼTPP崩壊が確実な状況において、日本ではその承認を議会で可決するということは非常に不可解なことです。そもそもTPPを推進したこと自体に極めて大きな判断ミスがあったと考えますが、それはさておき、日本としては今国会においてTPPを議題に乗せること自体が大きな判断ミスであったことは間違いないでしょう。結局、このことで日米間での不必要な相違点をつくり出しましたし、そのポイントが今や明らかに日米関係にマイナスに作用するものになっています。
この不可解さと判断ミスは今後、国会や様々なところで焦点になり、検証されるべきことです。そもそもTPPに米国が参加すると言うことで賛成した国民もいるでしょうから、政府・自民党はその大前提が崩壊している現状において、今国会でのTPPについての扱いについては納得がいく説明をすべきですし、野党はそのことを徹底的に追求すべきでしょう。そして、当然、このTPPの根幹となる大前提が崩れたのですから、現行のTPP承認というものはその正当性を失っていることは明々白々です。政府などが言ってきた外交的な構想が完全に崩壊しているのですから、本日、TPP承認案を国会で可決することの正当性は全くないと言うことです。この政府自民党の本日の行動は極めて問題があるもので、TPP賛成・反対を問わず国民を裏切る行為です。
2012年暮れの総選挙の時、「ウソつかない。TPP断固反対。ブレない。」とポスターでうたったのは野党自民党、今の安倍自民党政権です。しかし、その選挙が終わってたった3ヶ月でTPP交渉参加を安倍政権は表明します。このポスターを見て自民党に票を投じた人は必然的にとても裏切られた気持ちになったことでしょう。この頃に「(TPP)バスに乗り遅れるな」と言われていたと思います。因みにこのフレーズは戦前、日独伊三国同盟に入る時に言われていた煽りのフレーズです。このシンクロは単なる偶然ではないでしょう。
そのように色々な理由をつけてはTPPを推進してきたのが安倍自民党政権で、そして、今やふたを開ければ一番独善的にのめり込んでいるのが実像なのです。
結果として「ウソつかない。TPP断固反対。ブレない。」というかつての自民党のポスターは明らかに偽りであったものと考えます。それは「ウソつく。TPP断固賛成。ブレた。」ということであったのだと考えますが、安倍首相や自民党は最初からTPP断固賛成であったのは明らかです。
安倍首相は今年4月にTPP特別委員会で「TPP断固反対」と言ったことは一度もないと発言しています。それはそうでしょう。そもそもはじめからTPP断固推進なのですから。そして、それは明らかに現在において、このTPPの明らかな異常な状態に日本を巻き込んだのが安倍首相であることを自ら語っていることになります。不確かで国民の反対が多いTPPになりふり構わず猛進した責任は今や明白です。これは判断ミス以上に、国家戦略の失敗、国益を損ね、外交的に大きな問題をつくり出したことを意味します。TPPにこだわらなければ日本はもっと多様で多彩な外交戦略をとることができたものと考えます。このTPPの一件だけでも安倍首相は責任問題、退陣をする必要が既にあるものと考えます。
TPP断固反対と言って政権をとり、TPPを率先している国が日本ですが、一方でアメリカはTPP断固反対と言った候補者が大統領に選ばれたわけです。そのアメリカが今後どうなるのか。現在の日本の政治感覚からすれば当然、トランプ大統領は色々な理由をつけて就任後、TPPを推進することになります。本当にそうなるでしょうか?
トランプ次期大統領のTPPに対する姿勢が、日米における政治の相違点、そして何よりも日本の政治の問題点を確実に明らかにするでしょう。私たち日本人に突きつけられているのは、国民を考えた政治が行われているのか、国民の声を聞いているか、政治は信頼にたるものなのか、政治の責任者の言葉にウソはないのか、矛盾していることを平気で発言してはないか、かなり強引に物事を進めているのではないか、ということなのです。そういう政治の基礎が現状、非常に問われているものと考えます。そして、このようなことは、安全保障問題よりはるかに大事なものなのです。なぜなら、このようなことに問題があれれば、そもそも政治は成り立ちませんし、言うまでもなく何よりも国民と国を傷つけ、破壊するからなのです。

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片桐 勇治(かたぎり ゆうじ)プロフィール
1967年生まれ。東京都出身。中央大学法学部政治学科卒。高校がミッションスクールの聖学院高校で高校・大学時代は聖書研究に没頭。
大学在学中から元航空自衛隊幹部の田村秀昭元参議院議員の秘書、以来、元防衛庁出身の鈴木正孝元参議院議員、元防衛大臣の愛知和男元衆議院議員の秘書、一貫して政界の防衛畑を歩む。
2005年から国民新党選挙対策本部事務局次長、広報部長を歴任。2010年より保守系論壇で政治評論を行う。 yujikatagiri111@yahoo.co.jp
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