日本にだまされた? | |
[日本の政治] | |
2018年3月27日 15時0分の記事 | |
本ブログ「日本にだまされた?」(2018年3月27日)の続きです。
3月5日に北朝鮮へ派遣された韓国特使団の首席特使・鄭義溶(チョン・ウィヨン)国家安保室長は、訪朝後、米国へ赴きトランプ大統領と8日に会談しています。そして、その時、トランプ大統領が北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長からの会談要請を受け入れ、そのことが即時、ホワイトハウスの車寄せで鄭国家安保室長によって発表されました。この時の模様が以下の時事通信の記事に描かれていますが、トランプ大統領の決断は側近を驚かせたと書かれています。それほど電撃的であるわけですが、そこに解任されたマクマスター氏がいて、ティラーソン国務長官にはいかに対応するか伝えていなかったと記事には書かれています。このようにトランプ大統領が対応したのは、上記のことを考えれば非常にわかりやすいと考えます。 そして、極めつけなのが、記事にあるとおり安倍首相が『蚊帳の外』に置かれたと言うことです。このことを書いたのがニューヨークタイムズですから、この状況は世界的な常識と言えるものでしょう。もちろん、上記の経緯を考えれば、安倍首相が“蚊帳の外”に置かれるのは当然で、同時に上記のようなトランプ大統領の発言が出るのも当然なのです。またマクマスター氏が更迭されるのも当然のことなのです。 このようなことは韓国紙ハンギョレでも「虚をつかれた日本政府、『韓国政府に敬意』…安倍首相は4月訪米」(3月9日)と報じられていますが、そこでは以下のように書かれています。 「最大の圧力」を言いながらも韓国政府に敬意を表わすと言ったことは、それ以前まで安倍首相らが「北朝鮮の微笑み外交に惑わされるな」として横やりを入れていたことから大きく変化したものだ。日本は、平昌(ピョンチャン)冬季五輪を契機にした南北関係の雪溶けと金与正(キム・ヨジョン)北朝鮮労働党副部長らの訪韓に露骨に警戒心を示してきた。河野外相は、態度が急変したのではないかという記者の質問に「今まではそうしたそぶりさえ見られなかった北朝鮮が、制裁の影響でそのように言い出したということは、非核化に向けた具体的行動につながりうると評価した」と説明した。 こうした変化は、南北首脳会談に続き朝米首脳会談にまで合意して、もはやその流れを無視できなくなったためと見える。(2018年3月9日 ハンギョレ) 記事に「それ以前まで安倍首相らが『北朝鮮の微笑み外交に惑わされるな』として横やりを入れていたことから大きく変化したものだ」とあるように、南北融和への道筋に日本が横やりを入れてきたと捉えられているわけです。私もこの認識が正しいと思いますし、実際、これまでこの日本の姿勢を批判してきました。明らかに世界的にそう思われていると言うことです。 日本政府は、この南北融和の動きがはっきり出ても、朝鮮半島の非核化、拉致問題と言うことを言っています。しかし、問題の本質は朝鮮戦争の終焉であって、核の問題も拉致問題もこの朝鮮戦争から生じたものなのです。だからこそ、朝鮮戦争を終焉させること、南北融和が第一義であり、それを最優先で成し遂げなければならなかったわけです。そして、既に世界はそのように動いているわけです。しかし、日本がこのような論点を持ち出すのは明らかに南北融和の方向を牽制するもの、場合によってはディール・キラーということと考えます。 このように見れば、トランプ大統領によって安倍首相にだまされたという発言が出たり、日本が朝鮮半島の融和への動きで蚊帳の外に置かれるのは当然です。しかし、安倍政権や日本のメディアはいまだにその融和とは反対の路線を歩んでいるものと考えます。まだことの重大さがわかっていないものと考えます。 「トランプ氏即断、側近も驚き=安倍首相は『蚊帳の外』−米紙」(2018年3月11日 時事通信) 「虚をつかれた日本政府、『韓国政府に敬意』…安倍首相は4月訪米」(2018年3月9日 ハンギョレ) したがって、このような状況において、米国が安全保障を理由に決めた鉄鋼とアルミ製品への関税の適用が、日本にはなされ、韓国とEUは除外されるのは当然と言えば、当然と考えます。韓国とEUはそもそも米国の同盟国ですが、そこに日本は入っていない、日本は米国の安全保障にとって害であると見なされたわけです。ザ・フナイの連載で書いてきたように、この1年以上の日本の動きを考えれば、明らかに安倍政権が戦争へと米国を巻きこんだと考えます。そして、そのためのお金も日本から出ていると指摘しました。今後、このお金の流れは徹底的に検証されるべきです。昨年、日米経済イニシアチブということで、米国への17兆円とも言われる多額の投資が発表されましたが、明らかに日米の経済関係にプラスになっているとは言えません。それは経済以外の目的、朝鮮半島や中東の軍事が本質でしょう。そして、そこから米国は方向を変えたと言うことなのです。少なくとも東アジアではそのように動いています。 「米鉄鋼関税、日本に適用 韓国、EUは除外」(2018年3月23日 朝日新聞) このように明らかに日本の外交は破綻しています。上記のトランプ大統領の発言が、そのことを決定的にしたと考えます。冷静に考えれば、内政がこんな滅茶苦茶、ガタガタ、問題だらけであるのに、外交がそもそも上手くできるはずはないわけです。安倍政権におけるこの5年間の外交に関わるお金の流れは徹底的に調査すべきです。 安倍政権の外交姿勢が、日本の外交の破綻、日本の孤立化を招き、貿易・経済問題にまで発展しています。しかし、その外交姿勢については原発輸出、鉄道輸出等々に見られるように経済界も一蓮托生と考えますから、安倍外交の破綻で経済が影響を被ったとは言えないでしょう。そういう意味で日本と日本人は、政権と経済界のために非常に厳しい状況に追い込まれているというのが実相と考えます。そして、実際、この構図は戦前と同じなのです。財閥解体をした意味が無くなっているのです。 日本は現状、完全に孤立化していると考えますが、そのような状況で新たな外交関係を構築することは不可能でしょう。むしろ、そのような動きはさらなる深みに日本を向わせます。そもそも韓国や米国と対話ができているのか? そう問いたくなります。このような状況では、“新しい内閣”で内外政とも立て直すほかないでしょう。その際、その内閣はハト派で平和憲法を維持する方向でないと状況は一層深刻化すると考えます。 しかし、このような状況であるのに、以下のようにフジテレビのバカげた記事が出るわけです。記事には、電撃的に発表された米朝首脳会談のトランプ大統領の決断に日本政府が主導的役割を果たしたと書いてあるわけです。このようなことが本当であれば、日本にだまされたという米国の言動、日本が蚊帳の外に置かれ、韓国・EUなど米国の同盟国とは違う扱いがなされるということはあり得ないでしょう。本当にあきれかえるほどの低レベルの記事と考えます。単に安倍政権を擁護しているだけで、その擁護の仕方もウルトラC級と考えます。しかし、明らかに世界はそう考えてはいません。日本と世界の間に実相についての認識のギャップが生まれることが、日本をさらなる孤立化に向わせます。戦前と同じです。明らかにフジ・産経の報道姿勢は、ジャーナリズムと言えるものではありません。安倍政権及び右翼勢力は日本人を人質にとって籠城しているようにしか、私には見えません。 日本人のためには早くこの状況を変えなくてはなりません。そのようにしなければ日本と日本人の未来はありません。 「トランプ大統領『決断』の裏に日本あり」(2018年3月10日 FNN) | |
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