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韓国の実勢と日本の実相
[日本の政治]
2018年8月15日 7時0分の記事

韓国の文在寅政権の支持率が落ちていると報道されていますが、その理由は日本で解説されているものとはどうも違うようです。そのような齟齬が生じることに、実のところ日本の実相が隠れているのではないでしょうか?

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韓国の文在寅政権の支持率が落ちていると以下の記事のように報道されています。

「韓国大統領の支持率が就任後最低の58%に 韓国世論調査会社調べ」(2018年8月9日 産経新聞)

その原因としては以下のように書かれています。


リアルメーターは今回の下落について、韓国与党「共に民主党」の元党員の男がインターネット上で世論操作をしたとされる事件に絡み、文氏の側近への捜査が報じられたことなどを挙げた。(2018年8月9日 産経新聞)


これは産経新聞だけの持論ではなく、同じように時事通信も以下のように報じています。

(イ)「韓国大統領支持率58%、最低更新=側近不正疑惑影響か」(2018年8月9日 時事通信)

また、以下のように文政権の経済政策が原因との見方があります。特に最低賃金に反発が高まっているというニュアンスのものが多くあります。以下の(ロ)の産経新聞の記事でも最低賃金を取り上げて、見出しではポピュリズム経済政策とレッテルを貼り、韓国は行き詰まっていると書かれています。ただ、記事を読むと経済界は最低賃金上昇に反発している一方、労働界は上げ幅が低いので反発していると報じています。この最低賃金引き上げがポピュリズム政策で、それが支持率下落の要因でないのはあきらかです。

「文大統領の支持率急落=最低賃金引き上げに反発−韓国」(2018年7月20日 時事通信)

(ロ)「行き詰まる韓国・文在寅大統領の『ポピュリズム経済政策』 先にあるのは自壊ではないか」(2018年7月31日 産経新聞)

この(ロ)の産経新聞の記事ではポピュリズム経済として、以下のように批判しています。


というのも、最低賃金引き上げの副作用による雇用不安などをカバーするため、文政権が持ち出したのが、税金を投入し低所得層や高齢者の所得を補うバラマキ政策の強化なのだ。(2018年7月31日 産経新聞)


ここが何より産経新聞の言いたいところなのだと考えます。韓国で文政権によって行われているポピュリズム政策は韓国は壊すと言っているわけですが、実際は韓国を批判して、日本でも同じようなことが起こらないようにすることが目的と考えます。文末では同じ理屈でトランプ大統領も批判しているわけです。要するに産経新聞は国民一般にお金が行き渡るのは、経済が壊れると言っていると考えますが、それはいかにも暴論でしょう。国民の敵なのですが、購買力がなくなった社会が持続するはずがありません。

しかし、バラマキ、バラマキと産経新聞社は言うのですが、第二次安倍政権発足以降、同政権は史上最大規模でバラマキ政策をしてきているわけで、そのことには沈黙を守るわけです。
本ブログ「総裁選後の調整局面の可能性」(2018年8月14日)でも取り上げましたが、以下の赤旗の記事は、公的資金66兆円が株価吊り上げに使われていると指摘しています。この赤旗の記事と同様のことを7月1日のTBS『サンデーモーニング』で寺島実郎氏も述べています。私は共産党とは何の関わりもありませんが、この記事はてとても良い記事です。

「公的マネー投入 株価つり上げに66兆5000億円」(2018年8月8日 しんぶん赤旗)

この66兆円のバラマキによって、当然、富を得た人々がいます。これだけの資金量ですから、実勢より高い値段で株を売ることができて、大きな利益を上げた人は相当数いると考えます。これはまさにバラマキです。しかし、そのほとんどは日本国籍を有する圧倒的多数の一般的所得者層ではありません。外国人を含めた人々に富は移転したわけです。だから、これだけのバラマキが行われても、国民の可処分所得は伸びず、消費はほとんど伸びず、景気は一向に上向かないわけです。

私はマクロ政策を支持していますから、バラマキを完全には否定しません。むしろ第二次安倍政権発足と同じくして保守論壇でマクロ政策の必要性を誰よりも唱えています。そうしたのは、それがそもそも国民新党の経済政策であったからです。しかし、そのような政策をするのなら最低賃金の上昇を含めた労働環境の充実、可処分所得の増加をしなければ、バラまかれた国民のお金は国民に流れることはなく、外のものの懐に入り、当然、経済・社会のパイは縮小し、景気は足踏みになるわけです。このことはすでに第二次安倍政権の5年間で証明されました。
そして、このような経済の足踏み・停滞状態の上に国の借金だけが残るわけです。つまり、安倍政権がしてきたことは、お金をばらまいたが、国民に流れる政策を実行しないで、そのお金が全く別のところに流れ、経済は停滞、国民の借金だけが膨れ上がったというだけなのです。国民の借金の債権者にお金が安倍政権によってバラまかれるようなことが生じていないことを祈るのみです。このことは今後の重要検証ポイントの一つでしょう。

そして、安倍政権のように国民一般にお金が流れないバラマキがなされるのなら、韓国のように低所得者や高齢者にお金を明示的に給付したほうが良いわけです。一般において一律に給付する、もしくは消費税などの減税や廃止をすべきでしょう。株価が上がれば経済が良くなるという、全く効果がないトリクルダウン理論信仰と同じ思い込みが社会一般に漠然とあるため、株高政策が支持されるわけですが、これこそ人気取りのポピュリズム政策の最たるものでしょう。そして、このポピュリズム政策は社会一般には全く効果がないというおまけ付きであるわけです。それをこの5年の安倍政権は証明しました。
ジャパン イズ バック(Japan is back.)と言って登場した第二次安倍政権ですが、蓋を開ければ、GDPは中国の3分の1に近づき、米国の4分の1になっているわけです。差が開いたわけで、まさに相対的に後退(Back)しているのです。安倍首相というのは本当に正直なお方だと最近は心から思っています。

このようなことを隠すというか、有耶無耶にするのが産経新聞の記事の特徴と考えます。また以下の記事もこのような産経イズムが見え隠れすると考えます。

「韓国、酷暑で崩れた『脱原発』政策 無節操な文在寅大統領に国民も首かしげ…」(2018年8月13日 産経新聞)

この記事は、脱原発を標榜する文政権が、今夏の酷暑で、韓国では原発の追加稼働をしなくてならなくなったことを引き合いに出して、脱原発も文政権のポピュリズム、人気取りの政策の成れの果てという、産経新聞が鬼の首をとったような記事であるわけです。原発推進が産経新聞の社是なのだと思っていますし、当然、文政権に対しては大変な敵意があると考えますから、この記事はまさに痛快そのもの記事なのでしょう。
ただ、以下の日本経済新聞の記事を見ると、原発がかなり止まった日本では、太陽光発電で酷暑でも節電の必要がない状況になっていると報道されているわけです。この日本経済新聞の記事を見れば、韓国は単に早急に太陽光発電に切り替えればよいわけで、馬鹿なことを言っているのは産経新聞の方だということがよくわかります。他国を批判する前にまず自分の足元を見よというお話と思いますが、これまで産経新聞は原発推進、太陽光発電など再生可能エネルギーをこき下ろしてきたのではないかと推測しますが、もしそうならその責任をどうやって取るのかと以下の日本経済新聞の記事を見て思うわけです。

「猛暑でも節電要請なし 太陽光発電が支える列島の夏」(2018年8月11日 日本経済新聞)

ただ、このような論調は産経新聞だけではなく、テレビ朝日も同じようになってきていると思います。産経新聞とテレビ朝日が同列になってきているわけですが、そこにはやはりザ・フナイでの連載で指摘してきた戦後構造が深く関わっていると考えます。
「韓国の実勢と日本の実相?」(2018年8月15日)へ続く。

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片桐 勇治(かたぎり ゆうじ)プロフィール
1967年生まれ。東京都出身。中央大学法学部政治学科卒。高校がミッションスクールの聖学院高校で高校・大学時代は聖書研究に没頭。
大学在学中から元航空自衛隊幹部の田村秀昭元参議院議員の秘書、以来、元防衛庁出身の鈴木正孝元参議院議員、元防衛大臣の愛知和男元衆議院議員の秘書、一貫して政界の防衛畑を歩む。
2005年から国民新党選挙対策本部事務局次長、広報部長を歴任。2010年より保守系論壇で政治評論を行う。 yujikatagiri111@yahoo.co.jp
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