麻痺する感覚 | |
[日本の政治] | |
2018年12月13日 0時52分の記事 | |
以下のように韓国のKTX脱線事故の原因として、平昌五輪開催が安全性に優先した結果ということが指摘されています。 「<KTX脱線>鉄道労組「平昌五輪の開催日に追われた開通・システムの慢性的問題」」(2018年12月11日 中央日報) 「韓国高速鉄道、平昌五輪の時も安全は「運任せ」だった?=韓国ネット猛批判」(2018年12月12日 レコードチャイナ)
上記記事を読むと平昌五輪後も安全対策はとられていないので、単にこの要因だけの問題ではないでしょう。ただ、考えられるのは五輪開催に間に合わせるために建設と運行の主体をいびつに分離させ、その後もこの組織的問題は解消されず、惨事に至ったと言うことです。 要するに五輪という始めに結論ありきの思考が、実質を完全に失わせ、人的要因で改善されず、事故を引き起こしたと言うことと理解します。そこには明らかに現実感や感覚の麻痺があります。韓国の朴槿恵政権からの負の遺産でしょう。 このようなことは果たして韓国だけのことかと実は思います。今年、焦点となった豊洲市場も、運営が開始されてから様々な問題点が浮上しました。とても印象に残っているのが、やはり市場が立体的になっていて、ターレやフォークリフトの使用には明らかに適していないと言うことです。フォークリフトを運転したことがあればすぐにわかりますが、荷物の運搬上、傾斜が多くあるととても不便で、危険であるわけです。そのことによって余計な時間もかかります。 豊洲市場が開場して、場内に傾斜が多いことをテレビで観て、開場ありきで使用する人々のことは考えられていないなと正直に思いました。これも結論ありきで、実質が失われている好例でしょう。やはりそこには現実感や感覚の麻痺があります。 その豊洲からほど近い晴海で、以下の記事のように事故が起きています。東京五輪の選手村建設現場で作業員が転落して死亡しています。 「選手村現場で作業員が転落死」(2018年12月5日 TOKYO MX NEWS) この件についても考えることは、やはり20年の五輪に向けて、安全対策が軽視され、事故が生じているのではないかということです。この事故についての報道は少ないのですが、仮に安全対策が軽視された上での事故なら一大事です。そうでなくとも五輪に関連する工事は一端止めて、時間をとり、安全対策を徹底的に見直す必要がありますし、そのような指導は東京都などはすべきでしょう。明らかな当事者なのですから。そのようなことが省かれているのなら、上記のKTXの事例と基本的に何も変わることはないでしょう。 上記記事では、この作業員の事案は自殺の可能性が言われています。そうなのかもしれませんが、もし東京五輪に工事を間に合わせるために自殺と言うことが言われているのなら、それは大変に大きな問題なのは明らかです。この自殺についてのことはとても違和感を持ちます。 この東京オリンピックもそうですが、大阪万博も、安全の軽視、強引な工事、利権化と錦の御旗で何でもありとうことは、政治において絶対に許されることではありません。1960年代、70年代の日本で行われたオリンピックや万博は、社会において大きな意味はありましたが、今やそのような意味はかなり希薄になっています。また他に意味があるかというとそうでもないでしょう。ある意味、とてもしらけています。関心もあまりありません。関心があれば東京オリンピックのボランティアの多くが外国人であるということを聞いて、すぐにテロの危険性が言われることでしょう。もちろん、この危険性は外国人だからと言うことではありませんし、ほとんどの方々は善良だと考えますが、その数が多くなればセキュリティ対策の問題は絶対に出てきます。そして、各競技の運営団体ではそのようなチェックの能力は皆無と考えます。 このようなことがあるのですが、しらけていても、一方で動くお金は巨額です。そういう意味で利権化になりやすい事案であるわけです。利権化とは公共や同胞の利益は省みず、一部の者が私腹を肥やすと言うことです。そしてそのために現場で働く者や国民の多くが犠牲になるということは絶対に許されるべきではありません。昨今の政治家が明らかに単なるイベント屋になっているのを見ると、結論(イベント)ありきで実質がなにもない、あるのは害だけということにならないようにしっかりとマスコミや国民のチェックが必要でしょう。もう既に、現実感の喪失、感覚の麻痺は生じているものと考えます。 | |
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