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戦前と何も変わっていない?
[日本の政治]
2019年1月15日 19時42分の記事

今の日本は戦前と何も変わっていないのではないでしょうか?

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日本の歴史において、一つだけ明確なことがあります。それは日本史上唯一、日本を滅ぼしたのは、共産主義や社会主義ではなく、日本の右翼・国粋主義という厳然たる事実です。それは戦前の軍国主義とも言えますが、明治維新から続く構造的欠陥が最終的に滅亡となり、占領の憂き目に日本は遭遇したわけです。これが日本の近現代史の最大のポイントです。
日本がこの滅亡への道を明確にばく進したのは大正期からです。はっきり言えば、日本が滅びの道を進んだのは日本のせいでしかなく、間違ってもハルノートでもなく、コミンテルンでもありません。そのような論説は基本的に戦争や軍事を知らないものと考えます。
このように戦争で滅亡を経験した日本が、戦後、その憲法に平和の追求、軍事の否定を刻むのは歴史的に当然の営みです。それは押しつけではないのです。押しつけと考えているのは、ハルノートで戦争に巻きこまれた、コミンテルンの策動によって戦争になったという、被害者意識を利用したプロパガンダにすぎません。この押しつけ憲法、戦争をさせられたという二つの論理は全く別のように見えて、実は同じことを目的としています。それは、先の大戦はその戦争の責任を他者に押しつけ、その戦争の責任者を肯定し、一方で戦後は押しつけられた憲法だから戦前に戻すという、どちらも戦前の体制を肯定し、復活を目指し、戦争を肯定しているにすぎません。こう考えれば、誰がこの論を言っているのかはっきりとわかります。それは先の大戦で戦争を起こした人々、勢力、そして構造です。つまり、その戦前の系譜・構造が現在の日本に厳然と存在すると言うことです。これが近現代史を通じて日本の最大の問題点であるのです。つまり、かつて日本を滅ぼし、人々に塗炭の苦しみを味あわせた系譜や構造、右翼が、今も存在し、何の反省もなく過去を肯定していると言うことなのです。もちろん、何の反省もないのですから、このまま続けば、もう一度、日本を滅ぼすことになるでしょう。単なるバカです。

ロシア、朝鮮半島
以下の日刊スポーツのコラム『政界地獄耳』を観ると、先ほど行われた日露外相会談が全く上手くいっていないことがよくわかります。上手くいっていないというより、日本側がこれまで上手くいかないようにしてきたのですから当然でしょう。ロシア側は、昨年、日露平和条約を18年内に締結しましょうとプーチン大統領が提案したことからもわかるように、しっかりとした関係構築の意志を示しています。そこに領土交渉もあるのですが、このコラムを見ると、安倍首相をはじめ日本側が交渉をぶち壊していることがよくわかります。そもそも日本側(安倍政権)は日露関係構築をやる気がないですし、実相は、この交渉は18年までに終わらせなくてならないもので、これからの問題ではなく、これまでの問題ということなのです。このことはこれまでザ・フナイで詳細に書いてきました。

「露払いにもならぬ河野太郎外相/政界地獄耳」(2019年1月15日 日刊スポーツ)

河野外相は単に能力がないだけという側面だけではなく、そもそも日露関係、日韓関係を融和、平和の方向とは全く反対へと導こうとしているのですから、日露関係が上手くいくはずがありません。その方向性を日本側が改めない限り、上手くいくはずはないのです。つまり、上手くいったときはこれまでの方向性を改めたときということなのです。
北方領土に米軍を置く置かないの問題も、基本的には米国ではなく、日本側の意向です。これは沖縄米軍と同じです。ザ・フナイなどで数年前から指摘していますが、米軍の世界展開は既に終焉しています。それはそれを支える構造が崩れているからですが、先日はシリアなどから米軍の撤収が表明され、以下の記事のように今度はNATOからも離脱と言われているわけです。

「トランプ米大統領がNATO離脱意向=周囲に複数回漏らす―報道」(2019年1月15日 時事通信)

このことは東アジアでも同じで、そこに朝鮮戦争の終焉と基本的に朝鮮戦争のために存在する在日米軍の存在に関わっていくわけです。これは米国が数年前から明示的に進めていることですが、そのような状況で米軍を北方領土に置くというのは基本的にあり得ないことです。そのように求めているのは、米国ではなく日本政府側(安倍政権)であるわけです。
これまでの米軍の世界展開の構造が変わるから、朝鮮戦争が終焉し、在日米軍の存在がポイントになるわけです。中東や欧州では既に撤収の二文字がはっきりとなっています。こういう状況において日本は日露関係を正常化し、平和条約を結ぶ必要が厳然と存在してきました。このことは過去形なのです。また同時に朝鮮戦争を終わらす必要も存在してきたのです。そして忘れてならないのは、朝鮮戦争において、韓国は前線基地、日本は後衛基地であるということで、日本も朝鮮戦争の明確な当事国であることです。日本の戦後構造とは実はこの朝鮮戦争に全てがあるのです。これが1952年の日本の国際復帰と在日米軍の意味です。それは朝鮮半島と日本がこの朝鮮戦争で冷戦構造の一装置になったということに他なりません。そして、その先にはトンキン湾事件でつくり出されたベトナム戦争があるのです。
しかし、日本には朝鮮戦争が終焉し、日露関係が正常化し、戦後構造が壊れてほしくない勢力があります。実は朝鮮戦争によって日本の戦前の構造と系譜が復活し、返り咲きました。それは経済構造、政治構造すべてです。政治においては自由民主党がこの戦後構造、朝鮮戦争の構造の主要点であり、それとともに経団連などの経済構造も存在し、戦前の構造が復活したわけです。そのようなところに原発問題の本質もあるわけです。日本はまだ原発を諦めてはいないでしょう。
一方、この日本の朝鮮戦争の構造=戦後構造のカウンターパートが韓国に存在します。それが朴正煕政権以降の保守系(現在は野党)と韓国軍、そして朝鮮日報や中央日報などの保守系メディアです。朴正煕政権は軍事クーデター政権ですから、朴正煕政権以降の保守派と韓国軍部、財界、そして保守派メディアは朝鮮戦争を休戦状態でも続行させるまさに構造であったわけで、そこに利益の構造があったわけです。
この韓国の朝鮮戦争の構造とがっちりタッグを組んだのが自由民主党、日本の財界、そして日本のメディアや右翼、勝共連合であり、その上に日韓ともに米軍という存在があって、前衛・後衛の体制が整い、朝鮮戦争がずっと続いてきたわけです。
このような日韓の体制において象徴的なのは、岸元首相、佐藤元首相と安倍首相の系譜であり、一方、韓国においては朴正煕元大統領と朴槿恵前大統領の系譜であるわけです。そして、この系譜で日韓基本条約や日韓ODAが行われてきたわけです。当然、それは朝鮮戦争の構造を強固にし、利益を共有するためのものです。
しかし、朝鮮戦争が終焉の時を迎え(この理由はずっとザ・フナイで書いてきました)、朝鮮戦争の構造が崩れれば、当然、日韓ともにこの構造は存在の基盤を失いますから、困ります。だから、終わらないようにここ10年から20年くらい動いてきたわけです。日本(安倍政権)は常に南北融和に否定的、敵対的な対応をしてきました。世界においてもこの対応は希な存在ですが、その理由は明確であるのです。このことは日露関係が正常化しないことも同じ理由です。
この南北融和を推し進めているのは文在寅大統領ですから、当然、日本(安倍政権や上記の朝鮮戦争の構造)と韓国(保守派、保守メディア、軍部)は反発します。自らの存在基盤がなくなるからです。そして、まさに現在の日韓関係の問題点はここにあります。だからこそ、日本や韓国の保守派のポイントとしているのは、文在寅政権となるわけです。ポイントとしてある日韓基本条約もその本質はここにあるわけです。
文在寅政権は宿願の南北融和、朝鮮戦争終焉を果たそうとしている朝鮮半島においては願ってもない存在ですが、韓国保守派は朝鮮半島に不幸と悲惨をもたらす朝鮮戦争を続行させようとしているわけです。そう考えれば、この韓国保守派の所行は、日本の安倍政権とともに利益をともにし、同じ方向を向く明らかに売国的、国を壊すものです。
この日本と朝鮮半島の実相のポイントは、当然、日露関係も同じです。米軍が東アジアに展開する根拠となってきた朝鮮戦争が終焉するということになれば、東アジアでの平和構築のためには日露関係正常化、平和条約締結が必要になります。このことを米露協調で進めているわけで、その米露による世界的な構造転換は上記のNATOから米国が撤退するということにも象徴的に表れています。
このような背景があるから、米国でもトランプ政権とロシアとの関係やロシア問題が言われるわけです。つまり、世界的な平和の方向へと動くことをやめさせるためにこのような批判が起こされているわけです。この米国での動きと、上記の日韓(保守派)の動きは当然、同根であるわけで、非常に世界を不安定にさせ、戦争の危険性を高めるものです。
「戦前と何も変わっていない?」(2019年1月16日)へ続く。

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◆この記事へのコメント(投稿順)
1. 吉田悦夫 2019年1月16日 12時9分 [返信する]
のど元あたりでもやもやしていたことをずばり分かりやすく解説してくださり、ありがとうございます。その辺のところを押さえておかないと学会も軌道を外れてしまいますので注意いたします。

 


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内容は今まで見たことのない国際情勢と世界史の分析で、2024年の世界情勢の根本要因が書かれています。この本とザ・フナイの連載をトータルで読むと、ロシア・ウクライナ情勢、パレスチナ・イスラエル情勢及び中東情勢、東アジア情勢など現在の世界情勢の本質が見えてきます。もちろん、日本国内の情勢も見えてきます。内外情勢は決して別々ではない。
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片桐 勇治(かたぎり ゆうじ)プロフィール
1967年生まれ。東京都出身。中央大学法学部政治学科卒。高校がミッションスクールの聖学院高校で高校・大学時代は聖書研究に没頭。
大学在学中から元航空自衛隊幹部の田村秀昭元参議院議員の秘書、以来、元防衛庁出身の鈴木正孝元参議院議員、元防衛大臣の愛知和男元衆議院議員の秘書、一貫して政界の防衛畑を歩む。
2005年から国民新党選挙対策本部事務局次長、広報部長を歴任。2010年より保守系論壇で政治評論を行う。 yujikatagiri111@yahoo.co.jp
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