問題なのは最低賃金の格差ではない? | |
[日本の政治] | |
2019年8月13日 23時55分の記事 | |
昨日の本ブログ「問題なのは最低賃金の格差ではない?」(2019年8月12日)の続きです。
今の焦点は所得、格差 第二次安倍政権が発足することが決まった2012年12月16日の翌日から、労働環境の改善と所得が伸びていく政策の必要性を私は述べてきました。それは、第二次安倍政権がマクロ経済政策(積極財政政策と金融緩和政策)、インフレ政策をすることがわかっていて、そのような政策をするには労働環境改善と所得が伸びることが必須となるからです。そうでなければ、インフレで購買力が落ちますからスタグフレーションになり、国民の苦しみが増していくのは自明なのです。 しかし、第二次安倍政権は、賃金上げろと経済界にいったりはしていますが、法的に、政策的に労働環境改善と所得が伸びることをせず、そして、今になって毎月勤労統計不正などのような問題や上述のようなことが出てくるわけです。かつて弱小政党の国民新党でさえ、経団連に行って賃金上げろといっていますから、それと同程度のことしか安倍氏は首相としてやっていないのですし、その効果が上がったとは現状を観る限りいません。首相であるのならもっとレベルの違うことができたはずです。安倍政権は明らかに労働者の敵と考えますが、その根本的姿勢は景気を冷えさせ、社会・経済基盤を破壊し、日本を破壊していくことでしょう。日本国民の大半は労働者なのです。 7月31日の時事通信は、以下のように安倍首相の言葉を報じています。 経営側は、最低賃金の水準について議論する厚生労働省の審議会でも「大幅な引き上げが続けば企業の存続自体が脅かされ、雇用や地域経済に重大な影響が及ぶことが懸念される」と警告した。 一方、労働側は審議会で、大都市と地方の格差是正の議論を重視。参院選後、安倍晋三首相が「無理やり最低賃金を上げることによって失業が増えていく」と述べ、中小企業に配慮する姿勢を示したこともあり、過去3年間と同水準の引き上げ率で落ち着いた。 「賃上げスピード加速せず=最低賃金」(2019年7月31日 時事通信) 2月9日の日刊ゲンダイが良い分析をしています。記事では、2月当時、安倍首相が総雇用者所得が増えていると繰り返し述べていたことについて、それは印象操作だと書かれており、さらにその主張は賃金の少ない労働者が増えているということと同じで、胸を張れる話ではないと分析をしています。そして、以下のように書かれています。 実際、総務省の「労働力調査」によると、一昨年から昨年にかけて、女性の非正規労働者は正規よりも2・6倍増加している。高齢者(65歳以上)の非正規も一昨年に比べ、40万人以上増えている。 要するに、総雇用者所得が増えている理由は、安倍政権の「働き方改革」によって非正規労働者が増えたからなのだ。 「安倍首相が連発『総雇用者所得増』は国民への“印象操作”」(2019年2月9日 日刊ゲンダイ) 要するに低賃金労働者、非正規労働者が増えたことによって、総雇用者所得が上がっているということです。2月6日の東京新聞の記事では、総雇用者所得はプラスになっているのに、実質賃金はマイナスになっていると書かれていますから、この日刊ゲンダイの記事を裏づけています。そして、この東京新聞の記事では、以下のように書かれています。 実質賃金を巡っては、厚生労働省が二〇一八年に毎月勤労統計の調査対象企業を入れ替えたことが問題視され、野党がその影響を調べるために企業を入れ替えない計算方法で「参考値」を算出。政府発表では一八年一〜十一月の実質賃金について、前年同月比でプラスが五カ月あったが、野党の試算による参考値ではプラスは一カ月のみだった。 「首相『総雇用者所得はプラス』 実質賃金マイナス認める」(2019年2月6日 東京新聞) このことが、冒頭の衆議院調査局の予備調査と関わるわけです。 この日刊ゲンダイの分析は、共働きの世帯が増えていることも物語っていますから、当然、家計が苦しくなっていることや高い水準にある相対貧困率も裏づけています。そして、この記事では、このような状態が少子化に拍車をかけていると書かれています。その通りでしょう。 「問題なのは最低賃金の格差ではない?」(2019年8月14日)へ続く。 | |
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