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即刻、オリンピック再延期を決定せよ 日本を破滅させた東条英機の再来 (14)
[日本の政治]
2021年7月21日 18時56分の記事

以下のウォール・ストリート・ジャーナル日本版の記事に、スガ氏の五輪開催についてのコメントが載っています。はっきり言って、そのコメントの内容は目茶苦茶です。

「五輪開催でも日本は安全 菅首相、WSJに語る」(2021年7月21日 ウォール・ストリート・ジャーナル日本版)

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一つ一つ観てみましょう。まず、以下のもの。


菅氏は、足元で1日当たり数万人の新規感染者が出ているにもかかわらず、マスクなしの観客が詰めかけた会場でテニスのウィンブルドン選手権やサッカー欧州選手権を実行した英国の事例に言及。


本ブログ「即刻、オリンピック再延期を決定せよ 『お・も・て・な・し』はいずこへ (13)」(2021年7月21日)で述べたように、すでに新型コロナウイルス感染で棄権者や不完全な形での試合の開催が生まれていますから、開会式前にしてこのオリンピックは不完全、不公正、消化試合のオリンピックと化しているのです。もはやオリンピックゲームではない。他の大会と比べても意味はそもそもないのです。はっきり言って、来年に再延期するしかないのです。


その上で「感染者数なども、海外と比べると、一桁以上といってもいいぐらい少ない」とし、「ワクチン(接種)も進んで、感染対策を厳しくやっているので、環境はそろっている、準備はできていると、そういう判断をした」と述べた。


今や東京都の感染者はものすごい勢いで増えています。それでワクチン接種は進んでいない。実際、スガ氏は現在の感染者数を想定していなかったはずです。だから3回目の緊急事態宣言を6月20日に解除する愚を犯した。その結果が、現状の大変な感染爆発なのです。もしくは確信犯かもしれませんが。


菅氏は、自身に近い関係者を含めた人々から五輪を中止することが最善の判断だと、これまで何度も助言されたと明かした。「やめることは一番簡単なこと、楽なことだ」とした上で、「挑戦するのが政府の役割だ」と語った。


挑戦するのは政府の役割ではありません。政府の役割は国民の命を守り、生活を安定させ、国民主権を堅持し、公共の福祉を実現することにあります。今年のオリンピック強行開催については、これまで国民の半数以上が反対してきています。そのことは、ここ3ヶ月ほどの期間に行われた世論調査のほぼ全てに現われています。同時に、直近の世論調査での内閣支持率は、3割を切り激減、自民への政党支持率も減少していることにも、この民意の動向は如実に現われています。また、このことは、本ブログ「都議選結果 勝ったのは立民と共産」(2021年7月5日)「今回の都議選の争点は二つだけ コロナ対応とオリパラ強行開催」(2021年7月6日)で分析・指摘したように、オリ・パラ強行開催を推し進める自民、公明、都民ファがオリンピック・ホストシティー東京の都議選で議席を減らし、支持を失っていることにも現われています。まさに民意の大半が、スガ自公政権が進めるオリ・パラ強行開催に反対していることは厳然とした事実です。
この世論を蹂躙して強行開催することは、そもそも民主的ではありません。国民主権を蹂躙するものです。そういうスガ政権の非民主的姿勢を、「挑戦するのが政府の役割だ」という国民に眼を向けていない政府の姿勢にはっきりと現わしています。
そして、何よりも「挑戦するのが政府の役割だ」という抽象論・精神論で物事を肯定、さらに問題の論点をずらし、自らの失敗を糊塗する姿勢は、まさに日本を破滅させた東条英機と同じです。東条英機は小役人が間違ってトップについてしまったと言われていますが、スガ氏も同じでしょう。二人に共通することは、器が小さいので独裁的になり、根本的な教養に欠け、帝王学をまったく学んでいないということです。つまり、二人ともトップに立つ準備がないのに、野心だけはたっぷりとあって、トップについてしまった。そして、東条は日本を破滅させたのです。
そういう東条はとにかく精神論で日米開戦を主張し、肯定しました。そして、スガ氏もまた同じくこのような空疎な精神論で、自らを肯定しるわけです。
また、スガ氏は「やめることは一番簡単なこと、楽なことだ」と述べていますが、一番簡単なことは、なによりも昨年から何の変更もない今年の強行開催なのです。だから、感染爆発を起こしていても、上述のようにオリンピック・ゲームに支障がすでに出ていても、世論の大半が反対してきていても、現実を観ないで、強行突破をする。まさに、この姿勢こそ、東条が日米開戦に踏み切ったときとまったく同じなのです。そして、先の大戦では日本は破滅したのです。
本当の意味でのスガ氏にとっての挑戦は、アベ政権下で決められた今年の開催をひっくり返して、さらに来年の開催へと再延期することだったのです。そして、それは可能でした。これまで何度も取り上げた以下の記事がそのことを示しています。政治的基盤が脆弱なスガ氏は、アベ氏が決めた今年開催の方針に逆らって、再延期をすることはできなかったし、また自らの政権基盤の安定のためには、そうするつもりもさらさなかっただけなのです。要するに一番挑戦していないのは、スガ氏本人なのです。

「日本政府主導で五輪の中止や延期は可能と米WSJ紙 契約上はIOCだけ」(2021年6月9日 日刊スポーツ)

上記ウォール・ストリート・ジャーナル日本版の記事では、スガ氏が「その上で、IOCについては『押し付けられるようなことだったら、跳ね返す』と述べた」とありますが、そうであるのなら、来年に再延期を間違いなくしているでしょう。しかし、そうではなくて、そもそも再延期の働きかけはまったくといって良いほどしていないのです。
そして、国民にはこれまで来年への再延期ができない理由を一言も説明せずに、この問題多き目茶苦茶な強行開催に至っているわけです。それでいて莫大な国民の血税がこのオリンピックに投入されてきている。まさに、これこそが、主権者国民を愚弄する非民主性の最たるものでしょう。


東京のコロナ感染者数は6月下旬以降、増加傾向にある。菅氏はこうした足元の状況を受けて、東京都に緊急事態宣言を発令。期間は7月12日から五輪閉幕までとした。ただそれでも、外国で導入されるロックダウン(都市封鎖)とは異なり、日本ではほぼいつも通りの日常生活が続いている。緊急事態宣言に伴い導入された主な対策は、飲食店に対する酒類提供の停止と営業時間短縮の要請だ。
一部では政府の方針に逆らって営業を続ける飲食店もあるが、菅氏は「日本人は、政府がそういう方向を示すと、多くの人が協力してくれる」と述べた。
日本の感染者数(20日時点で1日当たり4000人近く)は、国民1人当たりで見れば米国の約25%にとどまっている。高齢者の約6割、人口全体の22%がワクチン接種を完了する中、日本の死者数は大きく減少。コロナ感染者を追跡するウェブサイト「アワ・ワールド・イン・データ」によると、国民1人当たりでは米国の7分の1程度となっている。
菅氏は「日本の状況は、数字に表れているので、やはり世界に発信すべきだ」と述べる。


スガ政権・日本政府の国民に対する役割は、他国に比してましな感染状況を作り出すことではなく、新型コロナウイルスを終息させることです。それが憲法25条に規定されていることです。


第二十五条
すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。
国は、すべての生活部面について、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない。


感染状況を他国に比して正当化させるのなら、中国・台湾と比べれば、日本はまったくの失敗国です。即刻、スガ政権は失敗を認めて退陣すべきです。このようなスガ氏のコメントは、自らの失敗を糊塗する単なるごまかしにすぎません。為政者としては最低ランクの言葉です。まったく話になりません。


ただ菅氏は、競技が始まり、国民がテレビで観戦すれば、考えも変わるとして自信を示した。大半の競技が無観客での開催となるため、自身もテレビで観戦するという菅氏は、学生時代にやっていた空手の競技を楽しみにしていると話した。


この「競技が始まり、国民がテレビで観戦すれば、考えも変わる」が、スガ氏のごまかし戦術です。国民の大半が反対してきた今年の強行開催について、国民に向って何も納得がいく説明をせずに、このようなことで誤魔化すと恥ずかしげもなく、このように述べているのです。まったくの非民主性です。


「世界で約40億人の人がテレビなどで観戦するといわれている。そういう意味で、無観客でやる価値というのは、(それでも)ものすごく大きいと思う」


無観客での開催及び緊急事態宣言発令中の強行開催は、スガ政権の失敗の証です。まさに日本国民と日本の顔に泥を塗る歴史的な失敗。こういう言い方でただ単に自らの失敗を糊塗しているに過ぎません。


ハガティ氏はインタビューで、日本は東京五輪開催を通じて、いかにして強力な民主的な社会が五輪を実現出来るかを示す機会を有していると述べる。「北京五輪とは、その差が如実に表れると思う」


これはスガ氏の発言ではありませんが、今年の強行開催について国民の大半が反対している中で、それを蹂躙して強行開催を行う現実は、間違いなく『非民主的』なことです。この根本的な問題があるのに、民主的な社会で五輪を開催すると言い切るハガティ氏(上院議員、共和党、テネシー州、2017年〜19年に米国の駐日大使を務めた)は、実態を今年の強行開催に大半が反対してきた日本国民の側で観ていません。実にまったく民主的ではない非現実的なコメントなのです。非常に無理解な言葉と考えます。中国を出すまでもなく、また中国を出しても意味ないのです。私たち日本国民にとって最大に重要なのは、民主的な政府と民主的な政策が実現されることであり、それが日本の国是なのです。そして、それがまったく蹂躙されているのです。このコメントでは、このハガティ氏も、日本の国民主権を蹂躙する存在でしかないと考えます。アメリカ人だからと言って、民主主義者とは限りません。
あと、ここに三浦瑠麗氏が、スガ氏のよいしょコメントをしているのですが、日本にはいくらでもはるかにマシなコメントを評論家がいくらでもいます。この程度の人物の言葉を出して記事を構成することは、記事のクオリティーを明らかに下げることになります。もう少し、マシなコメントができる評論家は沢山いますから、そう言う人を率先して出すべきです。このあたりも日本人をバカにしています。

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1967年生まれ。東京都出身。中央大学法学部政治学科卒。高校がミッションスクールの聖学院高校で高校・大学時代は聖書研究に没頭。
大学在学中から元航空自衛隊幹部の田村秀昭元参議院議員の秘書、以来、元防衛庁出身の鈴木正孝元参議院議員、元防衛大臣の愛知和男元衆議院議員の秘書、一貫して政界の防衛畑を歩む。
2005年から国民新党選挙対策本部事務局次長、広報部長を歴任。2010年より保守系論壇で政治評論を行う。 yujikatagiri111@yahoo.co.jp
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