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毎日新聞の良いインタビュー記事
[日本の政治]
2023年1月2日 23時50分の記事

最近、毎日新聞の記事を褒めることが多くなっていますが、毎日新聞の宣伝をしているわけではありません。ただ、最近の毎日新聞には、地味だが堅実に良いポイントを突いている記事が目立ちます。今回取り上げるのは、元参院副議長の輿石東氏へのインタビュー記事です。そのメッセージは『与党に拮抗できる野党が必要だ』で、文句なく良いメッセージですし、その人選として輿石をもってきたのも、とても良いと考えます。

・ 『与党に拮抗できる野党が必要だ 輿石東・元参院副議長 2022年12月28日』(2022年12月28日 毎日新聞)

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輿石氏は元日教組で、左翼と言えば左翼です。そして、民主党政権期のあたりは参院のドンとも呼ばれた人物です。当時、国民新党にいた私はバカな右翼であったので、輿石氏のことはとても嫌いでしたが、それから10年以上たって、現在の政治状況を見渡せば、毎日新聞がこのメッセージとともに輿石氏を出してきたのはとても良いことと考えています。
この記事は短いのですが、前半と後半に別れています。前半部分は輿石氏の現在の政治に対する所感が載っていますが、総じてとても良い指摘をしています。少し観てみましょう。


自公政権が10年続いたのは、野党よりはまだましだという消極的支持のためだ。しかし、政治にバランスと緊張感が欠けると権力は腐敗する。
 それを防ぐには、野党が与党に拮抗(きっこう)できる勢力として国民から期待されるような状況を作らなければならない。野党第1党である立憲民主党にしっかりしてもらわなければならないということが一番の願いだ。
現在、立憲の支持率が上がらないのは、自公政権との違いが明確化できていないためだ。




その通りでしょう。野党が与党との違いを明確化できないなら、それは大政翼賛体制と同じで、存在の価値がありません。
民主党政権で旧民主党が評判を落として自公政権体制になってから、野党という選択肢が日本から消えたわけです。そして、いまだその悪評を挽回していないなかで、今度は輿石氏が指摘するように自公体制と違いを明確にせず同じ方向を向くようになってしまったわけです。これは立民の他に、国民民主、維新が同じです。国民から見える日本の政治は、明らかに大政翼賛体制です。
こうなったのは野党第一党である立民の体たらくにあるわけです。
私から言わせれば、この体たらくは旧民主党の左派ではなく、野田、前原などの右派にあるわけです。彼らは常に自民党2軍政治を追及してきたのですが、それでは当然、輿石氏が言うように自公体制との違いを明確にできません。
さらに、問題なのは、この右派によって左派の持ち味が消され、そのことが旧民主党系の特徴を消してしまい『与党に拮抗できる野党』になることを妨げてきたことです。そして『与党に拮抗できる野党』でなくなれば、必然、立民が与党になることへの期待感も減少していきます。
自民党2軍政治には誰も期待しません。劣る2軍に期待するのなら自民党1軍で良い訳です。そういうことを旧民主党の右派がこの10年、まったく理解できなかったわけです。その一部はなんと自民党に入ってしまった目茶苦茶。だからこそ劣化の方向を変えられなかったわけです。
そして、このトドメとなったのが、与党に対してまったく抵抗を放棄したイズミ体制の出現であるわけです。
輿石氏はさらに以下のように述べています。


 防衛費の増額問題に対して、ミサイルを撃ち合うことにならないような外交をどう展開するのか、防衛費だけではなく少子高齢化対策への投資をどう増やすのか、自公政権との違いを国民に分かりやすく打ち出さなければならない。徹底的に議論して結論を出したら、それを貫く党内のガバナンスも大事だ。
 方向性を見いだしたら、仲間を増やして大きくまとまっていかなければならない。大きな塊がないままでは国民から期待してもらえない。
 野球に例えれば、国民が監督で、岸田文雄という投手が投げているが、交代させようとしても野党の党首はベンチにすら入っていないのが現状だ。




キシダ内閣が軍拡を急激に進め、さらに増税をしていく中で、大政翼賛体制の一翼となった立民・国民民主・維新という政治状況を見れば、それを普通に『新たなる戦前』と言うのは当たり前でしょう。
そういう状況になっても、立民は大政翼賛体制に入っているので、政党としてまったく言葉が出てこない。まったく弛緩してしまっている。このような政党は、輿石氏が言うように与党の『政治にバランスと緊張感が欠けると権力は腐敗する』ことを促進させる存在ですから、国民は普通、期待はしないでしょう。現与党支持者には受けが良いかもしれませんが、しかし、だからといって票は入らないので、大きくはなりません。
あと輿石氏の『方向性を見いだしたら、仲間を増やして大きくまとまっていかなければならない』はとても良い指摘だと考えます。実は立民は排他性がかなり強いのです。これは立民だけに限ったことではなく、この排他性は所謂『リベラル』に強いと考えます。イデオロギーに固執する硬直した思考の傾向があり、そこに他者との違いを受け入れない素地があるのでしょう。所謂『リベラル、左派』は多様性を重んじることが実は出来ないのです。彼らには被害者意識が先行して、他者への愛がないといつも感じます。ただ、右翼は話になりませんけどね。
この点で、輿石氏はそういう頑ななところがなかったのではないでしょうか。柔軟性があったからこそ『参院のドン』とまで言われる存在になったと考えます。この所謂『リベラル、左派』の排他性こそ、現在の日本の政治状況に貧困をもたらしている隠れた大きな要因と考えます。

この毎日新聞の輿石氏へのインタビュー記事の後半は以下のものです。


結果を急がず路線の明確化を
 現在の立憲幹部は、政権をとっていた当時の経験者がそろっている。仮に来春の統一地方選で良い結果が出なかったとしても、再び党の執行部を短期間で交代させるようなことはしてはならない。混乱が続けば、党が消滅しかねないという危機感を党所属議員全員が持つべきだ。
 今年の参院選前には、斬新さを打ち出す人事をしたり、提案型を掲げたりした。ところが参院選で敗北すると、すぐに方針を転換した。国民からは路線がぶれているように見えてしまう。
 結果を急がずに立ち位置を定め、有権者に分かりやすいキャッチフレーズを打ち出すべきだ。もう一度党を立て直し、政権を取る覚悟と決意を示してほしい。

 



立民が現状のまま推移するのなら、今年の統一地方選挙で立民は勝てないでしょう。勝てない方が日本にとっては良いのかもしれません。この党はすでにその程度の政党になりさがりました。統一地方選挙で立民が勝てなければ、この党は挽回できずにいずれ消滅します。
輿石氏は立民が先の『参院選で敗北すると、すぐに方針を転換した。国民からは路線がぶれているように見えてしまう』と述べています。これは恐らく『仮に来春の統一地方選で良い結果が出なかった』場合、右派路線が立民内部で強くなることを懸念しているのではないかと考えます。その懸念は正しい。
ただ、率直に言って、2021年にイズミ体制になって、与党に抵抗する野党であることを立民が辞めて大政翼賛の片棒を担ぎ始めたことは、明らかに立民の大きなブレです。そう、有権者、特に立民を支持してきた層は受け取ったことでしょう。だから、輿石氏が言うように『自公政権との違い』がない立民になってしまったわけです。
立民にまず必要なのは、このイズミ体制になったときの誤った『ブレ』を完全に修正することです。そうでなければ、これからも見向きもされません。実際、輿石氏が述べているように昨年の参院選後に立民は執行部を変えました。しかし、そのことを認識していない有権者は非常に多い。仮に人事が行なわれたときに認識していていても、その後、変化がほとんどないので、人事があったことを忘れてしまった人は非常に多いでしょう。
このように立民に対して起きていることは『無関心』で、この傾向は日に日に高まっていると考えます。そして、その状況の結果は、惨憺たるものになっていくことでしょう。いくら立民にもの申しても変わらないと感じている有権者はとても多いと思います。その結果は必ず政党として成立たなくなる状況になるというです。票を得られない政党は消滅するしかありません。
立民はすでにそれほどひどい状況に追い込まれています。これをもとに戻すには、明日にでも党首のイズミを変え、立民の看板をかけ換えることです。そうしないと誰も期待しない。このことを最低でも統一地方選挙前にはすべきでしょう。
それができないと、言うまでもなく立民は消滅の道への歩みが加速されていきます。そして、これと同じくして、支持母体の『連合』自体が、これからはどんどん力を失っていきます。その理由は簡単で、労働者及び日本国民にとって『連合』と立民が有益な存在でなくなっているからです。そんな存在が、いつまでも力を持てると考えている方が甘いのです。

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片桐 勇治(かたぎり ゆうじ)プロフィール
1967年生まれ。東京都出身。中央大学法学部政治学科卒。高校がミッションスクールの聖学院高校で高校・大学時代は聖書研究に没頭。
大学在学中から元航空自衛隊幹部の田村秀昭元参議院議員の秘書、以来、元防衛庁出身の鈴木正孝元参議院議員、元防衛大臣の愛知和男元衆議院議員の秘書、一貫して政界の防衛畑を歩む。
2005年から国民新党選挙対策本部事務局次長、広報部長を歴任。2010年より保守系論壇で政治評論を行う。 yujikatagiri111@yahoo.co.jp
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