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『終末時計』が『人類最後の日』まで最短となった意味を考える その1
[日本の政治]
2023年1月26日 23時50分の記事

以下のNHKの記事では、アメリカの科学雑誌『ブレティン・オブ・ジ・アトミック・サイエンティスツが』が発表した、『人類最後の日』までの残り時間を象徴的に示す『終末時計』が最短となったことを報じています。この意味について少し考えてみましょう。

・ 『「終末時計」人類最後の日までの残り時間1分30秒 過去最も短く』(2023年1月25日 NHK)

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ザ・フナイ2023年2月号での舩井勝仁さんとの対談で、2023年の最大の焦点はロシア・ウクライナ情勢の帰趨によって人類が滅亡するか否かと申し上げました。人類滅亡か否かですから、それは誰にとっても今年の最大のテーマであることは当たり前です。
この対談は2022年10月中旬に行ないましたから、この時から人類滅亡が今年の最大のポイントであることは明らかでした。ですので、今年になって『終末時計』が『人類最後の日』までの残り時間が最短になったと発表されるのは、当然と言えば、当然のことです。
そうです。私たちにとってこの人類滅亡がすでに最大の問題となっているのです。
現状は、核戦争が言われた東西冷戦期よりも悪い状況であるわけですが、そのような認識がある日本人は非常に少ないのではないかと考えます。それは逆の意味で恐ろしいことです。なぜなら、日本国民が正しいと思って選択したことが、人類破滅に繋がる可能性が極めて大きいからです。例えば、デヴィ夫人がウクライナに行ったことが英雄的な行為と賞賛されるようなことです。
私からしたら彼女の行為は人類破滅を加速させているようにしか見えません。戦争で苦しんでいるウクライナの人々も、ロシアの人々も救わなければなりませんが、そのためには西側でこの戦争を仕掛けている人々を説得し、方向を変えるしか方法はありません。このことについては後述します。
話を戻しますと、この人類滅亡は、多分、明日はありません。しかし、3ヶ月後や半年後にはその危機的状況がかなり明示的になっている可能性があるということが、現状の私たちが住む地球の状況です。
現状を別の言葉でいうのなら、この人類滅亡を奇跡的に回避できるか否かという状況なのです。このこともこれまで申し上げてきた通りです。
ただし、この人類最大の危機を乗り越えたことき、私たちは史上最高の時代を必ず迎えていくことでしょう。そういう分岐点に私たちはいるのですが、現在の日本の政治やマスコミには、世界をマクロで俯瞰したビジョンや見識をまったく感じません。


○ ロシア・ウクライナ情勢の唯一の解決方法
現在の人類最大の危機の帰趨は、ロシア・ウクライナ情勢の帰趨にかかっています。そして、このロシア・ウクライナ情勢は、長年、英米を中心とするNATOが、ウクライナを使って仕掛けてきた反ロシアの動きにすべての原因があります。したがって、ロシア・ウクライナ情勢の終結のためには、英米を中心とするNATOがウクライナへの関与を止めて、撤退するしかありません。それ以外のシナリオは残念ながらありません。
英米を中心とするNATOがウクライナを使ってロシアに対して圧力を加え、ロシアの安全保障を脅かしてきたこと(NATOの東方拡大)が、ロシア・ウクライナ情勢でのロシアの行動の根本原因ですから、英米を中心とするNATOがウクライナから手を引けば、そこでロシアの行動は終わります。すなわち戦争は終わるのです。
しかし、そうならず、仮にロシアの存続が危うくなる事態になれば、ロシアは反ロシアの動きの中心である英米をはじめとするNATO諸国に対して核攻撃を躊躇なくします。そうなれば、英米を中心とするNATOはロシアに対して核攻撃の反撃をしますが、それは人類の終末戦争と言うことになります。
そのとき、日本に核弾頭が落ちてくる可能性は、キシダ軍拡増税内閣の反露政策によって限りになく高くなっています。これが、このロシア・ウクライナ情勢が第三次世界大戦と言われる意味です。
したがって、この第三次世界大戦においては、英米を中心とするNATO及びウクライナの勝利はないということです。英米を中心とするNATO及びウクライナが勝利する状況になれば、必ず終末的な核戦争になるからです。これがすでに明らかになっていることなのです。
ですので、ロシア・ウクライナ情勢での唯一現実的なシナリオは、英米を中心とするNATOがウクライナへの関与を止めて、撤退するしかないのです。このようになれば、ウクライナでウクライナ人も、ロシア人もこれ以上血を流すことはなくなりますし、何より人類が滅亡に至ることはありません。
ただ、そのような和平が訪れた場合、英米を中心とする西側の指導層・支配層の瓦解は確実に生じるでしょう。そのようになるのは、本ブログ『ブラジルとアルゼンチンの『共通通貨構想』が意味すること』(2023年1月24日)で指摘したように、英米を中心とするNATOがウクライナを通じて行なっている反ロシアの動きの本質が通貨戦争だからです。だからこそ、後述するように『新自由主義とネオコンは同根』なのです。
とにかく、ロシア・ウクライナ情勢で和平が訪れて、英米を中心とする西側の指導層・支配層が瓦解するということなら、それは人類にとっては福音でしかないでしょう。このロシア・ウクライナ情勢を仕掛けてきたのが、英米を中心とする西側の指導層であるのですから、自業自得であり、当然であるのです。
このようなロシア・ウクライナ情勢の本質を見事に喝破して、指摘してきた一人がフランスの人類学者であるエマニュエル・トッドですが、彼の指摘を様々な形でこれまでご紹介してきました。
本ブログ『なるほど米国のためにはなったのでしょう その2』(2022年7月31日)では、以下の日経ビジネスでエマニュエル・トッドが『世界の不安定性はロシアではなく米国に起因している』といっていることをご紹介しました。

・ 『エマニュエル・トッド氏「日本はウクライナ戦争から抜け出せ」』(2022年5月31日 日経ビジネス)


また、本ブログ『ペロシ邸襲撃という事件の本質は世界情勢を考えないとわからない』(2022年10月30日)では以下のようにトッドの言葉をご紹介しました。


今の状況は、「強いロシアが弱いウクライナを攻撃している」と見ることができますが、地政学的により大きく捉えれば、「弱いロシアが強いアメリカを攻撃している」とみることもできます。

『第三次世界大戦はもう始まっている』(2022年 文春新書 31頁)




このトッドの言葉は、ロシア・ウクライナ情勢がロシア対英米を中心とするNATOの第三次世界大戦であることをはっきりと指摘しているのです。
そして、トッドへのインタビュー集である『パンデミック以後――米中激突と日本の最終選択』(2021年 朝日新書)で、トッドが2019年というロシア・ウクライナ情勢が始まるはるか前に、その本質を端的に以下のように指摘しています。


まず戦略面、軍事面です。つまり、米国は北大西洋条約機構(NATO)の境界を東に広げないと言っていました。しかし実際は戦略的な優位を可能な限り推し進めて、結局ロシアを囲い込んでしまった。
あまり知られていないけれど、それはかなりのところまできている。今や、おかしなことにだれもがロシアを責めるけれど、米国とその同盟国の軍事基地のネットワークを見てみると、囲い込まれているのはロシアです。

『パンデミック以後――米中激突と日本の最終選択』(2021年 朝日新書 エマニュエル・トッド著 144・145頁)




この言葉は現在のロシア・ウクライナ情勢の本質をはっきりと指摘しています。
この一文は2019年10月9日のもので、『論座』に掲載された『冷戦終結で共産主義が崩壊し古い資本主義が蘇った 冷戦終結30年、エマニュエル・トッド氏に聞く』(2019年11月8日)の一文です。
すでに2019年10月の時点でトッドは、米国とその同盟国の軍事基地のネットワークがロシアを取り囲んでいることはかなりのところまできていると指摘して、NATOの東方拡大がロシアにおいて極めて大きな問題となっていると指摘しているわけです。
当然、このことが2022年2月24日からのロシアの軍事行動の根本問題なのです。ですから、このロシアの軍事行動に伴ってなされたプーチン大統領の演説(以下の記事)の最初で、プーチン大統領はこのNATOの東方拡大に言及しているのです。

・ 『【演説全文】ウクライナ侵攻直前 プーチン大統領は何を語った?』(2022年3月4日 NHK)



『『終末時計』が『人類最後の日』まで最短となった意味を考える その2』(2023年1月27日)へ続く。

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片桐 勇治(かたぎり ゆうじ)プロフィール
1967年生まれ。東京都出身。中央大学法学部政治学科卒。高校がミッションスクールの聖学院高校で高校・大学時代は聖書研究に没頭。
大学在学中から元航空自衛隊幹部の田村秀昭元参議院議員の秘書、以来、元防衛庁出身の鈴木正孝元参議院議員、元防衛大臣の愛知和男元衆議院議員の秘書、一貫して政界の防衛畑を歩む。
2005年から国民新党選挙対策本部事務局次長、広報部長を歴任。2010年より保守系論壇で政治評論を行う。 yujikatagiri111@yahoo.co.jp
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