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第一部 10話 【再び黒い霧、そして人生回数券のこと。】
[ハラベエさんの犬星☆猫星(第一部)]
2010年1月12日 9時45分の記事

あけまして、
おめでとうございます(・∀・)ノ
1日遅れてしまいましたが、

ハラベエさんの犬星☆猫星
=BEEとハラベエの愛の物語= 作・原  兵 衛 

第一部 10話 【再び黒い霧、そして人生回数券のこと。】
更新します。

おかげさまで去年の10月から
ブログをはじめて<約6275>人の方が
〜OGUNI・WORLD〜に
来ていただきました(^ω^)

今年も、ハラベエさんの☆犬星・猫星☆
どうぞよろしくお願いいたします。






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ハラベエさんの犬星☆猫星の第一部〜三部の
リンクを作りました。
使ってくださいね(*´∀`*)ノ♪

☆【第0部】【1P

☆【第一部】【1P】【2P】【3P】【4P】【5P】【6P】【7P】【8P】【9P10P11P】【12P

☆【第二部】【1P】【2P】【3P】【4P】【5P】【6P】【7P】【8P】【9P】【10P】【11P】【12P】【13P

☆【第三部】
1P】【2P】【3P】【4P】【5P】【6P】【7P】【8P




ハラベエさんの犬星☆猫星
=BEEとハラベエの愛の物語= 作・原  兵 衛 

第一部 10話 【再び黒い霧、そして人生回数券のこと。】

 成田のH田家を訪れフーちゃんと会いました。
 もうすぐ18歳、四肢の衰えが目立ちますが、内臓は丈夫らしく、食欲は至って旺盛です。 
 誘われるままに好意に甘え、本田家にお世話になったハラベエさん、成田の日々を楽しく過ごしました。
 緩やかな起伏に富んだ肥沃な土地に、さまざまな季節の野菜畑が広がり、都会暮らしの身にはありがたい、甘いとさえ思える空気の美味しさがあります。
 歩き廻りました。
 万歩計の数字が、驚異的に増えていきます。
 浅草中心のコースのように、神社仏閣や名所旧跡は多くありませんが、名もないお堂、刻まれた文字も判読できない古い道しるべ、時には県の文化財に指定されている旧家の黒塗りの家屋敷など、ハラベエさんの興趣を大いにそそるものでした。
 東京に出る際の最寄の駅までは五キロ強ですが、苦にはなりません。
 往きも帰りも歩きました。
 野趣豊かな自然が、ハラベエさんをリフレッシュしてくれたのです。
 これで、フーちゃんが一緒だったら……それは無理。
 人類にしたら九十歳になんなんとするご老体なのですから。
 歩きから帰ると、いつものように足を投げ出して寝そべったフーちゃんが、チラッとハラベエさんの顔を見ます。 
 (イイトシナンダカラ、ムリシナイヨウニ……)
 とでもいいたいのでしょうか。
 新しい造成地に立てられた、数十戸からなる住宅で、犬類は数人、犬小屋で暮らしていて、時折散歩しているのを見ることがあります。
 しかし猫類がいません。
 もちろん、家の中で暮らしているからだとも考えられますが、ノラちゃんすら見かけないのです。
 ある日、ご近所のK口さんのママが、少し離れたところで、珍しくノラちゃんの仔猫と出会い、つれて帰るかどうか迷った挙句、二度三度、家とその場を往復しましたが、仔猫はその場を離れず待っていたようです。
 かっての蝶々さんとシロみたいなもので、会う前から運命付けられていたのではないでしょうか。
 この住宅地の住人は、ご近所との人間関係がすこぶる良好で、いわば向う三軒両隣が親密な状態を保っています。
 ですから、仔猫に関しても、一様に心配するのです。
 縁があるんだから引き取った方がいい……それが周囲の結論でした。
はじめは無関心だったK口パパも、次第に仔猫の可愛らしさに魅せられていったようで、名前も自分で付けました。
 地名の一字をとって倉三、転じてクーちゃんに決定。
 はからずも、あのクロネコヤマトの宅急便の、クーちゃんと同じです。
 この偶然の一致から、ハラベエさんは、いつか来た道へと誘われていくことになります。
 H田家の北側にしつらえられた、屋外用の椅子テーブルから左前方、まだ建築にかかっていない分譲地の草むら越しに、クーちゃんのK口家、その手前に在宅でコンピューター関係の仕事をしているN山さんのお宅があり、朝はお互いに手を振って挨拶を交わしています。
 目を右手に転ずると、週末に庭いじりに主が来る別荘風の家、続いて、まだ若いのに二人の娘をもうけ、自宅を建てた甲斐性ものの若夫婦の住まいがあります。
 そのほか散在する家や、裏手の若夫婦など、よき隣人に恵まれています。
 ハラベエさんは、パイプをくゆらしながら、夜の闇の中に溶け込んでいく家々や、近くの森の姿を眺めるのが習慣になっていました。
 時折、風向きの都合でコースを変えた、成田を離着陸する旅客機の赤い灯が、頻繁に夜空をよぎっていきます。
 ハラベエさんは、いい思索の場だとしていましたが、どうやら思いはひとつところを堂々巡りしているようです。
 カレらが、いつも脳裏のどこかに存在しているのです。
 当然、よく現れるのはBEEです。
 いかにも元気そうにして見せた、死ぬ数日前。
 そして、力尽き逝っしまったビリイ。
あれは、今のオレではないか。
 確かに、BEEの死後、再起を期して東京に出たのは正解でした。
 多忙な日々が仕事への自信を回復してくれました。
 ところが、そのころの仕事の過程や、結果についての記憶があいまいになりがちなのです。
 霞がかかってるようで、記憶に実感がないのです。
 多忙だったのは、ろうそくの最後のひと燃えかもしれない……。
 ……そして俺は消えていく。
 いや、カレらがどこから来たのか、カレらは何者なのか、カレらはどこへ行くのか……その謎を解く前に、消えてなんかいられない……オレはまだ回数券を使い切ってはいないのだ。
 そうです、回数券です。
 人はみな、回数券を与えられて生まれてくるものだ……と、ハラベエさんは以前からよく言ってました。
 人生の節目節目で、回数券を使うのだが、人によってつかい方が違います。
 天才は夭折する、といいますが、この場合は一気に回数券を使って、頂点に上り詰めたことを意味します。
 一方、回数券をつかい残す人も多く、それを横から失敬するものもいる。
 男を踏み台にしてとか……女を食い物にしてのし上がったなどというのはその類でしょう。
 心やさしく、愛する人に分かち与える人もいるはずです。
 いささかギャグっぽい考え方ですが、周囲の人に当てはめると、結構それらしい人間模様が見られますよ……試してみてください。
 オレにはまだ、回数券が残っていると、ハラベエさんは常々仕事に関して思っていましたが、どうやら使い道は大きく方向転換しそうです。
 そんなある夜。
 中空にある満月を横切って飛ぶ機影を見ました。
 それは、BEEたちの幻を乗せたUFOが飛び立って行ったときと、同じ光景に見えました。
 ふと視線を落とすと、いつも見慣れた風景ではありません。
 周囲の家々がぼうっとかすみ、空き地の草むらだけがはっきりと目に飛び込んできたのです。
 しかもその上を、いつかのように黒い霧が覆っています。
 踏み分け道もあります。
 ハラベエさんは躊躇なくその場所へすぐさましゃがみこみました。
 予期したとおり、黒い霧の下は明るかった。
 そこに繰り広げられたのは……?
予期したとおりの光景でした。
犬類、猫類の閲兵式だったのです。
 全体的に、前見たものよりはかなり小規模ですが、行われることに変わりはありません。
 犬類の指揮官は小型犬です。
 あまりに活発なその動きに、見間違うところでした。
 フーちゃんだったのです。
 俊敏に駆け回っています。
 猫類のそれは?
 集団の中に見え隠れしている姿、仔猫のクーちゃんでした。
 ちいさいながらも、威厳を持って統率しています。
 犬類の集団の中にモモちゃんがいました。
 なんと、遠く離れて生まれ育ち、生きているときには会ったこともないはずのバドくんと 大はしゃぎで跳びまわっていましたが、フーちゃんに注意されておとなしくなり、二人揃ってハラベエさんに向かって、ちんちんをしました。
 次の瞬間、ハラベエさんは目を疑いました。
 モモちゃんとバドくんの近くに、それはありました。
 金色に光る目。
 BOWでした。
 寄り添うようにLOVEもいます。
 大阪の子が、何故この成田にいるのかという疑問が、チラッと走りました。
そのとき、BOWの目が金色から穏やかなまなざしに変わっていくのに気がつきました。
、LOVEと頬をよせあい、懐かしそうにハラベエさんを見ているではありませんか。
 今なら一緒に風呂に入ってくれそうだ……救われる思いでしでした。
 その後の進行は滞りなく、犬類、猫類の幻の集団を乗せたUFOは飛び立っていきました。
満月を横切って宇宙のかなたに……。
 草むらに立ち尽くすハラベエさん。
 大阪の平野から 飛び立っていった子たち……今しがたここ成田から、飛び立っていった子たち。
 カレらの行く手には、なにが待っているのだろうか。
 トコちゃんのおばあちゃんが言ったように、彼らは戻ってくるのでしょうか。この段階では解けそうもない謎です。
 既にフーちゃんと仔猫のクーちゃんの姿はありません。
 あたりはいつもの風景に戻っています。
 さて、どうしたものか。
 ハラベエさんは、深い思いに沈みます。
 短い夏が過ぎ、忍び寄る秋の気配を肌寒く感じながらも、その場を動かずにいるハラベエさんでした。
 すだく虫の音。
 やがて、タバコ一服にしては長すぎると心配して迎えに来た、H田さんの奥さんMゆみさんにの目に映ったのは、まるで立ったまま眠っているようなハラベエさんだったそうです。
フーちゃんは、自分のベッドで、いつものように前足を投げ出して、何事もなかったように目を閉じていました。
 おそらく、仔猫のクーちゃんも、パパやママにやんちゃな子らしく遊んでもらっているでしょう。
 その夜、ハラベエさんはなかなか寝付かれませんでした。
 このところ、うわごとが激しく、時には奇声を発して迷惑をかけています。
 東京に出た折、時々泊めてもらうI見さんの家でも、彼の眠りを妨げることが多いようです。
「カレらと会話してるんじゃないの」
 事情を知っていての言葉でした。
 平静な眠りにつこうと、うわごとと奇声の予防に安定剤を服用したハラベエさんでしたが、睡魔はサボっているようです。
 さまざまな思いが脳裏を駆け巡ります。
 カレらから訊き出すことはできないのか。
カレらと会話を、できることならしてみたい。
 突然、ショウちゃんの顔が浮かびました。
 そうだ、ショウちゃんならひょっとして……。
 大阪へ帰ろう……。
敷居は高いが、なんとかなるだろう。
ショウちゃんに会うのだ。
会えば、何かきっかけがつかめるだろう。
そうだ……早くしないと、カレ自身がどこかへ行ってしまう年齢のはずだ。
帰ろう大阪へ。
その夜,睡魔の訪れはついにありませんでした。

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ハラベエ さん
〜OGUNI・WORLD〜
地域:大阪府
性別:男性
ジャンル:趣味 漫画・小説
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シーズの愛犬BEEとハラベエを取り巻く生き物たちとの、
出会いと別れを描いた感動、ファンタスティック・ノベルです。

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