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チャイムが鳴る頃
[人生]
2010年2月7日 2時35分の記事

■人生:SERIOUS■
その時にしか聞けないもの。
分かっていれば後悔なんてしない。

FROM:なつかしい言葉達
http://xss.blog116.fc2.com/


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 夕方、学校が終わってもチャイムが鳴り響くのは不思議なことである。
 まあ時間が分かるから良いか、なんて思ってそれを聞いているのだが、此処最近ではそんな呑気なことも言っていられなくなった。何故なら、その夕方のチャイムを聞くとちょっと悲しくなるからである。
 
「あ〜あ、俺もカノジョ欲しー」
 
 学校の近くの崖で仰向けに寝そべっていた少年は、重い溜息をはきながらでっかい独り言を言う。その理由は至って単純、今迄つるんでた男友達がこぞってカノジョとかいうヤツを作ってしまい、独りだけすっかり手持ち無沙汰になってしまったからだ。

 ―――――そりゃ女のコは好きだけどさ、だからって友情はどーしたのよ?

 専らそう思う。
 まあ別にそれほど蔑ろにされてるとかいう訳じゃないからこんなのは本当に愚痴の羨望か何だというレベルなんだろうが、それにしたって皆が皆カノジョに夢中で恋愛の話しかしないとくれば飽きもしてくる。

 ―――――ま、得てして人ってのは恋バナが好きだからねー。

 そうも納得してる。
 自分だってカノジョがいたらそれこそ夢中になるんだろうが、悲しいことに今のところそういう女のコはいない。だから全ての愚痴は羨望一直線みたいに感じられるのだ。

「恋愛なんて大人になっても出来んのにねー。でも青春はどうよ?今が旬でしょ」

 勿体無いよな、そんなことにも気付かないでさ、そう愚痴る空に、チャイムの音が鳴り響く。例によって夕方のチャイムだ。
 キーンコーンカーンコーン…
 その音を聞くと、何だか無性に悲しくなる。自分が今独りだということや、今までこのチャイムを聞きながらつるんでた友達の事を思い出して。

 ―――――いつかはこのチャイムも聞けなくなるのにさ。

 夕方のチャイムなんて馬鹿馬鹿しいよな、なんて言いながらつるんで遊んでた時は、本当に幸せだったんだろう。だって、そんな毒舌を吐いていてもこのチャイムを聞けたんだから。

 でもきっとこれからは違う。いつか卒業して大人とかいうやつになったら、きっと皆こんなチャイムのことなんて忘れてしまうんだろう。どうせ今付き合ってるカノジョとも別れてるに違いない。そんな中で毎日あくせく働いたりニートになったり…まあどっちでも良いけど、とにかくこんなチャイムのことなんて忘れてしまう。聞ける時に聞かないんだから、きっとすぐに忘れてしまうに違いない。

「ま…俺は忘れないでおこ。だってまだ青春したいし」

 大人になりたくて仕方無いヤツは、チャイムを忘れて大人になれば良い。
 でも自分だけは、チャイムが鳴るこの時間を思い出せるようにしておこう。
 

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