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短篇小説:おりもじ
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あぜ道の足跡
[人生]
2010年2月7日 2時37分の記事
■人生:SERIOUS■
大人になると、過去の自分のことさえ分からなくなる。
だから歴史は繰り返す。
FROM:なつかしい言葉達
http://xss.blog116.fc2.com/
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久々に帰郷したその土地で、小さな足跡を見つけた。
あぜ道にある足跡だ。
ぺたんぺたんとしたその足跡はいかにも小さな子供のもので何だか微笑ましい。だけれどそれと同時に何だか妙に恨めしい気がした。
「あら、裕一君。久し振りねえ。元気だった?こんなに大きくなって…」
16歳で故郷を離れて以来、8年ぶりの帰郷。
そうとくれば飛んでくる言葉は必ずそれになる。もう何度もその言葉を聞いてその度に笑って世間話などをしたけれど、そういう時決まって厭な気持ちになった。
かつてこの人は、自分を裕一君だなんて呼んだだろうか。
いいや、違う。いつも裕ちゃんと呼んでいた。
この8年の月日が自分を「裕ちゃん」から「裕一君」に変えたのだと思うと月日の流れは妙に恨めしく、また既に「裕ちゃん」がこの世から消えてしまったことは妙に悲しさを呼んだ。あぜ道にある足跡は、まるで消えてしまった「裕ちゃん」のようで恨めしい。
「俺の靴のサイズっていくつだっけ?」
ふと呟いて、そっと背後を振り返ってみる。
するとそこには、今しがた自分が歩いてきた足跡がくっきりと残されていた。その足跡は、どこかの子供の足跡とは随分と差があり、大きい。それを見て何となく厭な気分になった裕一は、笑いもせずに正面に向き直った。そしてまた、一歩一歩と歩いていく。
「俺、どんな子供だったっけ?」
何となくそんなことを思ったが、まるで思い出せない。自分の事なのにさっぱり記憶にない。確かにこのあぜ道を走って転んで怒られたりした記憶はあるのだが、その時自分が何を思っていたのかはてんで思い出せない。本当に自分だったのだろうかとさえ思う。
“裕ちゃん”はどんな事を考えてこのあぜ道を歩いていたのだろうか。 小さな足跡を付けながら、どんな事を?
恐らく、今こうして「どんな事を考えていたか?」なんて馬鹿馬鹿しいことを考えるために走っていたわけではないだろう。きっと、もっと何か違う事を考えながらこの道に足跡をつけていたに違いない。
それはもう思い出せはしないことだけれど。
「裕ちゃん」
何となくそんな声が聞こえた気がして、裕一はふっと背後を振り返った。
がしかし、そこにはあぜ道が続いているだけである。
―――――なんだ、気のせいか。
そう思って正面を向き直ったが、暫くして裕一は再度ふっと背後を振り返った。そうして、誰もいない、小さな足跡のついた道に向かってそっと呟く。
「…大丈夫だよ」
思い出せもしないかつての自分に言い訳をするみたいに。
END
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