生存の証 | |
[詩] | |
2022年4月16日 16時31分の記事 | |
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真夏の夕暮れの蝉しぐれ。 竹藪の中で笑っている影法師。 野球帽を被るまだ何も知らない自分は、 虫かごにいっぱい入った虫の、自由を奪った。 オレンジ色に染まる田んぼ道で、虫アミを顔にかぶってふざけて見せた。 許された罪の頃を過ぎて、 そびえ建つビルの陰で眩暈と幻覚に苦しんでいる。 目の前に映る光景は夢なのか。 自由を無くした自分は虫かごの虫、社会に飼いならされた歯車。 吹き出る脂汗がしたたり落ちる。 ネクタイを緩めながら栄養ドリンクを飲み干せば、真夏のギラついた日差しが笑っている。 小遣いで喰える日替わりランチ、定食屋のテレビで臨時ニュースが流れる。 どれだけ道を歩けば終わる、果てることのないレースに疲れた。 誰よりも幸せになりたい、欲張りな願い。 大人になると見えなくなる妖精に逢うには、 どれだけの無謀が必要だろうか。 痛みと欲望の世界で、 報われないこの贖罪の日々は、誰が骨を拾うだろう。 自分らしく生きることが唯一の希望なら、 涙さえも明日の力になるから。
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