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2021年7月10日 19時27分
人間水族館(ショート小説)
 
「ねえねえお母さん」
「あの人間の親子が今日も来てるよ?」

「あら本当」
「入館料は安いけど」
「きっと仕事がなくて暇なのね」

「お母さん、仕事って何?」

「エサを食べるために汗を流すことよ」
「カネ、て言うガラクタを貰うの」

「ふ〜ん」

「ほらほら、あたし達を指さして何か言ってるわよ?」
「きっと、あたしたちのウロコに見とれてるのね」

「そ〜かなあ、僕は、あいつウマそう!て言ってると思うよ?」

「ボク、そんなことよりも。おババ様が呼んでいたわよ」

「え、あの人まだ生きてるの?」

「何言ってるのこの子は」
「あの方は死ぬことはありません」
「苦しみ、血を流すことを喜んで受け入れる方ですから」

「はい」


・・・・・・・・・


「お久しぶりです、ババ様」

「おお、サンテ」
「あなたですか」

「僕をお呼びですか?」

「ええ、今がいい時期です」
「まだ若いあなたに、大切なことを教えねばなりません」

「はい」

「・・・・サンテは、この我ら魚を見せ物にする人間が」
「なぜ縛られた動物なのかを、知っていますか?」

「う〜ん、僕は知りません」
「人間は縛れているんですか?」

「ええ、がんじがらめにされています」

「僕には見えません」

「ええ、だから彼らにも見えないのです」

「何でなの?」

「人間は太古の季節より」
「少しだけ他の動物よりも、脳が開放されていました」
「だから、道具というガラクタを使って」
「この、地上を支配したのです」
「すべての生き物を食います」

「はい、僕も知っています」
「人間は、生き物で快感を作るそうです」

「よく勉強していますね、サンテ」
「サンテは知っていますか?」
「人間は、敵意で同じ仲間を殺します」

「え、そ〜なの?」
「みんなニコニコしてるよ?」

「ここに来る人間はそうですが」
「本当は・・・腹、と言う顔があるのです」

「お腹にも顔がついてるの?」

「それが人間が縛られている理由のひとつです」
「快感という欲望を覚えた人間は」
「気持ち良いのが辞められなくなり、罪を繰り返し」
「罪を重ねて、その重さに気がつくことも出来なくなりました」

「へえ、じゃあ僕たちは人間のために死ぬの?」

「サンテは見ぬくことが出来るのですね」
「私達生物は、人間のために。そして人間とともに死にます」
「その心は何だと想いますか」

「わかりません」

「愛、と言う本能です」

「アイ?」

「食って寝て犯す」
「本能はこの他に」
「愛する、と言う生きるよりも死ぬよりも大切なものがあります」

「へえ・・・よくわかりません」

「ええ、サンテは知らなくて当然です」
「人間だって知らないのが普通ですから」

「あ、でも人間が縛られてるのが何となく判ります」
「人間のいやらしい顔が僕の脳の中で見えます」

「・・・・すみません。サンテ」
「少し疲れました」

「はい、おやすみなさい。ババ様」



「あ、ボク。どうだった?おババ様のお話は」

「うん。人間でも知らないことを教えてくれたよ?」
「人間は縛られている、悲しい生き物だったんだね」

「・・・まあ、ボクも成長できたのね」
「じゃあ今日はお祝いに、貯めておいたミミズをあげますよ?」

「わ〜い!」


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2021年7月10日 19時9分
ゼロハンの懐(ふところ)ショート小説
びぃぃ・・

ばりんばりん

カラカラ

びぃぃ・・


「・・・・」

きぃ!

「おっちゃん、やっぱ変だよこれ」

「・・・んあ?」

かっちゃかっちゃ

きんきん

「ちょっと待ってな坊主」

「俺は坊主じゃないよ」
「海野だ、いい加減子供扱いすんなよな」

「・・・うーん」
「どこら辺でおかしくなる?」

げしっげしっ

「うん、3足に入れて加速始めると成る」
「ガリガリくるんだ」
「上のギヤも同じなんだ」
「いつもそうなんだよ」

「・・・あー」
「わりいな坊主」
「このマシンの前のオーナーだよ、原因は」

「何だよそれ」

「オーバーホールして慣らし運転の時だ」
「ちゃんと回転数を守らないとな」
「原付きなんてデリケートなオモチャだから」
「絶えず全開だからシャーねんだよ」

「げええ・・・このマシンどんくらいおフルなの?」

「・・・うーん。お前の知らない時代だな」
「本でも買って勉強しろ」

「・・・・・」


俺は海野だ。
海に住んでるからじゃないぞ?
家の裏に野原もあるし前に海もあるけど、関係ないじゃん。
毎日原チャリで海岸線シーサイドを走る。
まだ原付き免許しか無いから、ギヤ付きって種類は貴重なのだ。
なんかこのマシン速度計が100キロまで刻んである。
バイク屋のおっさんは「ノーマルだ、問題はない」
でも捕まっても責任は俺が取るんだよな。

親父が言うには。

「未成年は親同伴で家裁処置だから、気にすんな」
「思いっきり逮捕されろ」

「・・・おやじ頭イカれたな」

で、今日も走るのだ。一日中走る。あちこち市内中。

「俺は学校辞めたから無職なんだ」
「前の職場は、クビ」
「デキが悪いとクビにするんだ、この社会は」

今は走ってるだけでいいのだ。
何かも忘れるんだ、嫌なこと全部すべてあらゆる事、色々。

「こんな面白い乗り物」

学校の先生は、乗るなと言った。
不良の乗り物だから乗ってはいけない。車に乗れ社会人、と。

このよく知らないバイクが俺を変えるんだ。
他の大きなライダーには相手にされない。
簡単にぶちぬいてくけど、俺にはこれしか無いから良いんだ。


びぃぃぃー・・・

「・・・・」

海岸線の直線シーサイド道路は波が激しくて、よく海をかぶる。

ばしゃあっ!

「・・・・」

またシールドがびっしょりだ。
あの海岸コーナーを曲がるのが、ひとつのテーマと化してる。

びぃぃ

・・・・

びぃぃーん

「あきない、何で飽きない?」



「坊主。お前が若いんだよ」

「バイクのせいじゃねえ」

「年寄りやカーキチには理解出来ねえんだ」

「孤独なんだよ、厳しいんだ。それが良いんだよ」

「おっちゃんが哲学語ってるよ」

「はははは、好きなんだからそれでいーんだよ!」



「・・・・・」

海岸商店街の、いつものお好み焼き屋で食べる。
表に止めた、くたびれたマシンが雨に打たれてる。
そこら中錆びてて、よく見るとボロボロだ。

赤いノーマルカラーは、長年の年季でイロハゲ。

「良く働くおじさんだな・・・」


「なんだい、けんちゃん」
「海を見てたそがれるには100年早いよ?」

「はいよ、肉玉」

どん

「違うよおばちゃん、愛車を眺めてたんだよ」

「はっははは」「けんちゃんも大人だねえ?」

・・・このオバサン商売上手だな。


この臨海タウンは、昼間から雨模様。
汚いハウスでお好み焼きを食べる。
ありふれている光景と日常。

いつも海が居る。

「海には神様が住んでるって話、ホントかな?」

「あら、けんちゃんが海神様を知ってるなんて」
「あたしも長生きしてて良かったよ」
「冥土の土産だよ」

「は、ははは・・・」

「今日はドコ行くんだい」

「うん、女の子に会いに行くんだ・・・」

「まー!ませたガキに成っちまったよこの子は!」

「関係ありませんから!」


ばいィィィ・・・

ばりんばりん

「・・・・」


町の同年の娘に合うのだ。
まだなんにも無いんだけどね。
彼女は働いてる。同じ様なゲンチャリに乗る。


「海野くん、私のライディングを見て下さいよ」
「きっとあなたは未来の女性GPレーサーに惚れるわ!」

「・・・運転は俺のほうが先輩だぞ?」

「いいえ、テクニックよ!!」
「天性のライディングスピリッツは何でも可能なのよ!」

「・・・判ったから今度遊びに行こうよ」

「うん、じゃあ・・・高台のレストランで待ってるわ」

「げえ、もっと安いとこにして」

「・・・これだから子供は使えないのよ」

「すみません」

「いいです、あそこの展望台で待ちます」
「来なかったら焼き殺しますよ?」

「・・・すごい冗談」


ばいぃぃ・・・


「あの娘に会えるのか・・・」

雨の中を、小さなバイクは待つヒトのところへ向う。

今日もいつもの光景。


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2021年7月9日 19時56分
ワレハ工員ロボット・ナンバーツー
 
ピィーッ

ガタン・ガタタン・ガタタンッ・・・

ナンバーツー「今日も残業で帰りが遅くなってしまった」

電車通勤はストレスが溜まる・・・
毎日朝6時に起きて、仕事に出かけて夜遅くに帰宅する毎日。
私、ナンバーツーはロボットであるのだが。
市民権が与えられている。
表向きは人間様と同じ権利だと言うのだが。
どう見ても差別が蔓延している。
遠くの大都市では、ロボットの権利平等を掲げて大規模な。
ロボット達によるデモクラッシーが始まっている。

今月の工場の生産性向上標語は・・・

「ノルマ達成の為に、ひと鉄板脱ぎましょう!」

何故か知らないが、人間様は。
ロボットの知能が幼児並みと信じきっている風潮がある。
確かにロボットたちの見た目は、ブリキのオモチャのように。
単純そうに見えるのだが。
実際は、哲学を語り理論を展開出来る程の知能は持っている。

今日も生産現場で新製品のブリーフィングが行われた時に。
人間様の上司たちは、

上司A「ラインの労働者達はロボット工がミスを繰り返すのは」
  「頭脳の設計段階から問題があるのでは?」
  「と言っている人間工員も居ます」
  「ロボット工員たちの各自、頭脳サーキットの」
  「図面を班長に提出するように義務付けるべきです」

と語っていた。

No.2「冗談じゃない、では人間様は」
  「ミスを犯さない自信でもあるのだろうか?」

こんな反感を持ったとしても顔に、いや音声機関から漏らす訳にはいかない。

今は休憩中・・・

となりで油ドリンクを飲んでいるナンバースリーに囁きかける。

No.2「おい、ナンバースリー殿。あのA班・班長の人間様は」
「自分の娘に、100万ゼゼコもするPCを買い与えたそうだぞ」

No.3「本当ですか?」

No.2「ああ、本当らしい」
  「人間様が使っているPCが本当は・・・」
  「ワレワレ、ロボット達が苦労して設計生産した」
  「ロボ・アーム・メイドだと人間様は知らないらしい」

No.3「ナンバーツー殿」
  「我々ロボットの体格デザインが何故、旧時代のイメージのままなのかを知っていますか?」

No.2「知っています」
  「人間様に近い見た目にしてしまえば」
  「人間様に化けて潜り込み、集団決起して反乱を起こす」

No.3「ええ、人間様はそれを一番恐れています」
  「!」
  「隣の班の班長の人間様が、さっきからワレワレノ交信を傍受しています」
  「愛想笑いを浮かべましょう」

No.2「あははは」

No.3「うふふふ」


ガッチャンコ!


No.4「お疲れ様ですう、ナンバーツー殿」

No.2「お疲れ、フォウちゃん」

No.4「ねえねえナンバーツー殿、あたし最近痩せたと思わない?」

No.2「何ですか?フォウちゃん。軽量化したんですか?」

No.4「そ〜なのよぉ!」
  「近所にあるウエイト・コントロールショップで」
「歩行機関の外装材質を、アルミ・カーボネートに交換してもらったのよぉ!」

No.2「でもゼゼコが高いでしょう?ロボ課税がかかるし」

No.4「大丈夫なの!ロボトミー・クレジットが使えたのよぅ!」

人間様ヒラ工員A「なんだい、ロボットは人間みたいに」
        「運動してダイエット出来無いのかい?」

No.3「人間様、それは言いすぎですよ・・・」

人間様ヒラ工員B「こりゃ驚いた!ロボットが気配りとはっ!」

人間様たち「あっはっはっはっはっ」

穏やかそうに見えて全然穏やかな会話じゃない。
さっさとグロ電に乗って帰宅しよう・・・


ガタン・ガタン・ガタタン・ガタタン・・・

昨日の帰りに会社からグロ電の駅までの商店街の歩道で、捨て猫がダンボールの中で鳴いて居たな。
2匹のまだ幼い子猫。茶色いトラジマ模様の猫と、ミケ猫。
2匹ともメス猫なのだろう。ホンモノ猫なのだろうな。

「・・・・」

果たしてロボットが子供を産める時代は来るのだろうか?
いやいや、いまだにロボットの頭脳サーキットが人工知能だと。
気づいていない人間様が大半の、この人間社会では。
ただ生き延びることだけが、ロボットのロードなのだろう・・・

今日も1日の労働の賃金から引き落としされる。
金属疲労・電線摩耗・潤滑油の消耗・脳回路のエラー修復。
アパートに帰ってもすぐには休めないのが。
人間様の様にズボラな生命維持が出来無い辛さだな・・・

ガタタン・ガタタン・ガタン・ガタン・・・





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2021年7月9日 18時9分
存在許可申請
ダサい臭いは、最高の誉め言葉。

屈折した昨日は、どこまでもまっすぐな明日に繋がっている。

昔から分かっていた。

自分という存在が、派手で、目立ってしまうことを。

地味にしていて、誰かの後ろに隠れても、目立ってしまう。

若い頃はそれが欠点だと思っていた。

でもこの歳になって気が付く。

それは、天から与えられた才能なんだと。

カリスマ性は、控えめに生きていても、プンプン匂ってしまう。

ならばその能力を、自分の夢のために使えばいい。

こんなにも素晴らしい才能があるのだ。

人を癒す力。人に元気を与えることができる力。

産まれつきのヒーラーならば。

困難な、神秘体験の人生もうなづける。

散々な体験も、骨折り損のくたびれ儲けも、七転八倒も。

すべては明日の夢のためのプロセス。

星の脈拍を感じて、宇宙の声を聴いて。

天の意思を伝えることが、俺の使命なら。

この身も心もささげよう。

どんな絶望の日々だって、明日の光という希望が見えるから。

大丈夫、勇気がすべてを変えてくれるさ。

誰かの喜びが、俺の幸せだから。
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2021年7月9日 3時9分
現在を生きる亡霊
こころに負った傷は。

いつまでも怯えて、悲鳴を上げている。

あなたと寄り添いたい。

あなたのこころの支えになりたい。

何度も何度も、くじけそうになる時。

あの日の誓いを思い出す。

この人生は、奇跡で出来ている。

奇跡の星で産まれる奇跡は。

生きてゆくことが奇跡だから。

スリルとロマンに満ちた、険しい道の果て。

もう一度、素晴らしい自分に誇りを持とう。

愛と勇気に背中を押される。

大丈夫、勇気がすべてを変えてくれるさ。

いつか寿命が来て、あの世に行くときも。

ただひとつ、さわやかな笑顔があればいい。

泣き濡れた昨日は、もう捨ててしまおう。

体験する意味。

それを探して、道に迷う。

暗闇の迷路の中で、道標が輝いているよ。

臭くて歯が浮いてしまう、綺麗ごとでもいい。

どこまでも心を透過する。

あなたの癒しになりたいから。

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2021年7月9日 2時57分
アンの頬(オートマチック・ガールズライフル26話)
 
チョモル村落は初夏の陽射し。
背中を伝う汗が心地よい季節が訪れました。

今日は、アンが会社をお休みして。
アニィの授業をお手伝いします。
学校の裏山で自然体験学習。
山猿のアンには誰よりも詳しい教師役が務まります。
最初、アンに頼まれてアニィはびっくりしましたが。
校長先生にお願いしたら、アンに。
自然の素晴らしさを教える、専門教師に成って下さい。
と逆にお願いされてしいました。

アン「でも私は学歴がありませんから」

アンは丁寧にお断りしました。
今日は快晴。
朝はじめの授業、クラスの皆で。
虫あみと虫かごを持って山の麓で集合します。
アニィは車椅子を男子数人に押してもらいます。
一番先頭でアンがはしゃいでいます。

アン「いいですか?皆さん!」
  「これから私が、ジャングルでの生存方法を教えます」
  「野性の恐ろしさを嫌というほど体験して下さいね」

男子A「アン先生!」
   「ここはジャングルじゃありません、森ですよ?」

アン「森もジャングルと同じ部族です、差別はいけませんよ?」

アニィ「アン!嘘を教えちゃいかんぞ!」

アン「てへへへ、ごめんねえ?」

皆で一列に並んで森へ入っていきます。
アンがまたはしゃいでます。

アン「良いですか皆さん!」
  「ジャングルではいつも食料を探さなければいけません!」
  「例えば、ここ!」
  「ここにイモせっちゅう虫が居ます」

ひょい・・・・

アン「生き物は食料になります!」
  「あーーん」
  「もぐもぐもぐ」

男子B「む、虫カゴ・・・・」

虫かごを差し出して、信じられないような顔をしています。

アン「うん・・・結構おいしいですよっ?」

クラス全員「うわー・・・・」

アニィ「アン!ここは軍隊じゃないぞおっ!!」

アニィ「てへへへ・・・ごめんねえ?」

更に奥へと進みます。

アン「良いですか?イキナリ敵と遭遇するのが戦場です」
 「例えば、あの茂みの中に何かが・・・・・」

ガサガサガサッ!!

アン「ひぃっ!!」

クラス全員「アン先生!!」

ガサガサガサガサガサッ!!

アン「うぎゃあああああっ!!」

アンがものすごい勢いで山を降りて走って逃げて行きました。

アニィ「・・・・・・・」

アニィには判っていました。アンがどうしてしまったのか。

女子A「先生、アン先生はど〜しちゃったの?」

アニィ「うん・・・・・」

午後、仕事を終えてアニィは一人で帰宅しました。

アニィ「アン・・・やっぱりここにいたか」

アンが自分用の化粧台の前で毛布をかぶって座っています。
床に座って下を向いて。

アン「・・・・・・・・」

アニィは知っていたようです。
アンがいつかはこうなることを。

アニィ「アン・・・何か食べないと」

アン「・・・・・・」

アニィ「・・・・・・」

アニィは初めから知っています。幼児の頃から。
アンがどんな女の子なのかを。
純粋で真っ直ぐな心は、今も失われていません。
つまりそれは、困難な人生を送る理由に成ってしまうことも。

次の朝。
アニィがアンを連れて病院に受診します。
精神医療を担当する医師にかかります。
アンが診察を受けていますが。アニィはもう覚悟が出来ています。

アニィ「・・・・・・」

アン「うぎゃああああ!!!」

アニィ「!」

問診の最中にアンがもの凄い絶叫をしだしました。

アン「そ〜です!私は人殺しです!!」
  「私は毎日毎日!勤勉に人を殺しましたあ!!」
  「私の正体は人殺しなんですううっ!!」

大絶叫のアンの叫びが病院に居るすべての人の耳に響きます。
こんな小さな女の娘がこんなに大きな声を出せるのでしょうか。
すぐにアンは鎮静剤の注射を打たれました。
アニィはアンが入院する手続きをします。

アニイは主治医と面談します。

医者「奥様は一人で精神的苦痛を抱え、隠して居たようです」
  「いえ、誰にも言えなかったのでしょう」
  「ご主人にも・・・」

アニィ「はい、アンは苦労しか知らない女です」
  「自分の事を犠牲にするのが美徳に成るのは」
  「あの娘のせいじゃないんです」

医者「ご主人、私にはどうしても信じられないのです」
 「奥様がたった一人で、あの戦場を生き抜いた事実が」
 「あんなに聡明で純粋な女性が戦争をすることが」

アニィ「・・・・・・・・・」

何も言えません。アニィも戦場に居たからです。
アンは本当に一人きりで生き抜いた。
普通はありえないはずです。

医者「ご主人、良いですか?」
  「今はもう戦争は終わりました、ですが」
  「彼女の心の中では、まだ戦争は終わっていません」
  「彼女は今でもたった一人で戦場に居るのです」

アニィ「!」

医者は気を使って、たばこを吸いに行くと言い部屋を出ました。
その日は夜中までアニイは病院に居ました。


アンの家に長い冬が訪れました。
外の世界では春が終わり、夏が始まります。
かつて、アンが元気に駆けまわったチョモル村は。
今は平和な匂いがします。日差しが強くなってきました。
近所の子供が数人で、川に住むネコカニを採っています。



第7章終わり。


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2021年7月8日 18時16分
叩きつける雨が
 
涙の世界で生きてきた。

喉は嗚咽して、鼻水とよだれを垂れ流す。

眼は白目をむき、髪の毛は逆立って、素肌は鳥肌が立つ。

自分が産まれてきた理由が知りたい。

自分のこの星での使命が知りたい。

必要のない人間なんているわけがないから。

祈り続ける魂は、どこまでも無心のまま。

こころとこころ、身体と身体を重ね合わせて。

カタチある世界で、カタチなきものに憧れる。

泣き笑い人生でいいんだよ。

悲しみの涙が、嬉し涙に変わるまで。

涙は笑顔につながっているから。

こころを叩きつける雨。

大粒の雨粒が、したたる涙を隠してしまう。

ドシャ降りの後の澄みきった青空に。

こころは晴れ渡る。

雨上がりの街は、なんだかうれしそう。

初めまして、また逢いましたね。

今度こそ、魂の約束を果たしましょう。

この世界の、すべての悲しみが。

生きている輝きに変わるまで。
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2021年7月8日 17時43分
オレンジ色の風
人生とは、辛くて苦しいもの。
でもそれに負けないくらい。
人生とは、嬉しくて楽しいもの。
あんなにもうダメだと思ったあの夜。
絶望が自分にはお似合いだと思っていた。

誰かと喜びに心を震わせて。
歓喜する明日。
苦しみを舐めて、味わってきたのなら。
春の雪解けを待てばいい。

恐怖と猜疑心に、何も信じられないと。
この世界は地獄の闇だと思った。
それももうじき終わる。
全ての涙が塗り替えられる。
宇宙の風が呼んでいるから。
愛というプレゼントに、魂はとろけてしまう。

黄昏の光の中で、あなたを見かけたら。
思わず駆け寄って、声をかけるでしょう。
綺麗な夕日ですね、もしよかったら、一緒に歩きませんか。
オレンジ色の風に吹かれて、どこまでも歩いてゆきたい。
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くる天
ブログ紹介
人間力を育てよう!-ブロくる
新村正幸SS さん
人間力を育てよう!
地域:静岡県
性別:男性
ジャンル:お絵描き お絵かき
ブログの説明:
人が社会で一番最後に信用されるのは、
才能でも能力でもなく人間力です。
愛をもって誠を貫かんとすれば、
あまたの障害が立ちはだかります。
おもしろいではないですか。
自己紹介
統合失調症の中二病。 平和が好きで争いが嫌いなアカシックレコード接続者。 愛と勇気を信じる時代遅れのおっさんのエゴを聴いてください。 詩人のヒーリングです。 利他主義の為に。愛と平和の為に。 このブログに掲載されている詩や小説やイラストは、全て自分が描いた自分の著作物です。 どうぞご自由にお使いください。
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