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てんたまみ
 
2013年1月8日 20時26分の記事

ジーコ復活したけどこれ読むといつも吹き出すので貼っておく

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―2011年某月

博之「えー…、この度は対談企画ということで」
トシ「久しぶりやなぁ博之」
博之「トシくんに来てもらいました!」
トシ「何なん?(笑)」
博之「本が出るんよ。『永井浩二を見つめて』」
トシ「ほーか…もう3年になるんやな」
博之「何にも知らん人もおるんよ…。あの配信が終わった経緯とか…」
トシ「ええやん、とりあえずジーコんとこ行こうや」

―夏の暑い日差しの中、永井博之は兄の三回忌を迎えた。
 広島から駆けつけた友人のトシと共に、故人が埋葬されている松山の某霊園へと向かう―

―霊園に向かう途中、アサヒスーパードライとセブンスターを買う二人。
 故人の生前の好物だという―

トシ「ジーコ…来たで」
博之「…」
トシ「…何で自殺なんかしたんよ…ジーコ…」
博之「追い詰められとったんよ…。
   でも…俺は住民を恨んでないよ。たぶんジーコも…」
トシ「何でなん?あいつらのせいやん。
   俺もブタとかデブとか言われとったけどな、ジーコに対してはもっと酷かったで」
博之「それでもよ…。配信してる時のジーコは輝いとったからな…」

―思い出すようにそう呟きながら、ビールを開けて墓前にそなえる博之。
 重い沈黙が辺りを支配する中、兄想いの弟がそっと兄の墓にコインを投入した。
 起動を報せる電子音。軽くレバーを叩くと、華々しい効果音と共に異国の少年が現れた。

トシ「…何で墓がスロットなん?」

博之「タツよ。金ないけん、墓買えんって…」
トシ「そっか…おばちゃんもジーコがビールぎり飲むけん、ノイローゼになってしまいよったもんな…」
博之「アンチが突撃してやすまろもクビよ…。タツが大黒柱やけん、文句言えんのよ」
トシ「まぁでも、案外ジーコも本望かもなぁ。」
博之「…」

―順押しでゆっくりと…永井浩二のリールが止まる。
 第三リールが停止すると同時に、少年は絨毯から転げ落ちた。
 あの日から設定はずっと1だ。大好きなメダルを沢山抱えて、彼は天国で幸せだろうか…。


博之「この墓に線香はないけんな、皆2,3回回していくんよ。」
トシ「俺にもジーコ打たしてや」

―トシと交代する時、博之はお墓の横のお供え物にふと目を留めて、少し悲しそうな顔をした。

博之「また伊勢海老…こっちは歯ブラシよ」
トシ「どっからココが知れたんやろうな。未だに嫌がらせしよるんか」
博之「ええんよ…それだけ皆に覚えていて貰ってるってことやけん…」
トシ「…いかん、またガセや…、…しかしツかんのー、ジーコの台は(笑)」
博之「天邪鬼やけんな、アイツは(笑)」

―うだるような暑さの中、墓前に座り込む二人。
 いつしか持参したビールは1本、2本と開けられ、二人の間には思い出話の花が咲いていた。

博之「おいっしいのう!」
????「ひろくん…」
博之「おう、お前も来たんか!」

W「うん…浩を伯父さんに会わせてあげようと思って」
浩「ダァー」
トシ「おー、おっきくなったやん、浩くん!」
博之「もう2歳よ」
W「それと…お義母さんも」
博之「えっ?…わーーーーーー!」

KC「浩二…あんた…死んでまでスロットけ…」

―次男が亡くなってから初めて訪れるお墓。
 泣き崩れる母親の姿に、博之はどうすることもできなかった。

KC「でも浩二が…幸せやったんなら…」

―慣れない手つきでレバーを叩く。
 突如、全リールが消灯。液晶に現れたのは、もう見ることのなかった筈の…

トシ「お…おい!こんな演出あったか…?」
博之「……ジーコ………」

―その場にいる全員が目を疑った。
 ドット絵になってもわかるその佇まい。

KC「浩二……浩二………」

―溢れ出す涙を拭うことすらせず、震える手でボタンを押す母親。
 そして第三リール停止時に聞こえた懐かしい声。





「なあああああああああんぞこれええええええええええええええええええ!!!!!」


―その声を皮切りに、霊園中に鳴り響く聞きなれたテーマ。
 啓子ごめんよ、啓子ごめんよ、永井啓子さんごめんなさい…―

浩「うー?じー…こ?…ダァー」
博之「そうや、浩…ジーコ、ジーコだ…お前の伯父さんだ…」

―その場にいた誰もが泣いていた。三年遅れで届いたメッセージ。
 涙のようにコインを吐き出すジーコ。三年分の…いや、三十年分の想い。
 みるみる内に地面はコインで覆われた。





―そして現在。前作『永井兄弟の活字配信0001 君のマンコに乾杯隔離』のミリオンセラーを受けて、
 永井浩二の名は全国に知れ渡った。そして同時にその死も…。

 あの日を契機に母親の啓子さんは以前の元気を取り戻した。
 Wさんも二人目の子供を授かったということだ。
 彼の友人達も各々の人生を歩みだしている。
 止まっていた時間は動き出したのだ。

 さて、ジーコが果たして何枚のコインを吐き出したのか。
 正確に数えることはできない。なぜなら今も彼はコインを放出し続けているからだ。
 せっかくなのでこの本の巻末に収録させて頂いた。
 永井ファンとして是非手にとって頂ければ、故人も喜ぶだろう。

 尚、近日生前のジーコの配信模様をBD全13巻でお届けできることが決定した。
 こちらもファンならコンプリートは必須のアイテムだ。

(てんタマ書房 元公式管理人著『永井浩二を見つめて』 より一部抜粋)

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