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西菊いただきもの小説♪
[小説]
2009年3月5日 23時36分の記事

おともだちのリョウさんから新刊の表紙描いたお礼にと西菊小説いただきました♪

そしていま、なぜだか春コミプチオンリーあわせで急遽コピー本を作ることになって慌てふためいています……




小説は続きからよりどうぞー

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おんぶ




「お前、俺をおぶって走れるか?」
 唐突に西園寺から切り出されて、ええー!?と菊地は大声を上げた。何のつもりかまじまじと顔を見上げるが、いつもながら西園寺はあまりにも真っ直ぐすぎる視線で、反対に何を考えているのかよく分からない。
 どう答えていいか分からず困ってしまって、菊地は目尻を思いっきり下げて西園寺を見上げた。
 菊地が答えあぐねている間に、西園寺は真剣な顔で訴えてきた。
「夕日の新人はあいつを背負って走ったり訓練をしているらしいぞ! お前も夕日なぞに負けていいのか!?」
 拳を握ってまくしたてられて菊地は、やはり黙り込んだ。
 夕日の新人は田中くん。
 そして、あいつ、と言えば一本木さん。
 認めたがらないが西園寺が、夕日町応援団のリーダー、一本木に妙なライバル意識を燃やしているのは周知の事実だった。菊地や、他の団員たちも夕日町応援団に対して何のわだかまりも持っていないが、そのせいで巻き込まれていつの間にか対決しているのもしばしばだ。
 今もどこから仕入れてくるのか話を聞きつけてきて、居ても立ってもいられなくなったに違いない。
「できるのか、できないのか!」
 詰め寄られるように詰問されて、菊地も両の拳を握り込み、大声で答えた。
「押忍! やらせていただきます!」
 できるかできないかと言われれば、菊地にだとてプライドがある。夕日町の新人にできて朝日は、などと言わせるつもりはさらさらない。
 というか新人うんぬんの話ではなく、朝日、夕日を問わず応援団の面々を思い浮かべると、恐らく誰もが大の男を背負って走るなど朝飯前に違いなかった。外見からは西園寺や杉田は優男に見えるが、その実、鍛え方は半端ではない。一緒に応援する菊地はそのことを実感していた。皆にできて自分ができないままでいるわけには いかない。
 できるできないではなく、やるのだ。これは気合いの問題だ。
 菊地の決意を見て、西園寺は満足そうに頷いた。
「よし! 今から始めるぞ!」
 目の前で腕まくりをされて、菊地は少し慌てる。
「え? 今から……ですか?」
「何を言っている、当たり前だろう!」
 そこにしゃがめ、とばかりにびしっと地面を指さされて、菊地は口を真一文字に結んだ。別にすぐに挑戦させられることに異論があるわけではない。問題なのは、自分が背負うのが西園寺だということだ。
 菊地は顔を赤くし、団服の端を持ってもじもじと捩った。
 だが、西園寺が菊地の心中を慮ってくれるはずがなかった。
「早くしないか!」
「お、押忍!」
 怒鳴られるように急かされて、慌ててしゃがみ込み、背中を差し出す。すぐにどさっと重みを感じて、菊地はぐっとその場に耐えた。ぐぎぎ、と歯を食いしばって、よろけながら立ち上がろうとする。西園寺の身体は、見た目より遙かに重かった。
 かろうじて何とか立ち上がると、重い足を一歩踏み出す。
 一歩、また一歩と進みはするが、歩くよりも遅いスピードだ。
「どうした! お前の実力はそれくらいか!」
「押……忍……っ!」
 真後ろから叱責が飛んでくるのに、歯の間から声を絞り出すように答える。
 道の半ばまで行ったところで、西園寺はぽつりと呟いた。
「なにか違うな……」
 考えるように首を傾げた後、止まれ、と菊地に合図する。菊地は足を止めて、西園寺が地面に降り立つのを待った。
 振り返ると、西園寺は顎に手を当てて、地面を見つめながら考え事をしていた。
「これでは、俺がつまらんな」
 そんなことをぼそりと呟いている。
 かと思うと、急に腕を解いて菊地に向き直ったのだった。
「よし、今度は俺がお前をおぶってやろう!」
 菊地は大きく口を開けて、ええーっ!?と叫びたかったが、どうにか声が出るまえにむぐっと口を閉じることができた。出かけた叫びをごくりと喉の奥に飲み込む。
 西園寺は菊地の様子など気にもかけずに、さっさとその場にしゃがみ込んだ。
 早くしろ、とばかりにせっつかれて、躊躇する隙もなく背中に乗せられる。
 西園寺は軽々と菊地を背負い込むと立ち上がり、軽やかに駆け出し始めた。広い背中は歩調と一緒に上下に揺れたが、それ以外は何の不安もない。菊地はそのがっしりとした肩に手をかけて、おずおずと前を覗き込んだ。
「お前は軽いな。これではあまり鍛錬にならん」
 視線に気づいて顔を向けた西園寺は、何とも言い難い笑顔を見せたものだから、菊地はもごもごと言いよどんだ。
 せっかく上機嫌なところ気分を損ねたくはないが、やはりこれはおかしいと思うだ。
「というか、僕の訓練だったはずですが……」
 菊地が言いづらそうにぽつりと切り出すと、西園寺はむ……と眉を寄せて黙り込んだ。

END



リョウさんありがとう!!!
あたいがんばる、あと…10日……

リョウさんのサイトはこちら
キタノヒトツボシ

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くる天
ご注意
このブログは、 個人の偏った趣味の二次創作を展示しています。 任○堂、i○is様等とは一切関係ございません。 「同人」「女体化」「カップリング」などの単語をご存じない方の閲覧はご遠慮ください。 また、かなり女体化率(菊地)が高くなっております。 苦手な方はくれぐれもご注意願います。
描き手
酒守-Sakamori--ブロくる
守津 さん
酒守-Sakamori-
プロフィール
名前:守津(もるつ)
性別:おっさんの心に体は女性
年齢:サザエさんより年上
好き:酒、うまい肴、菊地
萌CP:田→菊、西←菊、菊地総受
現在プレイ中:EBA、街へいこうよどうぶつの森(Miiで菊地を作って菊地プレイ/笑)
ぽちっとな
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