【No.1 ファイル サーカス団長殺人事件】-探偵K登場- |
[名探偵K No.1 ファイル] |
2006年10月15日 1時24分の記事
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ところで君たちはサーカスって見たことあるかい? そう、あの猛獣に乗って火の輪をくぐったり でかいボールに乗っかってピエロが歩いたりするアレだよ。 今回の事件は、サーカス屋さんで起きたんだ。・・・
俺の名前は「K」。 ケーって読んでくれてもかまわないし、 面倒くさければ、呼ばなくったっていいさ。 名前なんて、一種の記号のようなもんだ。 俺はこの街『NEO三田シティ』で、ネゴシェーターまがいの仕事をしている。 交渉人っていえば聞こえはいいが、一応探偵のつもりだ。 でも実体は、迷子の猫探しや、主婦の浮気調査、はたまた難解な殺人事件まで 全てこなす、ようはナンデモ屋ってところさ。 俺の名前は「K」。 よろしくな。
ところで君たちはサーカスって見たことあるかい? そう、あの猛獣に乗って火の輪をくぐったり でかいボールに乗っかってピエロが歩いたりするアレだよ。 今回の事件は、サーカス屋さんで起きたんだ。
多重人格ディティクティブ K 【No.1 ファイル サーカス団長殺人事件】 事件1 「探偵K登場」
腕時計の針は、もうすぐ昼の12時を指そうとしている。 うらぶれた三田の路地裏を、一人の女性が歩いている。 いや、歩いているというよりも何かを探している様だ。 彼女がこの辺の道を行ったり来たりし始めて、かれこれ1時間近くたつ。 女性は、右手にメモ帳のようなものを持っている。 「えっと確かこの辺りだと思うんだけど、もぅ!!ごちゃごちゃしてて、 わからないわ。この地図!!!」 女性が頭に来て足下にあった空き缶を蹴飛ばした。 その空き缶は勢い良く、目の前の古ビルの一階にある看板にぶつかる。 ゴン!!! −K探偵事務所− と書かれた看板の悲鳴が聞こえた。 「あっ・・あった。ここだわ。」
薄汚れた古ビルの一階に、その女性の‘お目当て’があった。 「やっと着いたわよ・・Kの奴」 女性は、着ていたダンガリーシャツの袖を、肘のところまで捲り上げた。 秋とはいえ昼の日差しは厳しい。 ゴンゴン!!ゴンゴン!! 事務所の入り口を激しくノックする。 しばらくして、部屋の中から男の声が聞こえてきた。 「麻布ラーメンか? 今日は出前頼んでないだろ〜」 ガチャリ。 女性が突然ドアを開けて、中にいる男は驚いた。 「わっ泉。泉じゃないか」 「そうよ。久しぶりね、K。相変わらずわかりにくい場所にあるわね。 何回来ても覚えられないわ。今日も1時間近く迷ったもの。」 「で、今日は何の依頼だい?」 俺が2週間振りの依頼を受けている間に、彼女の事を説明しよう。 彼女の名前は、泉ノリコ。 最近流行のネットワーク新聞の記者だ。 彼女の依頼は難解な事件が多くて、本当は受けたくないんだけど、 何と言っても2週間振りの仕事。たまらず俺は、飛びついた。
「じゃあ、話を整理するよ。」すべての話を聞き終えたKは口をひらいた。 「・・・ええ。いいわ。聞かせて頂戴。K。」 「今から4日前の、9月20日。 新宿で講演されている猛獣サーカスショウを取材に行った君は、そこで殺人事件に遭った。 夏のイベント情報を記事にしたかったキミは、公演中に楽屋にインタビューに行った。 そこの楽屋で人が倒れていたのを発見した。 死んでいたのは、中木 陽(なかき ひかる)。猛獣サーカス団の団長。 死因は、頭部打撲による裂傷。容疑者は全部で3人。
1.泉 ノリコ(第一発見者 日本人 女 ) 2.市川 裕(いちかわ ゆたか)(副団長なので団長が死ぬと一番得をする 男) 3.大川 正徳(清掃員:直前に中木と言い争っていた 日本人 男)
2番の市川 裕だけアリバイがあるようだ。 「泉。キミは、キミを疑う警察に真犯人を突きだしてやりたい。それが依頼だね。」 「その通り。警察は第一発見者の私を疑っているの。 取材に行くなら、なんで公演後に行かなかったんだって。 中木さんは、団長でありながら、危険な空中ブランコの担当だったの。 私はね、あんな危険な演目をやる人の、舞台前の緊張感を取材したかったのよ! それが、こんな事ってある?ばからしい。発見して通報しただけで、2日間まるまる 拘束されて・・」 そういうと、泉はなんともやりきれない表情を浮かべた。
「仕事はどうなったの?長期休暇をもらったのかい。フフフ」 含み笑いをしながら泉を見つめKは聞く。 「もぅ!ほとぼりが冷めるまで、しばらく旅行でも行って来なさいって編集長が・・」 「なるほど。仕事ができないなら、自分で事件を解決してスクープを作ろうって訳だ。見上げた記者根性だな。」 「一カ所だけ訂正があるわ。事件を解決するのはあなた。記事を書くのは私。 これはスクープじゃない。ドキュメントよ。」
「とりあえず、現場に行ってみるか・・」 そういうとKは寝ぼけまなこで事務所の扉に向かい歩き出した。
殺害現場の閉鎖は終了していたので、Kは現場に楽に入る事ができた。 テントの入り口は、正面に一つあるだけだった。
楽屋の場所は、テントの一番奥の部屋だった。 狭い部屋で、争った形跡もない。やはり顔見知りの犯行か? 被害者が倒れていた場所が、チョークで型取られている。 (頭がテントの布にぴったりついている。これは外からも見てみる必要がありそうだ。)
Kは外からこの楽屋を見てみようというとテントから外へ歩きだした。 Kは外に一度出てから、楽屋の前に行った。 楽屋の場所は、テントの一番奥にあり、入り口からかなりの距離がある。 人混みの無いテントでさえ歩いて、5分以上かかった。
(なるほど。楽屋だけ出っ張っているなぁ。) テントの周りを丹念に歩き回っていると キラッ。 一瞬何かが光った。 「ん?」 しゃがみこんで、光の正体を見てみる。 小さいガラスの破片が落ちていただけだった。 しゃがみこんだKは、ある事に気づいた。 (ん?なんだ?これは・・テントの布の下の方に、何かで擦ったような痕がある。) と、その時、誰かが走り去っていく音が聞こえた…。誰だ!?後ろ姿しか見えなかった。
Kの頭がフル回転し始めた。
(そうか!!被害者が、テントの布に頭をつけるようにして倒れていたのなら 何も室内で犯行に及ばなくても、外からでも殺せるじゃないか。 外で、中木がしゃがみ込んでテントの壁に頭を擦りつけるのを待つ。 そして、中木がしゃがみ込んで頭をつけたところを、外から なにか棒のようなもので、思い切り叩く。 ・ ・ いくらなんでも、この線は薄いかな・・ 途中まではいい推理だと思ったんだけど・・ だいだいなんで中木は、楽屋でしゃがみ込むんだ? いきなりしゃがみ込んで壁に頭を擦りつける奴なんかいるかよ。 大切な公演中だぞ!・・確か中木は、空中ブランコをやるはずだったんだよな。 それに・・もしも、中木がしゃがみ込んで、壁に頭を付けたとしたって、 このテントの布は、1センチ位の厚みがあるし、透けて中が見える様な素材じゃない。 外から被害者の中木を特定できるのか? 間違えて他の人を殺してしまったら・・そんな危険を冒すだろうか? それに、楽屋で中木がしゃがみ込んでテントに頭を擦り付けたことを 確認してから外に行ったところでかなり時間がかかるはずだ。 楽屋からここに来るまでに、人が居ない今でも5分くらいはかかった。 事件当日は、楽屋から入り口にかけての通路は、 帰宅する観客達で溢れかえる事だろう。へたすると、外にでるまでに 15分はかかる。中木はそんなに長い時間しゃがみこんでいるというのか?)
それからKは、2時間ほど現場を調査して、泉以外の容疑者の聞き込みに行くことにした。
事件1 探偵K登場 了
次回予告 事件2 聞き込みと視力
現場を調査したKは、犯人は楽屋の中ではなく、テントの外から 犯行に及んだという仮説をうち立てた。 しかし、厚さ1センチの牛革でできているテントの外から 被害者 中木を特定できる方法があるのだろうか? 懸命に聞き込みを行うK。 解決の糸口は、楽屋の外で見つけた、ほんのささいなモノであった。
ご期待下さい。 |
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くる天 |
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