二年目。 78　第七章　アイリスの怒り - 「アースルーリンドの騎士」

オリジナル小説「アースルーリンドの騎士」
「二年目」のミラーサイトに成っちゃいました。
昔はこっちが本家だったんですが………。

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二年目。 78　第七章　アイリスの怒り

[★二年目　連載]

2010年8月25日 2時55分の記事

エルベス以外、女だらけの幼少期のアイリス。

そして男だらけのギュンター。

だからアイリスは結婚が早く

ギュンターはローランデに走ったのだろうか…。

ギュンターに聞いたらきっと

ごついいかつい男の兄弟を連想し

キモチ悪い事を言うな！

と怒鳴ったろうけど…。

ローランデって確かに、男にしては綺麗たもんね…。

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「アイリスお兄様！」
「帰ってらしたの?!」
まだ幼い二人の妹、セフィリアとアリシャがその小さなお姫様よろしく、素晴らしく美男で自慢の兄に、可愛らしくまとわりつく。

セフィリアが気づくと、そっとささやく。
「エルベス叔父様はどうして、笑ってらっしゃるの？」
「アドルッツァ叔父様もよね？
そんなに楽しいお話？」

年下のアリシャが愛らしい顔でアドルッツァを、きらきらした青紫の瞳で、見つめた。

姉のセフィリアは叔父や兄そっくりの、焦げ茶の巻き毛と深い藍色の瞳をしていたが、妹のアリシャは少し明るい栗色の巻き毛で、可憐で華やかだった。

が、二人の叔父は顔を見合わせる。
「お姫様達にはまだ、聞かせられない話だ」
アドルッツァが言うと、アリシャは可愛らしく唇を、尖らせる。
「大人のお話？
子供だから、聞かせられない。って私達を赤ちゃん扱いなさるの？」

「あら…！
それなら私の管轄ね！」
明るい栗毛の華やかな美女が、茂みの中から顔を出す。

「…ニーシャ叔母様！」
エルベスの姉に当たるこの美女は、二人の小さなプリンセスの天敵だった。

「おチビさん達はあっちに、行ってらっしゃい。
お祖母様に買ってもらったばかりの、お人形がお似合いよ！」

セフィリアがきつい瞳で叔母に告げる。
「ニーシャ叔母様と、お兄様はあんまりお話されないよう、母様に言われてる筈だわ！
そうでしょう？お兄様！」
腕を絡ませ、その顔立ちの美しい小さなお姫様は兄の同意を、得ようとする。

が、ニーシャも負けてはいない。
「私の話は、アイリスのこれからにとても、重要なお話なのよ？」
アリシャも敵意を、剥き出しにする。
「嘘よ！
ニーシャ叔母様みたいにふしだらに成るから！

お兄様のきょういくじょうよろしく無い。って…お兄様はお父様のお屋敷にやられて、私達と別れ別れに、なっちゃったんだわ！」
「何も知らないおチビさん！
アイリスはシャリスの後継ぎだから、館の主として公爵家に移っただけよ！
私のせいの筈が、無いわ！」
「違うわ！
ニーシャ叔母様のせいよ!!」

二人のお姫様は大好きな兄が居なく成って、寂しくて涙を滲ませ、叔母を責めた。

「大嫌いよ！
お兄様に構わなくったって、いつだってたくさん、男の方が出入りしてらっしゃる癖に！」
「お兄様を私達から取り上げたりしたら、一生恨んでやるわ！」

エルベスもアドルッツァも…その、小さなプリンセス達と貫禄たっぷりの妖艶な女王の戦いに、お互い肩を、竦め合った。

つづく。

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この連載をまとめて読む。
『北領地[シェンダー・ラーデン]の恋人』
の後の
『二年目』のタイトルからお読み下さい。

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