９　綺麗な少年　６ - 「アースルーリンドの騎士」

オリジナル小説「アースルーリンドの騎士」
「二年目」のミラーサイトに成っちゃいました。
昔はこっちが本家だったんですが………。

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９　綺麗な少年　６

2010年9月26日 4時26分の記事

マレーの章は今回で終了です。

次回は、ディングレーが実の兄以上に兄と慕う、ローフィスの登場。
しかし、アスラン、マレーに語って貰うと、ディングレーってこんなに格好いいんですね…。
けどローフィスと居る時のディングレーは、皆さんが良く知ってるディングレーに戻ります。

ローフィスぢゃないけど、デカイ図体して迫力の塊だけど、可愛いヤツです。故に、ローフィスも突き放せないんだな(笑)

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ディングレーは気絶したアスランを抱え…宿舎に進む。
横に、ハウリィが俯いていた。
彼の肩がガタガタと、震えていた。

砂糖菓子。そんな甘ったるい感じのカワイ子ちゃん。
けど今彼は俯き…震えが止まらないみたいに…肩も手も、小刻みに震えていた。

前を歩くディングレーが振り向く。
「大丈夫か？」
ハウリィはそれでも…顔を上げ、青ざめた顔で、にっこり笑った。

ディングレーの男らしい眉が、切なげに寄った。
その顔に…胸が痛かった。
涙が心の中で、零れた。

胸いっぱいに溢れる程…涙が溢れ続けた。
なのに…マレーのその表情は固まったままだった。

ディングレーの視線がマレーに向いた時…マレーの、何の感情も表さない顔を見つめ…彼は深い吐息と共に、顔を俯けた。

どうしてだか…マレーはアスランを部屋に運ぶから。と頷き、自分達から背を向け去って行く、ディングレーの後を、追いかけそうに成った。

幾度も心の中に、ディングレーの深いため息と俯く顔が…ダブりそれを、繰り返し見続けた。

繰り返し繰り返し…何時迄も………。
俯く…そのディングレーの、男らしい顔が落胆に俯く顔を。

マレーは自室に戻りぼんやり窓辺に座り、考え続けた。
あの落胆と失望は…違う。
自分にしたんじゃない。

むしろ労り…自分をそうした、兄に対する落胆と失望だ。
それに気づいた時、扉が開いた。

マレーはその向こうに立つ、彼の運命を見つめた。

黒髪の、体格の良い男前の気品溢れる王族の上級生…。

出来損ないの兄なんかよりずっと…頼れて信頼出来る、マトモな神経を、持った男。

彼が様子を聞き、自分は空虚な声で
「大丈夫」
と告げた事をマレーはぼんやり、思い出す。

どうして彼を、引き留めなかったんだろう…？
どうして縋り付かなかった？

その時マレーは自分が…先の保証を確保するのに動く事すら出来ない程…緊張が解かれて疲れ果てている事に、気づく。

そっ…と、死んだ心を振り返る。
それはまだ、息をしていた。

心が死ぬ前に救い出せるのか…マレーには解らなかった。
その、機会があるのかすらも。

けれどあまりの疲労に彼は為す術無く…寝台に転がると、ディングレーの事を、思い浮かべた。

あの黒髪に包まれたら、どんな気分だろう？
裸の彼の胸に抱かれたら…。
そして、彼が挿入って来たら……。

不思議だか途端にざわつきまくる体も心も静まり…マレーはいつの間にか、ひどい疲労から深い眠りに付いた。

ディングレーの事を心に思い、浮かべながら………。

つづく。

チューリップピンク

今日も読んでくれてありがとうチューリップピンク

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『北領地[シェンダー・ラーデン]の恋人』
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１８禁ＢＬ

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