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くる天
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小沢氏裁判から見えてくるもの
[”民主主義はタダでは手に入らない!”政治・経済・デタラメディア]
2012年4月25日 20時1分の記事

明日小沢氏強制起訴に判断が下されるが、一連の裁判における問題点をいくつか挙げてみることにする。

まず起訴内容であるが、小沢氏側が主張するように単なる形式上の問題を検察側が独善的に拡大解釈した挙句の裁判である可能性は未だ払拭されないままだ。
書類の裏までコピーに利用するように部下に命じる小沢氏が、記載を知らないのはおかしいという主旨の主張を新聞でしていた自称専門家がいたが、そういう理屈が通るのであれば、節約を部下に命ずる会社のトップは全員自社の会計について詳らかでなければならないことになる。
そもそもそこまで資金について正確・詳細に把握できるのであれば、わざわざ秘書なんかを雇う必要はないのであって、そこまでは手が回らないからこそ秘書を雇っているのではないのか。
少なくとも、疑獄とまで呼ばれたロッキードとは明確に区別して考えなければされなければならないと私は考えるがこれをあたかも同一であるかのごとく捉える報道は強制捜査当初よりそこらへん中でなされていた。

次に起訴される側とする側の非対称性である。
強制起訴において被告側は、たとえ最終的に無罪となろうと強制起訴されることそれ自体よって蒙るイメージダウンは免れない。のみならず今回の小沢氏のように政治家が政治活動を制限されたとなれば、裁判に拘束される事により生じる時間的・精神的・社会的・経済的損失は計り知れない。
また、裁判においては、事件に関わる被告側の動向が再度白日のもとに晒され検証されるのに対し、起訴申し立てを行った側の素性その他は五里霧中のベールに包まれたままであり、起訴した側は裁判の行方如何にかかわらず、何の痛みも蒙らないようなシステムになっている。
これでは特定の個人あるいは団体が、彼らの敵対的勢力によって社会的な無力化を目的として強制起訴を恣意的に利用する可能性すら考えられる。
そういった可能性を排除するためにも、強制起訴によっても再度無罪となった場合には、強制起訴の妥当性が検証されるべきであり、少なくとも審査会のメンバーを明らかにし、今度は逆に彼らがそういった司法的事由とは別の、政治的意図等で強制起訴を計ったのではないかどうかの事実確認にまで遡及しなければ、現在の”一切お咎めなし”では、強制起訴のし放題ということになりかねない。
今回の強制起訴において、個人的には、佐藤雄平知事と同じく、政権交代の”立役者”として小沢氏を快く思わない反対勢力によって槍玉に挙げられ、その政治生命を抹殺せんがためにこの事件が利用されたとの印象が拭いきれなかった。
検察の中立公平性は、厚労省の事件のみならず本案件においても既に綻びを示しているが、前述したように仮に検察側が架空のストーリーをでっちあげて無辜の市民を断罪しようとしたとなれば、検察及び検察審査会は、司法に携わる者にあるまじきその暴挙に対して徹底的に糾弾されてしかるべきである。

最後にメディアの報道についてである。
先程述べた強制起訴の妥当性にも絡むが、起訴側やメディアは起訴の妥当性として、二言目には”国民感情国民感情”と言うが、国の中枢に位置し国政に深く関与する政治家にあっては、一般的な”国民感情”では量りきれない部分が存在するだろうと想像する事はむしろそれほど不合理で不自然な事だとは私には思えない。今回引き合いに出される金額の大きさが殊更誇張され、「如何にも金にまみれた政治の世界」という印象を受けがちだが、お金持ちは別に政治の世界に限らずいるわけで、それらのお金持ちの持っているお金が須らく”汚いお金”であるとは言えない以上、少なくとも扱う金の桁が何桁か違っているそれだけを以って国民感情から乖離していると捉えるには無理があるように私には思える。
百歩譲って政治家にもこれらの「一般的な国民感情」を100%適用できるとして、それらは国民感情という字面を見れば分かるようにあくまで感情という情緒的判断にすぎず、それが司法の専門的理性的判断を圧倒してしかるべきと考える根拠は何であるのか。国民感情を言うメディアその他はそれを説明する必要があるが、これをなしているメディアその他を私は今まで見たことがない。
他方、自称メディアは、強制捜査当初から、まず最初にクロありき。の姿勢には大きな疑問を感じざるを得なかった。
昨年6月26日の四国新聞2面では自称評論家後藤某によるコラムが掲載されていたが、氏はこのコラムのなかで、

「国民世論が小沢の味方につくわけがない」

と断じて憚らなかった。この後藤某のコラムについては非常に問題が多いのであらためて取り上げたいと思っているが、この記事に代表されるように、小沢氏に関する報道は軒並み予断を与える恣意的解釈の元に捻じ曲げられ、公平中立には程遠いものがほとんどだった。
小沢氏は一連の裁判において、自身に対する嫌疑や報道は、身の危険を感じるほどの悪意に満ちたものであったと憤懣やるかたない思いをぶつけていたが、これまで述べてきたように、嫌疑のみならず印象操作と言われても仕方がないような政界の最黒幕であるかの如き論調を浴びせられ、銃弾まで送りつけられるに至っては、どこぞの自称評論家のように小沢氏の言い分もあながち被害妄想的と一刀することは私にはできない。
むしろ小沢氏にまつわる一連の報道から見えてくるのは、偏向しきっているにもかかわらず、これを糺す術を悉く欠いているお粗末なこの国の議論や司法のあり方であり、それは小沢氏の事件そのものとは比較にならないほど暗く根深いもののように思えてならない。
これらの自称メディアは、小沢氏関連に限らず、予断を与えて憚りもしなかったこれまでの自らの報道について当然資質と責任を問われてしかるべき「加害者」であり、他方、言論の辺境に置かれながらも、福島第一事故前より日本の原子力において異を唱え続けていた小出氏が言うように、思考を停止させ感情的判断で以ってそれらに唯々諾々と同調・迎合し続けた大衆もその意味では「もう一方の加害者」とも言うべき同罪である。

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