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動植物の細胞外構造
 
2015年6月7日 20時19分の記事


『細胞の世界』2O05
ベッカー / クレインスミス / バーディン 著
村松正實 / 木南凌 監訳


「細胞外マトリックスと細胞壁は細胞にとっては外界である」

細胞膜を通じて細胞が外に出した物質によって形成される細胞外構造の影響によっても ほとんどの細胞はその特徴が変わってくる

動物細胞にとって そのような構造は 細胞外マトリックス-extracelluar matrix(ECM)とよばれ

主にコラーゲン線維とプロテオグリカンからなる

植物細胞にとっては細胞外構造というのは硬い細胞壁-cell wallであり

これは主にセルロースミクロフィブリル-cellulose microfibril が他の多糖類と少量のタンパク質を含む基質に埋め込まれた構造をしている

動物細胞と植物細胞のその違いは 真核細胞の大きな2つの範疇の生活様式の違いに対応している



植物は基本的には運動しない

これは細胞壁が生物にあたえた硬直性と矛盾しない生活様式である



動物はふつう 運動能力がある

食物を探すのに必要であるのみならず 他の生物の食物になることから逃れるためにも必須の形質であるから

細胞は硬い細胞壁に包み込まれないで 弾力性のあるコラーゲン線維の網状構造に囲まれている



動物細胞の細胞外マトリックスの構造は細胞の種類によって種々様々

ECMの第1の機能は支持機能だが 種々の細胞外物質のうちのどれが どのように蓄積しているかによって

細胞の運動性と移動 細胞分裂 細胞の認識と接着 胚発生のときの分化などの多様なプロセスが調節されている可能性もある

動物の細胞外構造の主な成分はコラーゲン線維とそれを取り巻くプロテオグリカンの網状構造であり

コラーゲンは一般に不溶性の糖タンパク質の集まりで 大量のグリシンと 水酸化型のリシン およびプロリンを含む

脊椎動物ではコラーゲンは腱 軟骨 骨に非常に豊富に存在するので動物体内で一番多いタンパク質である



(植物細胞の細胞壁の2つのタイプ)

細胞分裂のとき壊される細胞壁は一次細胞壁 primary cell wall とよばれ,主にゲル様の多糖類の基質の中に埋め込まれたセルロースフィブリルからなる。一次細胞壁は柔軟性も伸展性もあるので,細胞が大きくなったり,伸びたりするのに応じて幾分かは伸展できる。細胞が最終的な大きさと形になると,一次細胞壁の内面に細胞壁をつくる物質がさらに蓄積して,一次よりもはるかに厚く,もっと硬い二次細胞壁 secondary cell wall の形成が可能となる。二次細胞壁は通常一次よりも多くのセルロースを含み,木材の主な成分であるリグニン lignin を高濃度に含むことがある。二次細胞壁が沈着すると細胞はほとんど伸展性がなくなるので,細胞の大きさと形が最終的にきまることになる。


隣同士の植物細胞は細胞壁で隔てられているが,実際は多くの原形質連絡 plasmodesma(複数形は plasmodesmata)とよばれる細胞壁を貫通する細胞質間の橋によって結ばれている。細胞間を結ぶチャンネルの内面は細胞膜で裏打ちされているので,隣接する細胞同士の細胞膜は連続しているといえる。典型的な原形質連絡の直径は水や低分子の溶質を細胞の内外に自由に通すのに十分な大きさがある。植物細胞のほとんどはこのように相互に結ばれている。



動物細胞もまた相互に通信することができる。しかし動物細胞にあるのは,原形質連絡ではなく,隣接細胞の細胞質の間で物質の輸送を専門とするギャップ結合 gap junction とよばれる細胞間結合である。他に2種類の細胞間結合があるが,これらも動物細胞に特有である。密着結合 tight junction は隣接する細胞をがっちり保持するので,細胞と細胞の間隙を通っての物質の移動は事実上阻止される。固定結合 adhesive junction も隣接する細胞を結びつけるが,その目的は結合によって頑丈かつ柔軟性のある細胞のシートをつくることにある。



ほとんどの原核生物も細胞壁とよばれる細胞外構造に取り囲まれている。しかし,細菌の細胞壁はセルロースではなく主にペプチドグリカン peptidoglycan からなる。ペプチドグリカンは,アミノ糖であるN-アセチルグルコサミン N-acetylglucosamine(GlcNAc)と N-アセチルムラミン酸 N-acetylmuramic acid(MurNAc)を含む繰り返し単位からなる。さらに,細菌の細胞壁はほかにも多様な成分を含むが,そのなかには細菌を構造によって分類したとき,それぞれの種類に特有なものがある。そのような特徴の有無はGram染色 Gram stain に対する反応によって明らかとなる。Gram染色は,これを考案したデンマーク人の細菌学者 Hans Christian Gram にちなんで名づけられた。細菌の菌体をクリスタルバイオレットとヨウ素の溶液で染色した後,アルコールまたはアセトンで脱色すると,Gram陽性の細菌は脱色されないで,濃青色のままであるが,Gram陰性の細菌は迅速に脱色される。

Gram陰性の細菌の細胞壁に特有の成分としてはリポ多糖類 lipopolysaccharide やリポタンパク質 lipoproteinなどがある。Gram陽性細菌のみにみられる化合物にはテイコ酸 teichoic acid がある。これは炭素数が3つもしくは5つのアルコール(それぞれグリセロールとリビトール)がリン酸基によって結合したポリマーが骨格となる構造をしている。





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