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「恒常性維持・防御」(という目的)
2015年12月27日 14時46分の記事
『リンパの科学 第二の体液循環系のふしぎ』2013 加藤征治
「がんはリンパがお好き?」
より
がんがリンパ節に転移する場合にも、血管と同様、がん自身が組織周辺にリンパ管の新生を促進させて、好んでリンパ管に入っていくのでしょうか?
もしそうだととすれば がん細胞とリンパ管内皮細胞との間で
特異的な相互作用が行われている可能性がある
がんがリンパを好むのであれば、がん細胞のほうからリンパ管に対して、何らかの働きかけをしているのでしょうか?たとえば、がん細胞自身かあるいは他の細胞からリンパ管内皮細胞の増殖を誘引するリンパ管内皮細胞の増殖因子を誘引する「リンパ管増殖因子」(VEGF-C、VEGF-D)を産生させて、リンパ管に作用するのでしょうか?
P213
リンパ節転移を起こしやすい乳がんや前立腺がんでは がん細胞がVEGF-CやVEGF-Dを産生することが臨床的に知られていて
転移性の高い悪性黒色腫(メラノーマ)-皮膚などの色素細胞(メラノサイト)に由来-では 転移性の低いものに比べ腫瘍周囲にリンパ管が多く分布していることも知られている
P214『リンパの科学 第二の体液循環系のふしぎ』
・・・・・・・・・・・・・・・
「リンパ管増殖因子」
と入れますと 出てまいりますのは…
血管内皮細胞増殖因子
けっかんないひさいぼうぞうしょくいんし
-Wikipedia
「脈管形成(胚形成期に、血管がないところに新たに血管がつくられること)および血管新生(既存の血管から分枝伸長して血管を形成すること)に関与する一群の糖タンパク」だそうで
英語の vascular endothelial growth factor から VEGF(ブイイージーエフ)と呼ばれることが多い。
血管内皮細胞成長因子、血管内皮増殖因子、血管内皮成長因子などと呼ばれることもある。
VEGFは主に血管内皮細胞表面にある血管内皮細胞増殖因子受容体 (VEGFR) にリガンドとして結合し、細胞分裂や遊走、分化を刺激したり、微小血管の血管透過性を亢進させたりする働きをもつが、その他単球・マクロファージの活性化にも関与する。
正常な体の血管新生に関わる他、腫瘍の血管形成や転移など、悪性化の過程にも関与している。
1983年マウス腹水から血管透過性を亢進させる物質として発見され、1989年ウシ濾胞星状細胞の培養液から45 kDa(キロダルトン)の糖タンパクとしてVEGF-Aが単離、クローニングされた。
-Wikipedia
・・・・・・・・・・・・・・・
『リンパの科学 第二の体液循環系のふしぎ』
「がんはリンパ節にどう転移するのか?」
より
がん細胞がリンパ節に転移するには、まず組織にあるがん細胞のが周囲のリンパ管に侵入することがキーステップとなります。そのしくみはまだ十分に解明されていませんが、がん細胞が偶発的に既存のリンパ管に侵入するというよりは、リンパ管を好んで、能動的に移動して侵入するのではないかと考えられています。
ある特性をもつがん細胞と、そのがん細胞の転移を受けるべく特異な微小環境を保持した臓器・組織の両者の協調作用によって、がんの転移が成立するという考え方があります。19世紀のイギリスの外科医パゲット博士が乳がんが骨に転移しやすいことを報告し、「播種理論」を提唱しました。播種とは、転移によるがん細胞の分散を種播にたとえたものです。
転移先の組織とがん細胞とを取もつのがリンパ管であり その結果転移が起こるのであれば リンパ管を増殖させるような化学物質の放出などの可能性が考えられ
あるいは 増殖因子となる化学物質の放出はなくても がん組織がリンパ管増殖に適した環境を提供する可能性もある
P215
近年、リンパ管内皮細胞の分化・新生と関連して、細胞内カルシウムイオン(Ca2+)濃度の変化など、生理的機能を知るための研究方法としてリンパ管内皮細胞培養法が開発され、リンパ管内皮細胞が低酸素濃度の培養条件で増殖・新生することが明らかになりました。
がんの組織環境も血管に乏しく、低酸素状態にありますので、リンパ管増殖には好都合といえます。
P215、6
マウスのがん転移の実験モデルやヒト乳がんの症例などの最近の研究では…がんのリンパ節転移の過程で がん組織の周辺の組織内(リンパ節外)でリンパ管の新生が促進されること以外に…
リンパ節内のリンパ管の新生が誘導されることが観察されていて
がん細胞のリンパ節内における捕捉を低下させ
リンパ流に乗ってがん細胞が容易にリンパ節を通過し
輸出リンパ管から他の組織へ輸送されることが示唆される
P216
「リンパはがんがお好き?」
より P217〜
リンパ節転移を示すヒト悪性黒色腫では、リンパ管内皮細胞が産生するサイトカイン(細胞産生因子)の一種であるケモカイン(化学物質因子)CCR21に対する受容体であるCCR7が発現します。その結果、がん細胞は内皮細胞上のCCR21に対して遊走して集まっていくことが報告されています。このような現象を「ケモタキシス」とよびます。食道がんや頭頸部腫瘍のリンパ節転移も、同様のメカニズムと考えられています。
また、リンパ管からのがん細胞に対する積極的な働きかけはないにしても、リンパ管系そのものが、がん細胞にとって都合のいいようにできている可能性も考えられます。リンパ管系はもともと、体内の余分な水分や老廃物、侵入してきた異物の回収によって生態の恒常性維持・防御を目的として発達したものですので、異物としてのがん細胞を受け入れやすい状況にあることが推測されるからです。
P217
「腹腔や胸腔におけるがん転移」
より
腹腔内に特有ながんの転移形式が「播種」
がんの原発巣から腹腔内に遊離したがん細胞が腹腔面に着床した後 増殖してリンパ管に入り 転移
腹腔にある腸間膜で構成されている大網に
「乳斑」とよばれるリンパ組織があり
大網乳斑にはリンパ管が分布し
腹腔内の異物や出血による赤血球などが吸収される
腹膜は発生上、中胚葉由来の中皮細胞層に覆われていますが、乳斑部は中皮細胞が完全には覆っていないため、抵抗性が弱いところでは腹腔内の物質や細胞が通過しやすくなっています。
そのような箇所では、腹水中で塊をなしているがん細胞なども浸潤しやすいのです。
さらに 腹腔のがん細胞が他の場所に転移する経路として
横隔膜の中皮直下にあるリンパ管が考えられる
また、
腹膜からがん細胞がまるで種を播くようによく飛散(播種性転移)する部位の一つとして、女性の直腸と子宮のくぼみ(直腸子宮窩、別名ダグラス窩)にある腹膜が重要な領域として挙げられます。直腸子宮窩は、仰向けに横たわった状態では腹腔のいちばん低い位置にあるため、重力と関連して腹水が溜まりやすく、がん細胞の播種が生じやすい
のです。
肺の表面と胸膜の内面は 呼吸のために膨らんだり収縮したりする肺を包みこんでいるため 薄い漿膜(胸膜)で覆われている
胸膜は直接肺の表面を覆う肺胸膜と
胸壁内面を覆う壁側胸膜の二重の膜で構成されている
壁側胸膜にはよく発達したリンパ管網が分布しており
肺における組織液の調整に働いている
リンパ管網の発達は同時に
肺がんの進展過程における胸膜播種や
胸水の貯留とも深く関連している
〜P219
「転移するがんの“見張り役”」
より
がんがリンパに乗って広がることは 18世紀から認識されていた
19世紀後半になって、ウィルヒョウによって臓器のリンパ流域に属するいわゆる所属リンパ節の、免疫防御器官としての重要性が提唱されました。20世紀に入り、微小ながんの塊がリンパ流に乗って転移する際、最初に転移するリンパ節、あるいはもっとも転移しやすいリンパ節が存在することが指摘されました。
そのようなリンパ節を「センチネルリンパ節」(SN)とよび
がんの局所転移として注目されてきている
センチネルには「歩哨」「見張る」という意味がある
(がんの最初の微小転移を見張っている)
がんのリンパ行性転移は、がん組織周辺におけるリンパ管網の構築とリンパの流れに関係するもので、たとえば胃がんでは、肺や肝臓、脳などに転移したものを遠隔転移といい、これによってがんの進行度を判定しています。
P219〜221
『リンパの科学 第二の体液循環系のふしぎ』
※
太字
は記入者によるもの
・・・・・・・・・・・・・・・
太字のあたりの
一つには 「重力」云々 ということがありますか
そして 個人的な… 今朝方の あるいは 長期的な
「痛」に繋がるキイワードでもある
「直腸子宮窩 別名ダグラス窩」
個人的には 数字では表されませんでしたが
其処での癒着による 激痛の長年の持続 と説明されました
そのあたりを
Wikipedia
より
「腹膜や卵巣の病巣の深度や大きさ、癒着の程度、ダグラス窩の閉鎖をスコア化し、合計点数によってStage I〜IVの4段階に分類する」
子宮内膜症
Endometriosis
子宮内膜やそれに類似した組織が
子宮内腔や子宮体部以外の骨盤内で増殖する疾患
「転移や浸潤するなど悪性腫瘍のような性質も併せ持っている」
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