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「3・11」その前日は東京大空襲の記念日、日露戦争奉天会戦「陸軍記念日」だった(特別版無料公開)
[瘋癲老人のレイジーな日々 ]
2011年4月15日 12時14分の記事

瘋癲老人のレイジーな日々25
「3・11」その前日は東京大空襲の記念日、日露戦争奉天会戦「陸軍記念日」だった(特別版無料公開
新藤厚


・・・みちのくは平安の昔、坂上田村麻呂の蝦夷征伐以来、いくさに勝ったことのない土地である。古い記録では貞観地震津波以来、三陸は数十年に一度の大津波に幾度となく襲われ大きな被害を出してきた。統計的には「予想どおり」の災害である・・・
・・・石原莞爾の満洲建国の夢も、二・二六事件の青年将校の憂国もその端は飢饉による東北の疲弊にあったのではなかったか。そういえば地震で東京の最初の死者はあの「戒厳令司令部」(九段会館)で出た。深沢七郎は『東北の神武たち』でその風土を神話的民話として書いている・・・
・・・実はその「裏金」を払ったのは東北電力ではなかった。そこには三重県の聞いたことのない建設会社の名前があった。調べてみると「あの会社は業界の痰壺。ウラでは汚れ仕事専門」という評判の地方サブコンだった。その会社の名前は「水谷建設」・・・
・・・かって中上健治は「原爆作家」の林京子を「原爆ファシスト」と呼んで世の糾弾を受けた。反核は理屈抜きに「正義」だったのだ。原発推進派と反対派の間には正と邪の不毛な二元論ばかりが半世紀もつづいた。原発は電気を作る科学技術のプラントである。安全性の検証はあってもイデオロギーとは無縁なはずである・・・


閑人舎通信でおなじみの、新藤厚さんの連載開始。新藤厚さんといえば、当方ボスの大先輩記者にあたります。経歴を書こうとしましたが、とても恐れ多くて書くことができません。

これまでの連載:

瘋癲老人のレイジーな日々14「松崎ってホントに恐い男なんだよ。俺は松崎が人を殺したことも知っているんだ」とJR東労組の委員長はいった。
瘋癲老人のレイジーな日々15 中川秀直は「とにかくご勘弁を」と懇願。その四年後に「愛人スキャンダル」が「フォーカス」に掲載された。
瘋癲老人のレイジーな日々16 もう少し、阿部勉さんの交友関係の想い出にひたる
瘋癲老人のレイジーな日々17 北野武とその軍団による「フライデー」編集部を襲撃事件について書く
瘋癲老人のレイジーな日々18 会津小鉄会の名門・荒虎千本組の組長だった三神忠さんについて書く
瘋癲老人のレイジーな日々19 「死にたい」と書くと希死念慮の呪縛から開放される
瘋癲老人のレイジーな日々20 つまり怠惰な正月がいつ果てるともなく続いていたのである。
瘋癲老人のレイジーな日々21 永久リハビリ期間にはいった日本の国是は「もういちどアメリカと戦って今度は勝つ」なのか
瘋癲老人のレイジーな日々22 前回につづき気の向くままに「三浦事件」の時代を遊弋する
瘋癲老人のレイジーな日々23 三浦和義は「阿部先生、大型拳銃を入手できませんか」と依頼した。
瘋癲老人のレイジーな日々24 記憶に残る大鵬、柏戸の全勝対決での「人情相撲」は語りぐさである。

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瘋癲老人のレイジーな日々25
「3・11」その前日は東京大空襲の記念日、日露戦争奉天会戦「陸軍記念日」だった(特別版無料公開
新藤厚



 退屈な、しかし果てしなくつづくものと疑いもしなかった昨日までの「日常」が圧倒的な自然災害によって暴力的に断ち切られた。
 バブル以降「失われた二〇年」のだらだらとした、それでも強固だった日常という連続性が一瞬にして「非日常」に一変した。昨日までの時間は目の前でぷっつりと消えた。
 テレビ画面に映し出されるパニック映画のような「現実」に失語した。文字どおり言葉を失ったのだ。唖然、興奮、放心、失意、怒り、不安、恐怖という生の感情に言の葉が届かない。ただ得体の知れない無力感と喪失感だけが重い空気のように身をつつんでいる。

 いまはたれしも「傍観者」でいることはできない。

「3・11」からひと月を過ぎて、ようやく漠とした「天然の無常」を見つめる老爺が、ぽつねんといる。
 いまはただ頭を垂れて膝を屈し沈痛のまなざしで、この不条理に向き合うしかあるまい。
 書くことに意味はない。
 まして「有事」のいまは与太記事を書く場合でもない。
 それでも生者の傲慢は今日も日々の飯を喰らい「震災後」という新しい時代の時間に流されて生存をつづける。このちっぽけな暮らしは少し質を変えてつづいている。
 不謹慎の誹りを甘受してもう少し連載をつづける。

「3・11」は敗戦の申し子である団塊世代の愚老には遅れて来た「八月十五日」の宿命的な追体験のように思われてならなかった。
 その前日、三月十日は東京大空襲の記念日だった。
 日露戦争奉天会戦、戦勝の日「陸軍記念日」である。
 その日の未明から帝都の下町はB29の焼夷弾で焼きつくされた。

 「川向う」の葛飾にはほとんど爆弾は落ちなかったから、少年の頃「夕焼けのように真っ赤に照り映える夜空がきれいだった」という大人の話をよく聞いた。その程度には「敗戦」が身近な世代である。
 地震と津波で何もかも壊され流された荒涼とした風景を、みちのく太平洋岸の「焦土」に見た。肉親の命と住居、職場、生活のすべてを失った罹災者たちの呆然とした姿を見た。そこにあった町さえも跡形もなく消え失せたのだ。
 その地は再び多くの「いのち」を奪い去った。
 みちのくは平安の昔、坂上田村麻呂の蝦夷征伐以来、いくさに勝ったことのない土地である。
 古い記録では貞観地震津波以来、三陸は数十年に一度の大津波に幾度となく襲われ大きな被害を出してきた。今回は明治三陸、昭和三陸と百十五年の間に三度目の大津波である。これを「想定外」とはいわない。
 統計的には「予想どおり」の災害である。
 それでも人は昔から大自然の前には無力な存在であることに変わりはなかった。
 
 みちのくには夏場にオホーツクからの北風、山背が吹く。
 その寒風は冷害の「飢饉」をもたらす。

 一方で「日照リノ夏」(宮沢賢治)は旱魃で田畑は実らない。

 冬の寒さも厳しい。
 東北は近代までどの地方よりも「餓死」と背中合わせの過酷な風土だった。
 
 つい六、七〇年前までみちのくでは間引きも、娘の身売りもあった。
 石原莞爾の満洲建国の夢も、二・二六事件の青年将校の憂国もその端は飢饉による東北の疲弊にあったのではなかったか。
 そういえば地震で東京の最初の死者はあの「戒厳令司令部」(九段会館)で出た。

 深沢七郎は『東北の神武たち』でその風土を土着のアニミズムで神話的に描いている。
 だから宮沢賢治は「雨ニモマケズ」と唱えるしかなかったのだ。
 農村改善社の会運動だけでは救われない。
 賢治が村の「宗教者」にならざるを得なかったのはその自然の過酷さにある。
 みちのくの人間ほど自然を畏怖し、自然に忍従する「耐える民」はいない。
 いま少しくこころ安らぐのは被災地にボランティアという名の多くの「宮沢賢治」をみるからである。
 そこには寺田寅彦が『日本人の自然観』で書いた「天然の無常」という身に染みついた生きる「かなしみ」が連綿としてある。

 戦後は集団就職と冬場の出稼ぎで、首都の経済成長を支える名もなき「地上の星」(中島みゆき)となった人々は東北からやって来たのだ。
 だから老耄剥き出しの首都の知事の「天罰」発言はいくら撤回してみせても許せないのである。この傘寿にならんとする耄碌老人の世迷言には黙っていられないのである。
 一つ覚えの、
「物欲、金銭欲、性欲だけの日本人」
 に対する「天罰」だと思うなら、きっと首都直下型大震災が近い将来来ることになるのだろう。
 その前に放射能の「死の灰」が降るかもしれない。
 都民の不幸はこんな「裸の王様」を首長に戴くことだ。

 今回の選挙で致命的だったのは対立候補が全員ホーマツという悲喜劇にある。
 ついでに言えば三〇年ほどの雑誌記者生活で、その「傲岸不遜」に殴りかかりたくなったのは青嵐会時代の石原とJC会長だった麻生太郎だけである。

 その昔、愚老は上野駅から一日に一本出る東北本線経由磐越西線の会津若松行き急行「ばんだい」でふるさと会津に行った。中通りから会津に入る中山峠はスイッチバックで登った。もちろん蒸気機関車である。帰路の東北本線は荒川を超えて東京に入ると便所が使用禁止になった。列車の便所は穴から線路が見えるたれ流しだったからである。
 上野駅の天井が低く異臭の漂う地下道にはまだ傷痍軍人やホームレスの姿が少なくなかった。
 そこで賀川豊彦らキリスト者による救済、布教活動を目にしたこともある。何度もノーベル平和賞の候補に挙がったこの社会主義者は熱烈な天皇主義者でもあった。いま賀川の名前はすっかり忘れられている。「戦後昭和」は遠い時代になったのだ。

 妄想じみた「敗戦体験」に戻る。
 総理官邸の枝野官房長官の会見はまさに「大本営発表」そのものである。
 とくに福島第一原発の重大事故に関しては情報をひた隠しにしている。
 新聞、テレビのマスコミ、既存メディアはそれを垂れ流すこと戦時中と変わらない。
 起用する「専門家」はすべて原発推進派の補助金漬けの「御用学者」ばかりである。
 いわゆる「原子力村」の住民ばかりだ。
 
 被災地の映像には遺体がきれいにネグレクトされていた。当初は避難民と行政ばかりで災害出動で十万の「出兵」をした、瓦礫の海に不明者を捜索する自衛隊員の姿を意図して報道しなかった。現地の「兵隊さんありがとう」の声はあえて消された。日陰の「暴力装置」自衛隊の報道をみてこの国の戦後根強い左翼思想、九条の呪縛を知るのである。
 今回は大本営発表に対峙する情報メディアとしてのインターネット、とくにツイッター、フェイスブックなどのソーシャルメディアが時と場を得て活躍したらしい。
 被災地ではネットリテラシーがまさに生死を分けたケースが多々あったという。
 だが高齢化と過疎の村にどれだけリテラシーを持った人がいたのか。
 老人の多くはネット難民であることは間違いない。
 
 いまはまさに戦後最大の「有事」である。
 黒船、大東亜につぐ「第三の敗戦」という「国難」である。
 非常時の「大連立」は「大政翼賛会」の再現に似る。
 国を挙げて国難に対処することは当然である。それにしてもほとんどメッセージの「発信力」をもたない宰相の虚ろな目は死んだ魚のごとく見える。
 リーダー不在の不幸である。
 そもそも震災がなければ「外国人献金問題」でその椅子に座りつづけることはできなかったはずだ。
 後述するが自民党の「原発推進政策」を加速させ「原発立国」を謳いベトナムでのプラント輸出でトップセールスを誇ったのは昨日のことである。そしていま菅は原発事故で国際的な恥辱にまみれている。 
 近いうちに首相チェンジングの動きは顕在化し、本人が「絶対に辞めない」と言いつのるほど世論は反発するだろう。

 またぞろ小泉、小沢待望論を聞くが、恐らくときの「近衛文麿」に代わるのは、官僚を使える「仙谷由人」になるだろう。

 そのタイミングは福島第一クライシスに何らかの変化があったときに実現するのだろう。
「復興相」には石破茂。第一次補正予算で実質的に4Kマニフェストを見直した以上、谷垣自民党の党利党略は許されない。
 震災五日目に出された被災者、国民に向けた天皇陛下の「お言葉」で国民の「震災躁」めいた動揺が落ち着きを取り戻したのは事実だと思う。
 平成の御世に日常では忘れられていた「国体」をみた思いがする。
 輪番停電で灯りの消えた街は「灯火管制」の暗闇と重なる。首都圏を襲った電力不足では「節電」が叫ばれ世間には「自粛」「謹慎」の空気が漂う。
 テレビでは「修身」のごときAC広告が氾濫した。
 まさに「欲しがりません勝つまでは」のプロパガンダを思い出す。
 
 テレビでドキリとさせられる緊急地震速報は「空襲警報」だろう。
 仙台には「闇市」が立ったというし、この片田舎でも煙草が販売規制の「配給制」の有様だ。宮城・多賀城のフィルター工場が罹災したせいだという。
 被災者の避難所暮らし、福島第一二〇キロ圏の避難住民の転々とする避難所生活は「集団疎開」そのものである。
  しかしこの「敗戦」には連合国も占領軍もいない。
 日本人は敵を殺すことなく、ただ殺されたのである。戦争は最大の人災である。いまもつづく福島第一の原発事故が敗戦体験を呼び覚ますのは、あの水素爆発した原子炉建屋の鉄骨が曲がりくねった無残な姿に容易に広島の原爆ドームを連想するからである。

 ついでにいえば震災直後の悪質な「チェーンメール」というデマゴギーは関東大震災のときの「流言飛語」を思い出す。それは「朝鮮人狩り」「亀戸事件」そして大杉栄、伊藤野枝、橘少年の虐殺事件へとつながった。
 
 少し駄弁を弄す。
 その震災で虐殺された大杉栄の盟友であった堺利彦と「売文社」の闘いを描いた黒岩比佐子の『パンとペン』は秀作である。

 あの社会主義者にとっての「冬の時代」を生き抜いた堺のしたたかな強靭さはイデオロギーではなくユーモアにあった。大人のたしなみともいえる。宮武外骨や南方熊楠、あえていえば高橋是清、斎藤隆夫、桐生悠々という明治人がもつ低音の反骨心。挫けない柔らかなこころ。そういう人たちのいる社会は勁いと思う。
 この早春の大震災とあの夏の大きな違いは、その後に漂う色濃い「厭世観」だと思う。いま怖いのはたれでも容易く感染するアナキーかも知れない。それは簡単に荒廃にもつながる。
 昭和二〇年の焼け野原ではほとんどの国民のたれもが貧乏だった。貧しさは平等だったから人々は活気と明るさを取り戻せた。だから「戦後昭和」は明るかったのだ。
 
 いま日本は被災者、電力不足と放射能汚染にストレスフルになる首都圏の市民、誘発地震の恐怖に怯える首都直下型、東海、東南海、南海の住民、さしあたって安全な土地の国民、と物理も心理もはっきり棲み分けされている。
「金持ちだけが生き残れる」
 けして口にはされない暗黙の空気がある。
 明らかにこの時代の「格差」が被害を増長させつつあるのである。

 被災地では復興に十年はかかるだろう。
 原発はもっと長い時間がかかる。
 明らかに一世代では復興の不可能な人々も少なくない。
 まだ東北には地域共同体が残っていたが、それでも高齢化社会には残された時間は少ない。だからこの大震災には大いなる不条理をみるのである。

 少し長くなるが「原発」に関して記しておく。
 愚老は昔から「原発黙認派」できた。
 団塊世代にははじめて観た映画が『第五福竜丸』という人間が少なくない。
 小学校で全員で観に行ったからだ。
 日教組の教諭に戦後民主主義と「核アレルギー」の教育も受けた世代である。
 そして長じて「反核」の欺瞞を知る。
 原水禁、原水協の分裂以降、この国の「反核運動」はイデオロギーという「正義信仰」で堕落した。
 少年はそこに生理的な嫌悪感を感じた。

 かって中上健治は「原爆作家」の林京子を「原爆ファシスト」と呼んで世の糾弾を受けた。反核は「異論」を許さない理屈抜きに「正義」だったのだ。
 原発推進派と反対派の間には正と邪の不毛な二元論ばかりが半世紀もつづいた。
 原発は電気を作る科学技術のプラントである。
 安全性の検証はあっても本来イデオロギーとは無縁なはずである。
 そんな常識が通用しなかったのは唯一の被爆国といういびつな「被害者心理」にもあった。
 国は原発推進を国策として決定し建設地の行政や東大原子力工学科の「御用学者」を補助金というアメで取り込み「絶対安全神話」を形成していく。いまテレビにでてくる「専門家」はすべて御用学者である。議論の成り立たない不毛な蛸壺が「原子力村」という虚妄である。

 もう四〇年ほど前になるが昭和四〇年代の後半、青森六ヶ所村でむつ小川原開発が始まった頃、取材に行ってたまげた。いまは使用済み核燃料再処理工場などが集結するいわゆる「核のゴミ捨て場」(不思議なことにいつまでたっても本稼働しない)だが、当初からその計画だったのだろうか、記憶は霞んでいる。
 何もない風の強い荒涼とした土地だった。そこに用地買収と漁業補償の国のカネが天から降ってきた。そこで見たのはいくつかのプレハブ造りの「キャバレー」で一万円札をホステスにバラ巻く「補償成金」のグロテスクな狂瀾だった。万札で洟をかんでポイと捨てたオヤジもいた。海を棄てた漁民の正視に耐えない醜態を見た。人心などあっという間に荒廃することを知った。バブルの二〇年も前の話だ。
 四、五年前に六ヶ所村を通ったときいくつものゴテゴテと飾り立てたキンピカ「核御殿」を見たが、その醜悪さは変わらない。何を得て何を失ったのか。
 原発に常につきまとう疑問の原体験となった。

 以前に何度も書いているが愚老の「兄貴」だった阿部勉さんは福島で地元の経済誌(いわゆる取り屋雑誌)の編集をしていたことがある。

 その縁で福島には「政治結社・閑人舎」の支部もあった。
 
 あれは二〇年近く前の話だ。
 当時、いまは全町避難の浪江町と小高町(現南相馬市)に東北電力の原発ができるという話があった。浪江町は議会で誘致建設を決定したが用地買収はなかなか進まなかったのだと思う。東北電力はその頃、新潟の巻町での用地買収まで済んでいた原発計画を住民投票で否決されるという大失態を演じていた。その理由は最後までゴネた地権者の土地を他の土地の何十倍もの価格で買い上げたことが発覚して住民の反発を呼んだのだった。

 浪江にも同じ事情があった。反原発の運動家だったМという人の土地がどうしても取得できなかった。Мの息子は東北電力の社員だった。その土地がある日、内密に地上げされるのである。小さな土地だったが巻町のケースと同じようにその買い上げ価格は他の地権者のたしか百倍ぐらいではなかったか。その「証拠」の小切手か送金書だったか「何千万円」のコピーがあった。これは「フライデー」で取材した。そのとき浪江町の幹部(町長だったか町議会議長だったか失念している)が言ったことは憶えている。
「どうせすぐ近くに東電の原発があるのだから事故が起きればうちも被害を蒙るのです。それならば雇用や補助金を選択した方が得でしょう」

 まさかそれが事実になるとは夢にだも思わなかったろう。
 この「浪江・小高原発」は九年後の運転開始を目指しているとネットで見た。もちろん中止されるのは間違いない。いや今後百年、福島に新規の原発が建設されないことは誰でも断言できる。
 実はその「裏金」を払ったのは東北電力ではなかった。そこには三重県の聞いたことのない建設会社の名前があった。調べてみると「あの会社は業界の痰壺。ウラでは汚れ仕事専門」という評判の地方ゼネコンだった。その会社の名前は「水谷建設」である。

 もう取材記者を引退して十年以上経つからいまさら余計な詮索はしない。
 ただ「小沢疑惑」が原発にまで繋がれば恐らくこの梟雄も一巻の終わりとなるのではないか、とは妄想する。
 
 面白かったのは原発がらみで水谷建設から出たカネは他にもあった。受取人が多摩の女性だった。これも調べてみると、その内縁の夫は暴力団員だったのだ。原発建設までにはいろいろあるのである。そこまで取材して東北電力に電話取材をかけた。これも記憶はあやふやだが、たしか翌日に広報か総務の人間が仙台から慌てて上京してきた。
「浪江は二〇年も前から計画してきたんです。いま記事が出たら巻と同じことになります」 と、泣きつかれた。
 実はその案件がどうなったか記憶にない。
 カネを貰った記憶もないから多分、福島の方でハナシがついたのだろう。
 
 その取材を通じて地元の「原発労働者」の実態を知った。
 今から考えるとその原発は福島第一だったのだろう。
 原発労働者の労働差別は悲惨だった。
 地元で「東電」はエリート職場だったが「ゲンパツ」は現場の被差別労働者の蔑称だった。そこでは被曝線量による「使い捨て」の悲惨な労働実態があった。
 それを知って愚老は「黙認派」から「懐疑派」に鞍替えした。
 世間にその実態が明らかになったのが東海村の臨界事故だった。
 
 「公式」には久保山愛吉以来の「被曝死亡者」となったがそれはウソである。
 それでも労働環境の改善がなされなかったのは今回の事故で暴露されたとおりだ。
 いまの科学技術では現場での被曝は避けられないのである。
 だから使い捨て労働者は社会の底辺、山谷などから調達される、と当時も聞いた。

 最後に余計なことを書く。
 震災直後からひょっとすると、という厭な予感はあったのだ。
 地震の被害があった会津若松市が長州・萩市の災害支援を受け入れた、と新聞に載っている。これは「歴史的和解」ということになるのだろう。
 少年期、会津の人間がいう「この前の戦争」とは大東亜ではなく「戊申戦争」だった。

 鶴ヶ城に行けば「会津は賊軍ではありません」のアナウンスがうるさいほど流れている。
 もちろん「賊軍」会津藩士は靖国には祀られていない。
 
 愚老の知る十年ほど前までは萩の市長が代わるとその都度、会津若松に友好都市「交流」の申し入れがあった。若松市長が「まだあの戦争から百三十年しか経っていません」と拒絶するという「セレモニー」が繰り返されてきた。

 それが「会津っぽ」だった。
 その歴史は会津人の血脈に流れつづけている。
 今回の「歴史的和解」は私念としては納得がいかない。
 恐らく将来に禍根を残すと思う。
 ただし、この大震災が否応なくこの国の歴史的転換点になることは疑いもない事実なのである。
「震災前」のことも書くつもりだったが、ひと月が随分と昔のことのような気がする。長くなったので次回に回す。



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10/02 08:35 「本日のマーケット」(株式編)・・・週末要因や米雇用統計を前にポジション調整
10/01 08:47 「本日のマーケット」(FX編)・・・9月日銀短観、9月中国製造業購買担当者景気指数(PMI)などが材料。
10/01 08:35 「本日のマーケット」(株式編)・・・欧米株式の上昇を受けて買いが先行後、もみ合い。
09/30 08:52 「本日のマーケット」(FX編)・・・日中は119円後半のもみあい
09/30 08:44 「本日のマーケット」(株式編)・・・反発後、上値が重い展開。
09/29 08:55 「本日のマーケット」(FX編)・・・株安・円高パターンの継続はドル高圧力を後退
09/29 08:36 「本日のマーケット」(株式編)・・・続落後に落ち着きどころを探る展開。
09/28 08:46 「本日のマーケット」(FX編)・・・東京時間のドル/円は120円半ばを中心にもみあい。
09/28 08:36 「本日のマーケット」(株式編)・・・手掛かり材料難のなか、もみ合い。
09/25 08:53 「本日のマーケット」(FX編)・・・・朝方、イエレン米連邦準備理事会(FRB)議長が年内利上げが適切との見方を
09/25 08:44 「本日のマーケット」(株式編)・・・引き続き弱含みで推移。直近の安値1万7415円61銭を意識。
09/24 08:37 「本日のマーケット」(FX編)・・・・連休明けの東京時間のドル/円は120円前半を中心にもみ合う展開。
09/24 08:26 「本日のマーケット」(株式編)・・・続落スタート。連休中にNYダウが軟調に推移。
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