なお世間には | |
2012年10月2日 13時9分の記事 | |
なお世間には岡本太郎流のピカソ否定論があちこちにあるが、それらを重要視することは私はできない。それらはほとんど皆小さなショウマンが大きなショウマンを嫉妬したり邪魔にしたりして否定しているだけであって、鳴りはためいている大太鼓の中で小太鼓が騒いでいるようなものであって格別の意味をなす発言だとは思われない。なおわれわれが絵画ことにヨーロッパの絵画を論ずる場合には常にそうであるが、今ピカソの場合も私が見たピカソのオリジナルはごく少数であってほとんどその複製であったということは申しそえておかねばならぬだろう。複製を見ただけでまるでオリジナルを見たと同じように思う思い方は考えようではコッケイであるが、そしてできるならばオリジナルを見るにこしたことは言うまでもないが、しかしこのことはある程度まで止むを得ないことであって、今となってはある程度まで許されることだと私は考えている。 (一九五七年六月中旬) 底本:「炎の人――ゴッホ小伝――」而立書房 1989(平成元)年10月31日第1刷発行 入力:門田裕志 校正:伊藤時也 2009年3月24日作成 青空文庫作成ファイル: このファイルは、インターネットの図書館、青空文庫(http://www.aozora.gr.jp/)で作られました。入力、校正、制作にあたったのは、ボランティアの皆さんです。
| |
このブログへのチップ 0pts. [チップとは] [このブログのチップを見る] [チップをあげる] |
このブログの評価 評価はまだありません。 [このブログの評価を見る] [この記事を評価する] |
◆この記事へのコメント | |
コメントはありません。 | |
◆この記事へのトラックバック | |
トラックバックはありません。 トラックバックURL https://kuruten.jp/blog/tb/irasuto/222699 |